明神君が武蔵野泰春を倒し、更正を願って斎藤一に彼を預けた翌日のお昼頃。斎藤一が何者かの手によって彼が死亡したことを明神君に伝え、彼の慟哭が響いた。
「(私は彼が知っていたのに、何もしなかった。本当に浅ましく自分勝手な女です)」
「…弥彦のヤツは立ち直るのかね」
「……立ち直ってくれると、思いたいです」
「やっぱ、ダチが傷付くのも死ぬのも辛えよな」
その言葉に私は頷くことしか出来ず、ぼんやりと居間のちゃぶ台に置かれた湯呑みを触り、空っぽの中身を静かに見つめることしか出来ない。
辛く重い空気に滅入ってしまう。
私よりも交流していた明神君のほうが辛いはずなのに、本当になんでこんな事ばかり。ですが、ドクトル・バタフライも動いている事態です。
せめて、何かを……。
「っ、またですね」
ああ、本当に本当に本当に本当に怖い。
また、意識が戦う人達を見たいというものに塗り潰されそうになった。瑪瑙幸隆と話してから、まるで吸い寄せられるように、こうなっています。
「糸色君、少し良いかね?」
「今は帰ってくれ。オッサン」
私がドクトル・バタフライの名前を呼ぼうとした瞬間、左之助さんが私の言葉を遮ってドクトル・バタフライの問いかけを否定し、拒絶する。
多分、私を気遣ってくれているんですよね。
「いえ、お聞きします。左之助さん、私は大丈夫ですからお願いします」
「……オレも聞くぞ」
「はい、構いません」
そう言うとドクトル・バタフライも「ありがとう。それに左之助君が聞くのは問題ない話だ」と続け、縁側に腰掛けて私達に背中を向けたまま語り始める。
「一つ、瑪瑙幸隆の目的は『地獄の鍵』を入手し、再びこの世に死者を呼び戻すこと。二つ、時雨滝魅の目的は『懺悔と贖罪』だ。そして、最後は天草翔五の存在を確認した」
「っ、やはりですか」
「あまくさ?」
「四人目の飛天御剣流の使い手です。緋村さんの天翔龍閃、姿お兄様の飛天無限斬、その二つと異なる独自の奥義を持つ方と聞いています」
「剣心と姿以外の御剣流だと!?」
左之助さんの驚きは最もです。
本来、登場する予定のなかった四人目の登場に驚かない人はいません。私自身も「アニメオリジナルキャラクター」が登場する時期に違和感を感じています。
まるで、意図的に時期をずらしているよう。
そうなると黒幕がいることになるのですが、また緋村剣心に私が後ろで糸を引いていると思われ、怪しまれるかも知れないですね。
でも、本当に私は無関係なんです。