某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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左之助さん視点になります。


人誅を下す 急

嬢ちゃんの葬式に葬列しなかった剣心を仲間や知り合い、喧嘩した奴らに頼み込んで探させている間、オレは雪代縁の行方を捜索していた。

 

そして、ひとつの違和感(・・・)にも気付いた。

 

「左之助さん、どうしたんですか?」

 

ニコニコと笑う景が、オレを見つめる。

 

───だが、コイツはだれだ?

 

あの時は髑髏頭巾の言うがままに連れてきたが、コイツは絶対にオレの知っている景じゃない。アイツは、人の死を笑って過ごせる様な女じゃねえ。

 

コイツは糸色景(あいつ)の姿と声を真似ているが、人としての根底の違いが滲み出ている。

 

「いい加減にその猿芝居は止めな」

 

「猿芝居?」

 

「オレの大事な女は貼りつけたような笑みを浮かべねえ。況してやダチの死を笑顔で見送るなんて事は絶対に出来ないヤツなんだよ」

 

「何を言っているんですか?私は貴方の大好きな糸色景ですよ、左之助さん」

 

そう目の前の景を真似たヤツが言いきった瞬間、オレの拳が眼鏡を砕き、顔面の骨を殴り砕くイビツな音を立てて景を殴り飛ばし、隣家の塀を突き抜け、神谷道場の庭まで景が瓦礫を纏って飛ぶ。

 

「左之助ッ、何してんだよ!?」

 

「アンタ、気でも触れたの!?」

 

「テメェ等、下がってろ。コイツは景じゃねえ!」

 

弥彦と高荷がオレを怒鳴り付け、土煙に紛れながら立ち上がろうとする景に近付こうとしたところを押し退け、拳を握り締める。

 

カタ、カタ、カタ…!

 

カタカタカタカタカタッ……!!!!

 

「ひド、ひどイ!アなタをアイしてルのに!」

 

土煙を抜けて現れたのは手足はひしゃげ曲がり、首は折れ、亀裂の入った顔のまま四つん這いで蠢く糸色景を模造したソレに弥彦と高荷は息を飲み。

 

「ヒッ!?」

 

「な、なんだコイツ!?」

 

ゆっくりと、ふたりは後退る。

 

「チッ。やっぱり機巧忍者の類いか」

 

「アイしテルのオォォーーーーッ!!!」

 

「……悪いな、お前の想いには応えられねえ」

 

オレに抱きつこうと不格好な姿勢で突進してきたソレの胸に二重の極みを決め、僅かに見えていたコイツを動かしていた歯車や鋼線を破壊する。

 

「…アい……シィ……し…テる……」

 

「数日だが、お前の飯は美味かった。ありがとう」

 

「…ア……ァ……ぅン……アリが、と…」

 

カタ…カ……カタカ……

 

二重の極みを受けて壊れたソレは動かなくなり、オレは静かに手を合わせて数日とはいえ景と同じようにオレを想ってくれたコイツを弔う。

 

「左之助、あの時に戦った人形だったのか?」

 

「待ってちょうだい!これが人形なら、どうしてあんな風に叫んだり、表情を本物の人のように好きに動かせていたの?」

 

「うるせえ、後にしろ」

 

ギャーギャーと喚く二人を無視してオレは蛮竜を取りに戻り、おそらくアイツ等のアジトの場所を絞り込んでいる筈の斎藤のいる警察署へと向かう。

 

あの髑髏頭巾は絶対に赦さねえ…!

 

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