チラホラと町の流れが変わり始めています。
普通に過ごしている人の中にギラギラと野望や野心を宿した目付きの人達が何人もいる。その人達をひとつに纏めているのは、時雨滝魅と瑪瑙幸隆です。
「(ただ、問題は左之助さんを誘った理由。派閥は違えど政府側の赤報隊の事を知っているし、元会津藩士として新撰組の事も知っている筈です)」
そうなると必然的に起こり得るのは瑪瑙幸隆という名前の転生者による変革。すでに事件を起こす時期のズレも変革と考えるべきです。
当然、時雨滝魅と瑪瑙幸隆の二人が「高槻厳達」を斬った緋村剣心を狙う事も考えなければいけない。明治十一年に発起する筈だった彼らは、より勢力を増している。時雨滝魅が左之助さんに密輸を頼んだとき、火器について話していました。
おそらく雅桐輪具と監獄時代の仲間を募って起業し、明治政府と提携化した雅桐銀行を狙う可能性も大いにあり得るため、そちらに意識を向けなくてはいけない。
雅桐輪具───いえ、武田観柳が明治政府に掛け合って合法化を進める
その可能性も捨てきれません。
しかし、一番の問題はやはり戦力差です。
おそらく向こうは潜伏していた八年間に政府に不満を持つ者、元会津藩士、各派閥に裏切られた者、士族、華族さえも居るかも知れないわけです。
「景、根を詰めすぎるなよ?」
そう言って私の背中を擦る左之助さんの言葉に書斎でずっと書いていた予測と推測の手を止め、最低三十以上の攻撃型を書き記し、部屋の中に紙が散乱しています。
「左之助さん、月岡さんと連絡は取れますか?」
「アイツか?飲みに行くことはあるが、この件に関わるようなヤツじゃねえぞ」
「いえ、彼の火薬の知識は向こう側にとって必要不可欠な要因です。もしかしたら捕まって無理やり仕事をするようには命令している可能性があるんです」
「……なんで克浩が爆弾作ってんの知ってる?」
「え?あっ」
月岡津南の炸裂弾の代わりに私がダイナマイトを作ったんだと思い出した瞬間、私は書斎の畳に押し倒され、じぃっと左之助さんに見つめられる。
「っ」
「おいコラ、艶めかしくすんな。別の意味で襲うぞ」
きゅうっと目を瞑り、堪える私に左之助さんがそう不満げに言うけれど。いつもいつもいきなりしてくるのは左之助さんだから……。
「んッ…なに?…」
ワシャワシャと頭を撫でる左之助さんに戸惑いながらも抱き起こされ、頭を撫でられる。まあ、触れ合えるのは嬉しいから良いことですね。