某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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音の声 破

ここ数日ほど毎日のように決まった時間に三味線の音を聴くようになってきました。不思議そうにしていたしとりとひとえも最近は良く聴きに来てきます。

 

やはり良いものは分かるんでしょうね。

 

そう思いながら横笛を吹いていると影茶碗が荒ぶり始め、ピタッと動きを止めたり、飛び跳ねて、走ったり、転がったりと変な動きを始める。

 

一体、どうしたんでしょうか?

 

「もう帰るよ。ドウコクが目を覚ましたらしい」

 

「そうですか。では、また明日」

 

「ん!たゆちゃん、またね!」

 

「まちゃね」

 

「……ほんに、毒気の無い子等でありんすね」

 

何処か呆れたようにそう言うと薄皮太夫は鏡面世界の奥へと消えていく。

 

せめてお食事を送ることが出来れば会話も弾むのでしょうが、やはり鏡面世界と繋げるにはショドウフォンを使わないといけない。

 

それは敵側に正体をばらしているようなものですし。危ないことに関わるのは本当にイヤですけど。こちらから向かうわけにもいきませんし。

 

ずっと不安は残ったままです。

 

しかし、本当にこの子は何を?

 

「ん、動いちゃだめ」

 

徐に振り下ろした手が影茶碗を押さえつける。しとりは本当に目が良いですね、私は追いかけるだけで目が痛くなりそうでした。

 

しかし、三味線と横笛を奏ですぎて苦情が来るかも知れないという不安もあります。いえ、妖怪の事で苦情は何度かあったんですけど。

 

しとりとひとえもいるから、あまり危ないことに関わるのはダメなんですけど。薄皮太夫の過去や人となりを知っているせいか。

 

寄り添いそうになってしまう。

 

「景、今日はもう終いか?」

 

「左之助さん。はい、今日はこれだけです」

 

私の近くに座った左之助さんのお膝の上に移動したしとりとひとえはフンスと自慢するように胸を張って可愛らしく笑っています。

 

「フフ、二人とも可愛いですよ♪︎」

 

「景は本当に怒らねえよな」

 

「?怒ることがありませんよ?」

 

「いや、そうじゃなくてな。しとりもひとえも悪さしねえがたまに危ない事になっても心配して安心するだけだしよ、何でなんだ?」

 

「……怒るのが、苦手なのは知っていますよね。怖がりなので怒る自分も怖いのかも知れません」

 

そう言って笑うと「景ならあり得そうな事を言うな」と苦笑いを浮かべながら言われてしまった。でも、左之助さんもしとりとひとえには怒りませんよね。

 

きっと、そういうものなんですよ。

 

悪いことをしたときは注意しますけど。多分、本気で怒ったのは外印だけですね。あの人は本当に自分こそ私の理解者だと信じていた変態さんですし。

 

 

 

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