結局、今日は横浜に泊まることになり、最近また増えてきた西洋建築の旅館の窓際に座り、カリカリと今日出会った人物の顔を全て紙に描き写す。
特に視線を感じる人を率先して描いていると、コンコンと窓ガラスを叩く音にビクリと肩を跳ね上げ、紙を万年筆で破いてしまいそうになる。
慌てて手を止めたので破れませんでしたけど。
いきなり驚かすのは止めて欲しいです。……何故、二階の窓ガラスをノックするのでしょうか?と顔を窓に向けると見覚えのある人がテラスに立っていました。
「……斎藤さん、帰って来ていたんですね」
「その前に左之助と緋村を呼んでおけ。お前達の泊まる部屋に入ったら五月蝿いからな、特に左之助とお前の長女は騒々しい」
「あ、あはは…」
斎藤一の言葉に私は何も言えず、人相図を束ねて左之助さん達を呼びに行こうとしたとき、バサリと人相図の紙束を斎藤一に取られてしまう。
「……元会津藩士の時雨滝魅、加治木貞史郎、
「さ、斎藤さんはこの人を知っているんですか?」
「知っているも何もソイツは
やっぱり、この人は幕末の時代を生きた転生者だ。
───けれど。両手を貫いて剣を振るえなくなるのは『るろうに剣心』のアナザーストーリーに描かれていた鵜堂刃衛の筈です。
どうして、この「めのうゆきたか」さんが?
「景、寝てんの……斎藤ッ!」
「吠えるな、阿呆が。俺は糸色に描いた人相図の男について調査しているところだ」
「斎藤、糸色殿にあまり無理は…」
「黙れ。刀を置いたお前は呑気に観光でもしていろ。糸色、この男に見覚えはあるか?」
更に斎藤一の差し出してきたのは坪内八郎でした。無心で描いていたから気付かなかったけれど。今、坪内八郎もこの横浜に来ている?
そう考えて更に悩んでしまう。
「(ここで素直に話したらまた怪しまれて、きっと『お前は黒幕だな』とかそういう目で見られて、緋村さんがまた警戒するんですよね)……斎藤さん、多分ですけど。この人達と緋村さんも関係あると思います」
「そうか。緋村、話を聞くことになった。着いてこい。坊主、お前と左之助も着いてこい」
「薫殿、すまぬでござる」
「燕、先に休んでてくれ」
「景も安静にしてろよ?」
斎藤一に連れて、みんな行ってしまった。