ドクトル・バタフライと瑪瑙幸隆の激闘の翌日、政府の保有する建造物を襲撃し、木刀や鈍器による明治政府の役人を夜道で狙い、暴行するなど幕末の動乱を再現する事件を彼らは起こしている。
警察官を狙う集団を対処する斎藤一と、急遽呼ばれてやって来てくれた御庭番衆のみなさん、そして糸色家の忍びとなってくれた方々も事件終息に励んでいる。
───けれど、一番の問題は陸軍の兵器(銃器や大砲、火薬など)を奪取し、市内で発砲する事件もありました。夜間、日中、どちらも行動を起こす集団です。
「(戦えず、抗えない私を狙う理由は、やはり一度政府と戦った剣客兵器を引き込むためでしょうね。日本諸国を巡って鍛えていた凍座白也は会っている可能性もある)」
いえ、一番の目的は「新・維新」のためです。
「相変わらず店番はお前か」
「こんにちは、斎藤さん」
長椅子に腰掛けて、思考する私に話し掛けてきた斎藤一に挨拶をすると「御託は良い、瑪瑙幸隆の出没先に心当たりはあるか」と差し出してきた地図を受け取り、ゆっくりと拝見する。
「……これ、明治十年の地図ですよね」
「ああ、新しい地図はまだ未完成だそうだ」
「(成る程、明治政府の所有する建造物を襲っている理由は古い地図の影響ですね。霞が関、未来だと官僚御用達の場所として有名な場所を探しているわけですね)……おそらく次は鹿鳴館か霞が関です」
「理由は?」
「疎らに攻撃しているように見えますが、重要な建物を避け、重要な物資を移動している先は、もうこの二つだけですし。なにより内閣が臨時建築局を用意しているのは新聞にも載っていますから」
「チッ。やはり狙いは
そうなりますね。
瑪瑙幸隆という未来を知る人物にとって明治政府の打倒より、最も割り込みやすく、最もデリケートな外交を邪魔できる機会です。
明治十一年のイギリス外交を邪魔していなかった分、此方に戦力を割き、一気に襲撃を仕掛け、日本の出来事その物を変えるつもりなのでしょう。
「相楽と抜刀斎、明神にも伝えておけ」
「え?わ、私がですか?」
この前の怒られているところを見ていたのに、どうして、そんなに酷いことが出来るんですか?と、ちょっとだけムッとした怒った顔を作ってみるものの、逆に睨み返されてビクリと身体を強張らせる。
そ、そんなに怖い顔しないでください。
いえ、それよりもです。
「本当に私が言わないとダメですか?」
「阿呆が。嘘に決まっているだろ、お前はいい加減に嘘を吐けるようになれ」
それは、一生無理ですねぇ……。