某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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剣幕編
ニート侍でござる 序


しとりの他流仕合を応援するために神谷活心流道場に赴き、左之助さんやひとえも一緒に剣道の防具を身につけたしとりと同い年の男の子を見る。

 

「薫さん、相手の流派は?」

 

「ここ数週間ほど道場破りを繰り返す彼処の男は坪内流剣術と名乗っているけれど。しとりちゃんと仕合をする子は分からないわ」

 

つぼうち?と首を傾げ、直ぐに『侍』というゲームに登場していた人物の名前を思い出し、なんとなく雰囲気は似ているし。

 

間違いなく、彼は坪内八郎です。

 

すでに混ざっているということでしょうかと不安を抱きつつ、私はチラリと薫さんの隣に座って悔しそうにしとりを見つめる剣路君を見る。

 

本来、こういう他流仕合のとき同年代の相手をするのは剣路君の出番なのでしょうが、明神君の意向によって神谷道場はしとりを選出しています。

 

守りたい女の子が自分よりも強いというのは少しばかり可哀想ではありますが、大きくなれば筋力的な差も生まれ、背丈だって変わってきます。

 

緋村剣心もその事実を知っています。

 

「しとり殿、また剣筋が冴えているでござるな。左之、アレはお主が教えた技でござるか?」

 

「オレは喧嘩仕込みだぞ。技は(コイツ)だけだ」

 

「では、やはり」

 

「私に出来ると思いますか?」

 

そう言い返すと緋村剣心は「糸色殿は無理でござるな。しかし、ならばあの技は一体?」と悩む彼に私の描いた剣術書の初伝ですと伝えたら、また私の事を警戒したりするのでしょうか。

 

まあ、怖いので教えませんけど。

 

……それにしても、しとりと互角に渡り合えるあの男の子は何者なんですかね。ドクトル・バタフライがいれば分かると思うんですが。

 

「ねーしゃま、がんばえ!」

 

「あの坊主、しとりより速いな」

 

「左之助さんもそう思いますか?」

 

「ああ、不自然すぎる」

 

おそらく足捌きが上手いんです。

 

剣戟の冴えもそうですが、七歳の子供の出せる動きではありませんね。それはしとりもなんですが、あの子はかなり怪しい。

 

しとりの正眼の構えは霞の構えに変化する。

 

神谷活心流の構えに霞の構えは存在しません。おそらく牽制のつもりで構えたのでしょうが、流石にリスクの高い構えを取るの危険です。

 

「牙突か?」

 

緋村剣心のその呟きに向こう側の男の子も僅かに身体を強張らせ、しとりの真っ直ぐ面を穿つ渾身の打突は決まり、男の子は尻餅をついた。

 

「一本!」

 

ゆっくりと勝ちを宣言する明神君の言葉に空気は僅かに緩み、私は倒れた男の子に手を差し出して、また初恋泥棒をする剣術小町(二代目)に苦笑を浮かべます。

 

 

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