某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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末娘の潜在 急

ひとえの体調は完全に治りました。

 

しとりの第六感も危険は感知していない様子ですし、おそらく大丈夫だと思うのですけれど。ひとえの人の怪我を癒やす異能は力を飛躍的に高めています。

 

今は無自覚だけど。その内、頃合いを見て教えるつもりではあります。ただ、しとりのように何でも試そうとする性格とは違いますから危ないかもですね。

 

「ひーちゃん、こう!」

 

「こー?」

 

居間で一緒にあやとりをしているしとりとひとえの姉妹を眺めつつ、可愛らしい蝶々を作っているしとりとひとえにドクトル・バタフライの入れ知恵を感じてしまい、苦笑を浮かべる。

 

いえ、可愛いのは事実ですね。

 

「景、ひとえに変わりはねえか?」

 

「はい。今のところは大丈夫です」

 

「それなら良いんだがな」

 

左之助さんの呟きに一抹の不安を抱く。

 

大丈夫だと分かっているのに、どうしようもなく不安になってしまう。それに、ひとえとしとりはまだ十歳も越えていないんです。

 

「ん!ひーちゃんかしこい!」

 

「んへへぇ…」

 

よしよしよしよしよしよしと頭を撫でられて嬉しそうに笑いながら、ひとえは笑っていた次の瞬間、彼女の右目はうっすらと赤色に変化し、座っていたしとりの身体がすガクンと沈んだかと思えば直ぐに身体を立て直す。

 

「ん?ん?んー?」

 

「ねーしゃまのおぼえた!」

 

自分の手をグーパーと開閉するしとりに私と左之助さんは首を傾け、なにがあったのかとひとえに触れた刹那、私の身体は空を舞った。

 

「…………へ?きゃあぁあっ!?」

 

「うおっ、と…!」

 

慌てて左之助さんが縁側の外に飛び出て受け止めてくれたものの、あのままだったら頭から地面に激突して大怪我を負っていたかもしれません。

 

いえ、それよりも今のは薫さんの技でした。

 

「神谷活心流柔術、どうしてひとえが?」

 

そう左之助さんの腕の中で驚きながら腰が抜けて立てない私はひとえを見つめる。なにか奈落の妖気を吸って変化してしまっている?

 

「ひーちゃん、しとりの覚えただけだよ」

 

「覚えた?」

 

「あい!」

 

「左之助さん、ひとえのところまでお願いします」

 

「また投げ飛ばされねえか?」

 

それは、ひとえ次第です。

 

「ひとえ、さわりますよ」

 

「あい!」

 

ゆっくりとひとえの目尻に触れ、赤く染まった瞳を見る。妖怪変化ではなく、これは変質している状態ですね。サンピタラカムイ様の加護と、妖刀の力を吸う能力が混ざって瞬間的に覚える能力になってしまっています。

 

「擬似的な見稽古……いえ、どちらかと言えばしとりの直ぐ覚えて自己流に最適化できる目に近いですね」

 

ウチの娘達は本当に可愛くてすごいですね。

 

 

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