いきなり目隠しと猿轡、手枷を着け、私を運び始めた外印に抵抗空しく何処かに連れ去られた私を待ち構えていたのは、またしても船酔いの地獄だった。
波の浮き沈みや海水の臭いに気分を悪くしながら私の連れてこられた場所は、断崖絶壁の見える入り江のある孤島だった。ここは、緋村剣心と雪代縁の最後の戦いの場所の筈だけど。
なんで、ここに私を。
「さあ、行きましょうか。糸色先生」
「…ッ…」
手枷と繋がった縄を引っ張って私を誘導する外印の後ろを歩いていると、豪邸とは言わないけど。中々に大きく豪華な造りの館が見えてきた。
ここに神谷さんもいる。
私のせいで彼女が殺されていなければ、きっと彼女を助けるために緋村剣心は復活する筈ではあるけど。私の存在で手懸かりになるものが少ないかも知れない。
「外印サン、随分と早い到着だな」
「縁、お出迎えを有り難う。しかし、その後ろに控えている禿げ達磨は何ですか?」
「彼らは私のボディーガードですよ。貴方の連れている世界を見通す千里眼を持つ女、糸色景を引き渡して頂けると此方も手荒な真似をせずに済みますからね」
そう言う黒髪おかっぱの男に見覚えがある。
確か雪代縁のビジネスパートナーであり、後に雪代縁を裏切った挙げ句、特に見せ場や活躍も目立つことの無かった
「ハアァ…品性はお金では買えませんよ。特に雪代縁の築き上げたマフィアの勢力を自分の知恵と策略の恩恵だと思い込み、その妄想に浸る小山の大将さんにはね」
「そうか。ならば死んで逝け!」
外印の煽り言葉に怒った呉黒星は控える四人組「
「覚えておきたまえよ、大陸の小猿。私は『
「…ぶ…分解の……フェイスレス…!?…」
「流石、糸色先生だ。あの一瞬にして弾け飛んだ彼らの惨劇をしっかりと見えているとはね」
そう私を褒める外印は勘違いしている。
私には外印の動きは見えてはいないし、余りにも素早い動きで何をやっていたのかも分からない。───だけど。彼の性格や嗜好、立ち振舞いにはフェイスレスの姿が見え隠れしているのは事実だ。
「さて、残りは小猿ですね」
「た、助け、縁…!」
「生憎とボクは怪我人だ。たまには自分でやれ」
私は視線を逸らし、耳を塞ぐ。それでも尚、私の耳に呉黒星のおぞましい悲鳴が聴こえ、外印の愉しさを滲ませた笑い声に身体が震える。
早く、早く助けにきて、左之助さん!