某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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君を斬り思ふ 破

不破圓明流「虎砲」によって下顎を頭蓋の中に陥没する勢いで叩き込まれた瑪瑙幸隆は黄泉還りを留める気力を失い、完全に消えてしまった。

 

左之助さんもあの一撃を受け、更には陸奥圓明に伝わる奥義を身体に受け、核鉄の中に沈めて二週間も絶対安静を余儀なくされました。

 

「やろうぜ、左之助」

 

「しょうがねえなァ…!」

 

蛮竜を呼び寄せ、青白い電撃を纏う左之助さん。なにそれ、知らない。まさか志葉様と戦ったときから、こっそりと練習していたんですか? 

 

そう少しだけ見当違いな事を考えながら荒々しく吹き荒れる風を切り裂き、蛮竜を振るえば熱波を生み出す。しかし、不破信二は右手を突きだし、力んだだけで蛮竜の〝熱風〟を相殺した。

 

────圓明流「奥義」無空波。

 

本来は相手の身体に拳を押し当てて、回避不可能にして防御不可能の振動を放つ技。ですが、不破信二は空気中に向かって〝無空波〟を放ち、蛮竜の攻撃を搔き消してしまった。

 

「もはや怪物だな」

 

「ひうっ?!」

 

いきなり真横に現れた男の人の声に驚き、慌てて見上げると白外套を羽織り、陶器の酒瓶を持った比古清十郎が私の隣に腰掛ける。

 

「……怪物じゃないです。左之助さんは人のまま修羅に挑もうとしているんです、確かに蛮竜を使ってようやく互角に競り合えていますけど」

 

「慧眼の冴えは衰えていないようだが、お前の見るべき相手は不破の小僧だ。以前の戦いの事は柏崎に聴いているが、相も変わらず底の見えん男だ」

 

比古清十郎でも底が見えないる?と困惑ぎみに不破信二を見つめる。身体を切り裂かれ、血を噴き出すも筋肉を締め付け、止血して咆哮を上げる。

 

修羅王。

 

対するのは、羅刹。

 

お互いに死力を尽くしています。しかし、瑪瑙幸隆という強敵と戦って直ぐの連戦。左之助さんがどれだけ強くなっても未だに追い付けていない。

 

「ルオォオッ!!」

 

「シャラアッ!!」

 

左之助さんが蛮竜を振るい、不破信二は蛮竜の刀身を殴り、お互いのおでこをぶつけ合い、皮膚が裂け、血を噴き出しているのもお構い無しに頭突きを交わす。

 

「があっ!」

 

「じぃっ!」

 

刹那、右拳と左拳が衝突した。

 

二重の極み、虎砲の相討ち。指の骨が砕けているのか、二人とも片腕を捨てる。だけど、左之助さんなはまだ蛮竜が残っています。

 

既に不破信二は無空波を使っている。左之助さんの勝ちです、そう確信していた私の目の前で左之助さんが片膝を地面に落とした。

 

なにをされたのか。

 

私にも見えなかった。

 

いえ、不破信二は巴投げをしたんですね。

 

 

 

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