「「ぎゅうー!」」
「フフ、温かいです♪︎」
「………………」
私の事を抱き締める娘姉妹に対して嬉しさと恥ずかしさを覚えつつ、私達の間に加わるタイミングを虎視眈々と窺っている左之助さんに個魔の方が影を巻き付け、突撃を防止しています。
正直に言ってしまえば、あのアヤカシの能力は恐ろしくとても怖かったです。子供の姿を認識できなくなるという私の心を折りに来ている攻撃でした。
しかし、私は手を繋いでいたから良かったけど。
他の人達を巻き込んでしまい、申し訳無く思っているのに自分の子供が無事で良かったと思ってしまう。私は、自己的な事ばかり考えている。
「景、オレも受けてるのか?」
「いえ、町の中だけだったようですから」
少なくとも港には行っていない筈です。
でも、アヤカシを倒しているところを骨のシタリが見ていない筈が無いですから、私よりも左之助さんを狙っているという可能性もあります。
「ああ、それとな。景」
「はい。なんですか?」
「個魔のヤツに離すように言ってくれ」
「母者、それはダメだからな」
私の方に来ようとしている左之助さんを押さえつけている筈の個魔の方を引きずって、だんだんと傍に近付いてきている左之助さんにしとりとひとえは近付き、ぐいぐいっと押し返し始める。
「とーしゃま、めっ!」
「ん!きちゃだめ!」
「お、おおおぉ?」
押し問答……というやつでしょうか?
そう私は四人のやり取りを見つめる最中、お膝の上に乗ってきた影茶碗の事を手に取り、ハンカチーフで汚れを拭き取ってあげる。
この子は何を警戒しているのか。
それが分かれば良いんですけど、妖怪と話し合える道具なんて私は持っていませんし。しとりも撃盤を使うときは個魔の方に聴いていますから。
「左之助さん、キリンになりますよ」
ポンと左之助さんの伸ばそうとする顔を手のひらで支えながらと抱き締める。肩口に顎を乗せて不満げに唸る彼の頭をよしよしと優しく撫でてあげる。
「オレも抱き締めてぇ」
「病み上がりだって言ってるだろう、トリアタマ」
「聴こえないからって悪口はダメですよ?」
それに左之助さんはトリアタマではないですし、髪型は整えていないだけです。鉢巻きも背広に合っていないのに、まだ着けていますけれども。
アイデンティティーというやつです。左之助さんはカッコいいから何でも似合うんですが、洋服も着てほしいと思うのはエゴです。
「母様はしとりの!」
「かーしゃまはひーのなの!」
「フッ。残念だったな、景はオレの女房だ」
「子供に張り合わないの、もうっ」
まったく、仲良しなのは良いですけど。