某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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慚愧と斬鬼 序

瑪瑙幸隆の所在を知るために潜入していた斎藤一の部下達の何人かを利用し、別動隊の位置を割り出し、「新・維新」の党員は個々に動き始めています。

 

時雨滝魅の行動も異変ばかり。

 

斎藤一や永倉新八、鷲塚慶一郎など名だたる剣客を日中に襲撃している。意趣返し。かつて自分の親友を斬った卑怯な手段を(なじ)り、時雨滝魅は彼らを否定するように日中で戦っている。

 

そのため人目は多く存在し、彼も人目を利用している。警察官の斎藤一、剣術指南役の永倉新八、同じく警察官の鷲塚慶一郎の三人でも止められない。

 

警察官として人の見ている前では捕縛を優先してしまうためです。なにより明治時代に無差別すぎる抗争を仕掛け、撹乱・陽動を主犯格が行えば野心家は食いつく。

 

────つまり、時雨滝魅は生け捕りのみ。

 

いわゆる「見せしめ」という名目上、彼を捕縛した手柄を喧伝し、地位向上を目論む人もいる。すでに捕まっている加治木貞史郎も生きているそうですし。

 

「考え事は済んだか」

 

「ひぃんっ!?」

 

ビクンと身体を跳ね上げて変な悲鳴を上げてしまった事に頬を赤らめつつ、また勝手に上がり込んでいた斎藤一に抗議の眼差しを向ける。

 

が、睨まれれば顔を背けてしまいます。

 

「今朝方、伝書を貰った」

 

そう言って差し出されたのは暗号化したと思われる手紙で、絶対に私みたいな一般人に見せてはいけない手紙だと思うんですけれど。

 

「文脈も文字順もバラバラですね」

 

「警察では匙を投げた。解け」

 

「……本当に私の事を買い被りすぎでは?」

 

そう戸惑いながらも手紙を見る。

 

シーザー暗号や換字式でもありませんし、単純な文字配列を変えたというわけでもない。…数字やカタカナを多用しているようにも見えるけど。

 

「イ」は「1」と考えるべきですね。

 

「(……ああ、ポケベル暗号ですねこれ)」

 

数字を並べて文字を作る。

 

「1133」と書いて「アス」と読み、明日を意味する言葉に変わります。「417555」と書いて「タモノ」。「213372」と書いて「カスミ」。

 

1133 417555 213372(アス タモノ カスミ)

 

「文字配列の暗号だな。よく解ける。新・維新を叫ぶ加治木も完全には理解していない即席の暗号だと聞いているんだがな」

 

「知りませんっ」

 

「だが、やはり田母野が横流しの犯人か。野心家の目を知るものは侮れんな。それと暗号の内容は詳細に書いておけ、取りに来る」

 

……また、やってしまいました。

 

どうして、頼まれると断れないの?

 

 

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