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布団の柔らかさの違いで目を覚ました私は豪華な洋式仕様の部屋に寝かされていた。……自分の身なりを確認して、何も起こっていない事に、ほっと安堵の息を吐く。
「おや。漸く目を覚ましましたね」
その声にビクンと身体を跳ね上げ、恐る恐る後ろに振り返ると、そこには『うしおととら』を読んでいる「機巧芸術家」を名乗った外印がいた。
「……あなたが、私を誘拐したんですか?」
「私の計画ではないよ。此処に糸色先生を招いたのは縁の独断であり、私個人は一人の芸術家として貴女の描いた『死なずの忍び』や『
ゆっくりと私を落ち着かせるように話す外印の声色には高揚感が混ざって、だんだんと声が弾み、まるで子供のように私に詰め寄って来ようとしたが、ゴホンと咳払いして椅子に座り直した。
「……んんっ。失礼したね。どうにも私と似たものを想像する相手に出逢えた事実が嬉しくて逸ってしまった。もし、良ければ私の作品を糸色先生に見て欲しいんですよ」
そう言って外印が右手を軽く上げた瞬間、カタカタと音を立てて天井を突き破り、無数の鬼面を着けた忍び装束の人形が現れ、ヒュッ…!と息を飲み、知りたくなかった事を理解してしまった。
「し、死なずの忍び…なんでッ……」
「原材料は違うけれど。概ね貴女の設計していた死なずの忍びですよ。設計した糸色先生は理解しているでしょうが、私の作品は中々に高性能です」
「…それを…私に見せて、どうするつもりですか?」
「私もなりたいのですよ」
ゆっくりと外印は言葉を紡ぐ。
「あの美しいしろがねに。ここまで正確に描いているのです、貴女は知っているんでしょう?この世で、誰よりも優れた至高の存在になれる。我が友、蝶野爆爵でさえ見つけられなかった錬金の秘法『
外印の恐ろしく狂気を孕んだ言葉に身体が竦み、ベットから滑り落ちそうになった瞬間、私の身体が誰かによって受け止められる。
「ハッハー!!ビビりな姉ちゃんだな!!」
いきなり大きな声で叫ばれ、ビクッ!と身体が跳ね上げ、私はズレた眼鏡を戻しながら着物の襟を掴んだ人を見上げる。「るろうに剣心」で左之助さんが戦う最後の強敵たる「無敵鉄甲」の戌亥番神が豪快に笑う。
「で。コイツは誰だよ?」
「彼女は
戌亥番神の質問にいつの間にか部屋に入ってきていた雪代縁の言葉を私は否定しようとした瞬間、外印が頭巾で分からないけれど。片手を口許に持ち上げ、シィーッと静かにするようにジェスチャーを送ってきた。
……そうだ、私は誘拐されているから。
雪代縁達に捕まっているから、ここで下手に騒いだら大変なことになる。ゆっくりと床に下ろされた私は深呼吸を繰り返し、冷静さを保つために出来る限り、左之助さんとの幸せな事を思い浮かべる。