「そうえんりゅう?」
「……飛天御剣流と同じく戦国時代に生まれた剣術。ただ、継承する条件は一つ、自分自身の技を編み出す事。攻式三型、守式二型、計五つの技を持つ滅びを宿命付けられた古い流派です」
「守りと攻めの型を分けた流派でござるか。しかし、拙者は水辺を利用する剣客と戦った記憶は一度もござらんが、それはどうなる?」
「故に、滅びの剣です。気と才を持たねば次代に技を遺す事は出来ない。継承式も一度きり。才覚を持てば技を編み出し、次代に繋げる事は出来ます。───そう説明すれば満足ですか?瑪瑙さん」
ぎゅうっと左之助さんの『悪一文字』の法被の袖を掴み、しとりとひとえを守るように抱き締めながら、人混みに紛れたまま距離を詰めてきた瑪瑙幸隆に問う。
私はか弱くひ弱で貧弱なんです。
こんな知略を駆使して戦う感じのキャラというわけではないですし。そもそも悪いことしたいわけではないんですから変な事をさせないでほしいです。
「糸色殿、解説を」
「に、睨まないで下さいっ」
人斬り抜刀斎の顔付きで私を見据える緋村剣心にビクリと肩を震わせ、ささっと左之助さんの影に隠れるも私は彼の腕の中に収まり、緋村剣心の斜め前に立つ状態になってしまいました。
ひどいですっ、あんまりです…!
「景、あの技は何だ?」
そう言って河原を指差す左之助さん。
明神君の目の前に逆巻く水飛沫を起こす武蔵野泰春の攻撃は視野角を狭め、水に揺らめく刀身は光を反射し、太刀筋を狂わせる。
「時雨蒼燕流守式二の型『逆巻く雨』です。水を逆巻く壁として巻き上げ、身を屈め、防御する。あるいは、彼のように錯覚を利用して使います」
「そういう技もあるわけか」
「やはり、糸色殿は…」
…………その「やはり」というのは止めて下さい。アレを教えたのはおそらく瑪瑙幸隆でしょうし。幸い、私が描いて広めた訳ではないから世界は繋がりませんが、あの流派を広めるのはダメです。
使い手を限定化してしまいますし、未来の世界で使える事は絶対にあり得ない殺人剣であり、神谷活心流のように活人剣ではない。
「じゃあ、アッチは?」
「活心流は緋村さんのほうが詳しいですよね?」
「……いや、拙者はそこまで」
自分の奥さんの流派なのに?と少し怪しく思いつつ、しとりと剣路君に聞くも「剣道」の神谷活心流を習う二人は「剣術」の神谷活心流を知らないんですね。
「怒濤の攻めだな」
面打、小手打ちを使い分け、渾身の突きを放って大刀を握る右手の指を殴り、鉄拵えの鞘を踏みつけて、ようやく勝負は終わりを迎えたけれど。
また、懐疑的な視線を受けていますね。