「見てみろ」
そう言って不破信二の差し出すひみつ道具『ヒーローマシン』の画面を見ると特設ステージに立った左之助さんが、緋村剣心と戦っていた。
しかし、この緋村剣心は別人だ。
「不破さん、左之助さんに武器は?」
「拾えば使える」
峰も鐔も柄頭も刀身になった全刃刀を振るう緋村剣心……いえ、人斬り抜刀斎の連撃を紙一重の本当にギリギリで避ける左之助さんの無事を私は祈ることしか出来ない。
「二重の極みと龍巻閃の衝突だ」
「ダメッ…!」
私の悲痛めいた叫びは彼には届かず、左之助さんの右拳は全刃刀とぶつかり、前腕部が切り裂かれ、夥しい量の血を流して片膝を地面に落とす。
対して、人斬り抜刀斎のダメージは全刃刀を粉砕されただけ。まだ脇差しを残していて、強さは変わらずに大怪我を負ってしまった左之助さんだと分が悪い。
何かを喋っているけれど。聞こえない。
私に出来ることは何もない……。
「母様、笑ってる」
「え?」
しとりの言葉に釣られて画面を見ると、左之助さんが右手に鉢巻きを巻き付け、適当に止血を行いながら笑っている姿が映し出されていました。
「左之助さん……」
鬼の顔。
修羅とは違う。人のまま身体の中に棲まう鬼の力を自由に扱える。ケンシン・マエダや西郷四郎のように強さを求める身に潜む兇気を飼い慣らしている。
「やっぱり左之助が一番良いなあ」
「衆道に引き込まないで下さいよ?」
「……俺も夫婦になってるの知ってるだろ。俺が言いてえのは俺と同じところまで
「かーしゃま、いたい?」
「っ、大丈夫ですよ。ひとえ」
ぎゅうっと私の手を握るひとえの頭を優しく撫でてあげ、私は脇差しを振るう人斬り抜刀斎の腕を掴み、右手で二度目の二重の極みを撃つ彼の姿を見つめる。
「二人目だ」
「まだ、続けるの?」
「当たり前だろ」
そう言うと不破信二は孫の手を使って、『ヒーローマシン』のボタンを押し込んだ瞬間、地面に倒れ伏していた人斬り抜刀斎は消え、四乃森蒼紫が立っていた。
「誰だ?」
「四乃森蒼紫、左之助さんに勝った人です」
けれど。あれは連戦後だと明神君に聞いていますし、どちらも万全なら左之助さんが勝っていた可能性だって捨てきれない。
それでも不安になるのは私が怖いからです。
「左之助が負けた……こんなのに?」
ゾクリとするほど低く冷たい声が響く。
「ま、まだ、蛮竜も二重の極みも持っていないときですから、まだ若くて強くなる途中で……」
「怒ってねえよ、困っただけだ」
そ、そうなんですか?