某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

951 / 1069
霞に消える 破

田母野の指示を受けていた強硬派によって「新・維新」の十数名は重傷を負ったものの、死亡者は出ること無かったそうです。

 

ただ、瑪瑙幸隆は依然として捜索中────。

 

闇夜に乗じる事の出来ない人斬り、彼の目的は本当に明治政府の打倒する事なのか分からないけれど。時雨滝魅は過去の後悔を緋村剣心と戦い、清算した。

 

だけど。田母野の私兵の放った銃弾を右肩、鎖骨と二の腕の骨を負傷し、時雨滝魅の剣客としての生き方は終わりを迎えた。

 

現在は重要参考人という名目上、山県卿の庇護下に入り、そのカリスマ性と求心力を活かす場を与える提案を受け、親友か国の板挟みになっている。

 

「(不自然な形式だと思うけど。山県卿の思惑は時雨滝魅を取り込み、そのカリスマ性を利用して不安分子の捜索、地盤を固める土台造りでしょうね)」

 

そう考えて、意識を切り替える。

 

いえ、切り替えないといけないんです。

 

「……不破さん、本当にやるんですか?」

 

「おう」

 

ドクトル・バタフライの作戦というには、あまりにもお粗末すぎる作戦を不破信二は決行する。「古寺にて瑪瑙幸隆を待つ」という瓦版を私名義で貼って貰い、本当に古寺の廊下に座り、私は瑪瑙幸隆を待っています。

 

「何でお前らは景を利用したがるんだ。阿呆が」

 

「あ、あはは…」

 

本当に私もそう思います。

 

信じてもらえるのは嬉しいですけど。その信頼に応える自信は未だに持てず、申し訳なく思いつつ、怖い場所に行かなくていいと安堵してしまっている。

 

しとりとひとえは薫さんにお願いして預かって貰っていますけど。左之助さんは頑なに私の傍を離れる事を拒否し、こうして私の隣に彼は座っています。

 

「来たか」

 

そう不破信二が呟くと血溜まりから瑪瑙幸隆は現れ、怒りと憎悪の眼差しを不破信二に向ける。彼を殺めたのは斎藤一だと聴いていますが、二人に因縁が?

 

グルグルと余計な事を考えてしまう。

 

「不破信二…!」

 

「おう。修羅(オレ)だぜ」

 

……今、変な感じに聴こえましたね。

 

「以蔵を捕まえたクソ野郎が、ブッ殺す!!

 

その言葉に思わず、私は目を見開く。

 

史実では同心によって死んだ岡田以蔵は、此方の世界だと瑪瑙幸隆に捕まり、同じ土佐の人達に拷問を受け、毒殺され掛け、首を斬られたというのですか?

 

それでは、あまりにもっ。

 

「景、前見てみろ」

 

「………血涙?」

 

不破信二も瑪瑙幸隆も血涙を流している。

 

いえ、確かにそうですよね。幕末の時代で二人は親友を亡くし、お互いに決定打を与えた訳じゃないけれど。間接的に親友の死に関わっている。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。