某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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修行編
修羅の世界 序


数日ほど経過し、しとりとひとえと一緒にお団子を食べていると満面の笑みを浮かべた不破信二を見つけ、そうっと縁側の戸を閉める。

 

怖かった。

 

普通に怖かった。

 

あんな笑顔をするわけがない、怖かった。

 

「ん!しんちゃん、来たの?」

 

「糸色が面白いものをくれるらしいから急いでやって来たんだ。ドクトルが作ってくれたひみつ道具も一緒にあるぞ!」

 

ただただ純粋に戦いを求める不破信二の身体は純然たる殺戮の鬼神、修羅そのものです。しとりは怖い物知らずのように近付いているけれど。

 

無意識に電光丸の鯉口を切っています。当然の反応と言えばそうですが、しとりは凄く彼の事を警戒してしまっています。

 

「不破さんは世間話をするために?」

 

「いや、コイツを使いたくてな」

 

そう言うと不破信二は風呂敷に包んでいた『ヒーローマシン』を取り出した刹那、左之助さんが力強く私の事を抱き締めて鼻息を荒く、獣のように唸る。

 

流石に、トラウマほどではないですけど。

 

左之助さんは私の存在していない世界を知ったせいで、あのひみつ道具を物凄く警戒して嫌っている。私も左之助さんと出会えないのは恐ろしいです。

 

けれど。本当に何を?

 

「コイツで最強の敵を呼び出す!」

 

「左之助さん、この人は何を言っているんですか?」

 

「分からん」

 

最強の敵なんて呼んだら世界滅亡ですよ。

 

自分の欲望のためだけに私達を巻き込むのですか?と不安と少しだけ悲しくなる。結局、不破信二にとって私はお友達ではなく戦いの場を生み出す舞台装置と変わらないということですね。

 

「……で、どうするんだ」

 

「俺と戦えるヤツが欲しい」

 

「いるのか、それ?」

 

左之助さんの不躾な質問に顔を逸らさずに「居るだろ。世界は広い」とワクワクした様子で話す不破信二に軽く溜め息を吐いてしまう。

 

それだけ動けるのに、もっと良いことをしましょう。そうすれば戦うだけが生き方じゃないって分かると思うんですけど。……修羅にそれは無理ですよね。

 

「……景、あのからくりはオレが触るぞ」

 

私と娘達を部屋の奥に下がらせた左之助さんが『ヒーローマシン』に手を触れた瞬間、彼は『ヒーローマシン』の中に吸い込まれてしまった。

 

「え?」

 

「よし、待つか」

 

「あ、あの、左之助さんは?」

 

「アイツなら俺の代わりに強いヤツと戦ってる。ドクトルに頼んでアイツを鍛えるために、ここまで俺は来たからな」

 

「……最初から、ウソだったんですか?」

 

「いいや、強いヤツと戦いたいのは本当だ。陸奥とやり合える強さはある。が、それは未来のアイツに任せるつもりだからな」

 

アイツ……不破北斗ですね。

 

 

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