某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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押し寄せる遺恨 急

我が家に集まってきた斎藤一と緋村剣心、明神君の三人は神妙な面持ちであり得る可能性を綴った紙を見つめ、静かに顔を上げる。

 

「成る程、時雨滝魅とはやはりあの時の…」

 

「問題はソイツじゃない。瑪瑙だ」

 

緋村剣心の言葉を遮って、斎藤一は私の描いた人相書きを机の上に置いた瞬間、緋村剣心の顔に驚愕と困惑が混ざり、私を見る目が乱れる。

 

やっぱり、緋村剣心もこの人を知っている。

 

明神君と薫さんは知らないのは当然としてです。斎藤一は私に訝しげな視線を向けるのは止めて下さい。そんなに見つめられても私は慶応生まれです。

 

……ギリギリですね。

 

「そのメノウってのは、どういうヤツなんだ?」

 

みんなの聴きたかった事を率直に問いかける明神君に緋村剣心と斎藤一は目を見合わせ、暫しの沈黙のあとに口を開けた。

 

「瑪瑙幸隆。かつて鹿沼三羽烏と呼ばれていた会津藩士の剣客でござる。幕末の剣客に於いて新撰組と同等、あるいはそれ以上の使い手であったが」

 

「だが、瑪瑙には欠点が有った」

 

「欠点?」

 

「彼は夜目が利かなかったのでござるよ。幕末は夜間戦闘は常、日中で無類の強さを誇る彼は闇夜で戦うときは必ず行灯や篝火を作っていた」

 

「アイツの最期は火役の裏切りだ。当時、アイツに時雨の推薦した側近がいた。瑪瑙は夜間戦闘に集中するため、側近に火種を預けていたんだ」

 

言葉を続けながら斎藤一は煙草に火を点けようとしたものの、子供達に気付いてマッチと煙草を仕舞ってくれ。ゆっくりと眉間を揉んだ。

 

そして、目を開けると全員を見回す。

 

「その火種を預けられた側近はどうしたと思う?」

 

「どうしたんだよ」

 

「───答えは、簡単だ。ソイツは逃げたんだ(・・・・・・・・・)

 

その一言に空気が重くのし掛かる。

 

「日中ならいざ知らず、夜目の利かないアイツは遠ざかる光をどう思ったんだろうな。今更黄泉還ったところで幕末は終わっている」

 

「で、ソイツを斬ったのは誰だよ」

 

「瑪瑙を斬ったのは俺だ」

 

そう言うと斎藤一は私を見た。

 

彼の両手を貫いた話しは聴いています。ただ、裏切りのお話は初耳ですし、ドクトル・バタフライも教えてくれていませんでした。

 

「ところで、その小僧は誰だ」

 

その言葉によって縁側に座っている。

 

いつの間にやって来ていたのかも分からない坪内君に私達は驚きつつ、真後ろに座っているのに無反応の緋村剣心に私は驚愕してしまいます。

 

「ん!かっちゃん!!」

 

「しとりに会いに来たのですか?」

 

「いえ、自分はそちらの方に用事です」

 

「お前の様な小僧と知り合った覚えはない」

 

「お初に御目に掛かります。自分は歳こそ幼いですが土方歳三の実子、坪内刈羽と申します!!」

 

シンと静まる居間。

 

斎藤一もポトリと咥えていた煙草を落とし、ゆっくりとまた咥えて、火も点けていない煙草を携帯用灰皿に捻り入れ、静かに私を見据える。

 

あれは、真偽を問う目です。

 

しかし、ここで私が答えると余計にややこしく面倒なことになると思いますし。いきなり、そんなことを伝えたら可笑しくなりますよね。

 

正史では明治二年に土方歳三は死にますが『ゴールデンカムイ』に登場するため、この世界では生きています。そして、その事を知っているのは「転生者」と「新撰組の三人」だけです。

 

「(これは本当に最悪のパターンですね)」

 

「景、説明してくれ。頭が痛い」

 

「わ、私も分からないんですけど」

 

「阿呆が。まともな嘘を吐けるようになれ」

 

うう、本当に私は無関係なのに酷いです。

 

 

 

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