「安定しているわね。けど、心労のせいか顔色が優れていないわ」
「そう、でしょうか?」
「私の言葉よ?」
むにむにと頬っぺたを触って、ゆっくりと私の目尻を撫でる恵さんの言葉に頷きつつ、私は着物を着直して部屋を出ると左之助さんが怒られていました。
緋村剣心もまともに怒るんですね。
そう感心しながらも話を聞けば私の体調や大怪我を負う遊びをやっていることを注意し、あまり危ない事は控えるように勧める言葉ばかりです。
「糸色殿の身体は拙者より小さいのだ。あまり無体を働いては余計に傷付けるでござる。左之、お主は少し自制を覚えたほうがいい」
「人の事言えねえだろ。お前も薫に絆されて膝枕されてんのはしとりに聞いてんだぞ」
「くっ」
「チッ」
この人達は何を話しているのでしょうか?と考えながら恵さんに手を引かれ、しとりとひとえを連れて薫さんの行きたいと言っていた甘味処にお出掛けします。
「ふう……ふぅ…」
「まだ、体力不足は治らないのね」
「こ、こればかりは、どうしても」
私だって治せるのなら治したいですけど。
しとりとひとえにこの弱い身体が遺伝しなかったのは本当に良かったです。ただ、どうしても気になるのは『特典』による変化です。
もしも、二人に何かあったら。そう考えるだけで、私は恐ろしくて身体が震えてしまう。
「けんちゃん、手つなぐ?」
「う、うん」
「むぅ…ひーのねーしゃま!」
「ん!しとりはひーちゃんのお姉ちゃん!」
フンスと胸を張るしとりの頭を優しく撫でて、目の前をトタトタと走る三人の事を見つめる。元気溌剌。何も恐れずに生きて貰えると嬉しいです。
「景さん、肩を貸すわよ?」
「あら、筋肉娘より私のほうが良いんじゃない?」
「筋肉娘ぇ!?」
あの、私を挟んで口論するのは止めて下さい。
そう思いながらも私は甘味処に先に到着していたしとりとひとえと剣路君の呼ぶ声を聞き、頑張ってほんの少し小走りで近づく。
やっぱり走るのは疲れますね。
「ん!」
「なんて読むのかしら?」
「AMIGO。スペイン語では『友人』や『仲間』という意味を持つ言葉ですけど。随分と大通りに喫茶店を作っているんですね」
「出たわね、謎の知識」
「景さんがいると楽で良いわね」
まるで辞書のように扱っていますけど。
私も知らないことはありますからね?と言葉を付け加えても信じてもらえず、薫さんと恵さんの後ろを着いて歩き、喫茶店に入ると
どうしましょう、楯敷君の仲間のところです。