某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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架空の敵 破

ドクトル・バタフライと不破信二の二人によって魔改造を受けて対戦格闘ゲームと化した『ヒーローマシン』のセレクト画面を弄りつつ、人斬り抜刀斎や四乃森蒼紫の他にも沢山の人が並ぶ画面を見つめる。

 

「景、コイツはどうだ?」

 

私の隣に腰掛けて画面を指差す左之助さんの人差し指の先に映っているのはタクマ・サカザキです。『龍虎の拳』に登場するキャラクターであり、極限流空手の創設者でもあります。

 

「基本を極めた空手家。沖縄の『(ティー)』という徒手空拳の武術を極めて自己流を築いた達人です」

 

「おきなわ?」

 

琉球の言い間違いですね。

 

「戦い方は単純明快。まさに一撃必殺です」

 

へろっとした正拳突きの真似事をすると「西郷某の柔道とは違うわけか」と頷きつつ、左之助さんは「じゃあ、コイツと喧嘩するか」と言葉を続けた。

 

そう簡単に決めていいの?と考えながらも武器を持たず、徒手空拳のみを極めた相手と戦えば左之助さんの強さも底上げ出来ると思うのは当然です。

 

ただ、少しだけ不安もあります。

 

「景、頼めるか?」

 

「……分かりました」

 

まだ怪我も治っていないのに『ヒーローマシン』の中に入り込んでしまった彼の事を見守る。しとりとひとえも居てくれた良いんですけど。

 

二人とも遊びに行っています。

 

元気なのは良いことですけれども。

 

個魔の方が疲弊するほど走り回ったりするのはダメな気もします。いえ、子供は元気が一番ですからこれで良いのかな?

 

ぐるぐると頭の中を回る考えを止めて、タクマ・サカザキと殴り合う左之助さんを見つめる。ポテンシャルは左之助さんのほうが上だけど、戦闘経験の多さはタクマ・サカザキが上になる。

 

「(左之助さんの二重の極みをただの正拳突きで相殺するなんて、どれだけ強く設定しているのでしょうね。いえ、そもそも何処まで忠実に再現を?)」

 

色々と考えている間に左之助さんが特設ステージの外に吹き飛ばされたその時、現実世界に左之助さんは弾き出され、ちゃぶ台を壊しながら倒れ込んだ。

 

「……あの狭い場所から出たら負けか」

 

「さ、左之助さん、手当てを!」

 

「大丈夫だ。それよりあのタクマってオッサンはマジで強いぞ。信二のヤツがオレと戦わせるために用意したのも頷ける強さだ」

 

そう言いながら左之助さんは『悪一文字』の法被に着替えて、意識を完全に切り替えてしまいました。もう勝つまで止まらないかもしれません。

 

また『ヒーローマシン』に取り込まれて、画面の中で戦う左之助さんを応援することしか出来ない。

 

 

 

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