某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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修羅と修羅と修羅 破

「景、今何回だ?」

 

「二千と七百十一回目です」

 

「そうか」

 

しとりとひとえを背中に乗せたまま腕立て伏せを繰り返す左之助さんの事を見つめつつ、この十年間で更なる成長を遂げた赤筋と白筋の混ざったピンク筋────。

 

左之助さんは妖怪の攻撃を受けても倒れない打たれ強さもあり、肉体強度のポテンシャルは比古清十郎に匹敵し得ると私は考えています。

 

「ん!父様、おもい?」

 

「重くないから父ちゃんは困ってるぜ」

 

「とーしゃま」

 

「なんだ?」

 

何度も繰り返す動作に左之助さんは飽きないのはしとりとひとえのおかげです。私が乗るときは、その、すごく恥ずかしかったから交代してもらえて、本当に怪我をする前で良かったです。

 

しかし、本当に悩ましいですね。

 

左之助さんがこれだけ鍛えているのに、最終ボスには一手遅れを取ってしまう。圧倒的な経験値の差と言えばそうですが、左之助さんの乗り越えるべき壁は途方もなく多く、私はいつまでついていられるでしょうか。

 

そう考えながら三千回の腕立て伏せを終えた左之助さんは腹筋に動作を変えて、しとりとひとえは彼の足に抱きつくものの簡単に浮いてしまう。

 

「んー!やー!」

 

「やあー!」

 

「二人は何をしているんですか?」

 

「わからん」

 

左之助さんの足に乗りながら両腕を持ち上げるしとりとひとえの二人を一人ずつ優しく畳に降ろしてあげ、にっこりと満足げに笑う二人にまた首を傾げる。

 

一体、何をしていたのかしら?

 

腹筋を止めて倒立を始めた左之助さんから二人を連れて離れ、親指の力だけで身体を支え、歩き始めた彼の事を眺める。

 

流石は左之助さんです。

 

「準備運動は終わりだ。景、まずは『陸奥』とやる」

 

「危なかったら止めますからね?」

 

そう私は左之助さんに伝えて機械を起動し、左之助さんが画面の中に映ったのを確認し、柳生十兵衛と戦った陸奥天斗を向かい合う彼の無事を祈る。

 

陸奥と不破。

 

ここ最近はずっと修羅ばかり選択し、左之助さんは不破信二にリベンジするために真剣です。蛮竜を使えば一方的に倒せるのに使わず、素手のまま戦うことを選べる左之助さんはすごいけれど。

 

妻としては、安全に生きて欲しいです。

 

「母様、父様勝つ?」

 

「とーしゃま、かつ!」

 

「えぇ、勝ちますよ。あの人は諦めませんから」

 

絶対に修羅の領域に辿り着ける。

 

いえ、辿り着けてしまう。だから人間の限界を越えて、修羅か鬼に生まれ変わっても私は貴方のお側にずっと寄り添って生きていきます。

 

それが、私に出来る唯一のことです。

 

 

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