ゴキゴキと身体の骨を鳴らす左之助さんにもしも自分の身体からあんな音がしたらと恐れ戦きつつ、すっかり夕方になってしまった茜色の空を見上げる。
「今夜はお鍋の予定だったんですけど」
もう八百屋さんもお魚も売っていませんね。
いえ、売っているところはあるのでしょうが鮮度を考えると不安になってしまう。どうしましょうか?と悩む私に左之助さんは台所の床下収納の戸を開ける。
そこはお漬け物しかないですよ?
「景、コイツで飯作れるか?」
「缶詰?」
缶詰って、かなり高級品だと思うんですけど。どうして左之助さんが床下収納にしまっているんですか?と問えば交易の時に貰ったと言われ、いつの物なのかと物凄く不安になってしまいます。
鮭の缶詰、イワシの缶詰。
油に漬け込んだものですから一度焼いてみるのが良いですね。揚焼鍋で焼けば、貰い物のパンを粗削りにして、玉葱、卵もありますし。
「うん。作るのは決まりました」
今日はイワシのハンバーグにしましょう。
鮭はそのまま網でもう一度焼いて、身を解して炊けたお米に混ぜれば良いですね。そう私は納得しながら七輪の炭火を左之助さんにお願いする。
「こういうのもまたには良いな」
「フフ、忙しないですけどね」
缶切りを使ってイワシの切り身を取りだし、油は残しておきます。あとで使えますからね。お味噌汁は即席になりますが、作り置きの出汁を使い、玉葱と油揚げのものになってしまいます。
その間にお米を洗い、土鍋に移して炊く。
まな板の上で手早く骨を抜き、玉葱をみじん切りにして軽く炒め、ほぐしたイワシの身とパン粉、卵、玉葱を混ぜてタネを形成し、油を敷いた揚焼鍋で焼き始める。
「景、鮭が燃えてんだが」
「なぜ?」
左之助さんの言葉に困惑しながらも庭の方を見ると七輪の上で鮭は燃えていました。なぜ?とまた呟きながら鮭の火を消し、焦げていないのかを確認する。
焦げてはいないですね。
「悪い」
「良いんですよ、よくあることです」
フランベしたと思えば良いんです。
私の言葉に首を傾げる左之助さんにしとりとひとえの事をお願いして、七輪の火はまだ燃えているので網を取り替えて、お餅を焼いておきましょう。
あとで網は洗うとして、鮭の臭いがすごいですね。
そう思いながらイワシのハンバーグに竹串を刺し、唇に当てて中に火が浸透していることを確かめ、手早くお皿に盛り付け、ゆっくりとお味噌汁をお椀に装い、土鍋のお米も炊けた事を確認してから骨を抜き、解した鮭を混ぜて、鮭ご飯にします。
「うん、完成です」
いそいそとお盆に一人分ずつ乗せて机に運び、最後に御櫃に土鍋のお米も移して私も座ります。しっかりと五人分の食事とドンと親分、ボスのご飯も作っています。
「「「「「いただきます」」」」」
お食事時にドタバタしなくて良かったです。