しとりと剣路君の許嫁計画は一応、了承した状態に落ち着きました。いわゆる許嫁未満の状態です。仮契約と言えば良いのかもしれませんね。
私としては、左之助さんにも二人の許嫁の件も夫婦になることも許してあげてほしいです。武藤君や賛さん達はしとりと剣路君の子孫でしょうし。
ひとえはまだ分からないけれど。
この子もしとりも私と同じで色々なものに狙われるかも知れないという不安を抱えることになる。それだけは絶対に無くしてあげたい。
「糸色君、話があるそうだが」
「はい。あります」
「…一体、何をする気だ」
ふわりと我が家の庭先に舞い降りたドクトル・バタフライは少し警戒するように問いかけてきた。でも、私に出来ることなんて少しの事だけです。
「私は怖がりで臆病なんです。錬金戦団の人達も名前も顔も知らない妖怪も自動人形も怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて仕方ないんです。だから、子供達のために無理をします」
そう言って私は原稿用紙を差し出す。
「…まさか、『月光条例』かっ?!童話や萬話、お伽噺を巻き込んで世界に何をするつもりだね」
「世界の繋がりを強めます。楯敷君の事も考えると、いずれ世界は完全に融合してしまうかも知れません。そうなったとき、守る術は必要です」
「君の身体は持つわけがないッ。子のために無茶するなど母親のすることではない、君の心臓はまだ完全に完治した訳ではないんだぞ」
分かっています。
分かっていますから私は動くんです。
怖いから少しでも安心できる世界を作ってあげたい。あの子達が安心して過ごせる世界を作ってあげたいんです。そのために私の知識と記憶の摺合せをドクトル・バタフライに手伝って欲しい。
私よりも世界を知っているから。
「安全な世界を作ってあげたいんです」
「もはや神の様な発言だが気に入ったよ。各並行世界の私も巻き込もうじゃないか!今だけドクトル・バタフライという個人のみ『全世界統一化』した巨大な演算装置になろう」
「ありがとうございますっ」
「しかし、世界を危険にしたら君を狙うものも増えるのではないのかね?」
「え?あ、そ、そうですね」
しとりとひとえのことばかりで失念していた。いえ、それを考えないようにしていたから、少しだけ抜けていただけというわけでですね。
「……すみません」
「なに、構わないさ。そういうところもまた君のチャームポイントだと私は思うよ。じつに気の抜けてしまう瞬間でもあるがね」
…………ほめてるんですよね?