「やあ、また来たよ」
にこやかに笑うドクトル・バタフライに苦笑を浮かべつつ、居間に案内すると更に小型化と改良を加えた『ヒーローマシン』をちゃぶ台の上に置いた。
これは、最新型ですね。
「安全性を考慮して、更に改造した『ヒーローマシン』だ。この前のひみつ道具は作り上げるなり、早々に信二君が持ち出してしまったものでね」
「……本当に?」
「……Sorry。正直に言うと内部に入り込めるのは人間に限定してしまったせいか、内部に生じる不具合を取り除く術を失っていた。だが、君のおかげでバグは完全に消滅している」
「それなら良いです。でも、男の人達はゲームにのめり込んで大変だから対策して欲しいです。新型なのは嬉しいですが…」
じいっとひみつ道具を見つめる私に「ノープロブレム。何も問題は無いさ」と笑いながら『ヒーローマシン』を差し出して来ます。
あまり欲しくないんですけど。
そう思いながらも左之助さんが帰ってくる前に隠そうかと考えていたとき、ドクトル・バタフライの視線が私の後ろに向かう。
「オレのいない間にオッサンを連れ込んだのかぁ?」
「そ、そんな不埒な真似しませんっ!」
「不埒な存在なのかね、私」
地味にショックを受けるドクトル・バタフライを一旦無視し、私は左之助さんに身体を抱き締められ、逃げ道を無くし、手の中に収まったひみつ道具を見られる。
「もう作り直したのか?」
「うむ、殆んど不具合は糸色君が取り除いてくれていたおかげで問題はなかったよ。だが、色々と制限は掛けさせて貰った」
「そりゃ別に構わねえが、あのオロチって野郎とはもう戦えないのか?」
「オロチ?そんな人物はいれていないが?」
ひゅっ、と喉が震える。
あり得ない。あり得てはいけない。
だって、あれは本当に「オロチ」でした。ドクトル・バタフライと不破信二が選出していないのだったら、あれは何処から来たことになるんですか。
ぐるぐると思考する頭がズキズキと痛み、血の臭いがする。あ、鼻血出てますね。……落ち着きましょう、何かしら関与するものが生まれたんでしょう。
「景、落ち着け。ほら、オレの手噛んどけ」
「………………噛みませんよ」
ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、左之助さんの手を握ってドクトル・バタフライに視線を向けると私の様子に現在の深刻さを理解して貰えたようです。
あまり良かったとは言えませんけど。
時代樹様に探って貰えると良いんですが、私の『特典』は制限を掛けても鼻血を流してしまうほどに強さを増してしまっています。
解いてしまったら、もうダメです。