「こんな小さな機械に左之助が?」
「えと、はい」
お野菜のお裾分けに来てくれていた薫さんに左之助さんが『ヒーローマシン』の中に入っていくところを目撃され、私は良い言い訳が思い付かず、不破信二に貰ったところまで素直に話してしまった。
もっとも、バレること事態は良いんです。
「景の姉ちゃん、オレもやりてえ」
「明神君、これは一人プレイ用なんです」
「ぷれ?」
「……こほん、一人ずつしか使えないの」
そうワクワクと目を輝かせる明神君に、隠すこと無く伝えると残念そうに画面の中で楽しげに「花山薫」と殴り合う左之助さんが居ます。
不破信二の趣味だけで構築された選出ですから居るのは分かっていたけれど。私の大好きな最強の喧嘩屋と、日本最強の喧嘩師の避けずに殴り合う姿はとてつもない不安を掻き立てて来る。
私じゃ入り込めない世界だから不安ばかり。
「しかし、あの極道強いな」
「景さんの知り合い?」
「……しりません」
「「知ってる顔」」
そう言って二人とも私を見る。
彼の人生は戦歴は知っているけど。実際に話したこともないのは事実ですからウソを吐いているわけじゃないです。ただ、ちょっとだけ知っているだけなんです。
「けど、左之助相手にあれだけ殴り合えるヤツは今後も必要になるんじゃねえか?」
「……どういうことですか?」
「最近、きな臭い話があるんだよ。掌大の鉄の塊を探す外国人の話だ。何者なのかは掴めてねえが、そこそこ人数もいるらしいぜ」
「らしいや、あるとか、又聞きなのね」
「門下生の噂話だ。あと、ヴィクターって男を探しているのは有名だな。なんでも裏切ったとか大悪党とかそう言われてるってよ」
「嘘つきですね」
ポツリと、そう呟いてしまった。
「やっぱり知っているのか」という視線を受け、私は視線に気づかないふりをするために画面の中を見ると、二人とも砲丸投げのように身体をねじり、構える。
二重の極みと最強の握力が衝突し、後ろに弾けとんだのは左之助さんだった。────だけど。花山薫の拳も砕け、引き分けに持ち込んだ。
かっこいいです、いぶし銀です。
「だあぁ……クソ、負けた」
「か、勝ってますよ?」
ぶらぶらと右手を揺らす左之助さんを受け止め、右手に核鉄を当てて傷を癒やしていると「なあ、鉄の塊ってアレじゃね?」「多分、アレでしょうね」という会話が聞こえるけど。
私は出来るだけ無関心をアピールする。
私は無関係なので、どれだけ聞かれても答えられないものは答えられませんからね。