某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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羅刹を宿す者 破

僅か一週間で完治した左之助さんと不破信二の二人のタフネスに戦々恐々としながら、あそこまで壮絶な戦いを繰り広げていたとは思えないほど普通に話し合って、自分達の改善点を言い合っている。

 

やっぱり、左之助さんも羅刹になってしまったんですね。人のまま鬼を宿す人は何人か知っていますけど、左之助さんのように羅刹に至った人は初めてです。

 

「糸色、次の仕事だ」

 

「え?」

 

「天草翔伍を捜索する」

 

「いえ、あの?……私、要りますか?」

 

「阿呆が。山県卿も先日の死闘を見ている。なによりお前を引き込めば必然的に剣客兵器、御庭番衆、諸々の忍び達が政府に附属する事になるのだ」

 

それは、私ではなくお父様ですよ?と思いながらも睨まれると何も言えず、僅かに視線を逸らして「お父様に頼んで下さい」と呟く。

 

しかし、返ってくるのは呆れた顔だけ。

 

私、前世で何か悪いことをしてしまったんでしょうか。いえ、悪いことなんてしていませんね。精々家過労して働き詰めていただけです。

 

そもそも悪いことはしていないです……はずです。

 

「左之助さん、どうしましょう?」

 

「斎藤がお前を呼ぶって事はお前を狙ってるからだろ。それに川路のオッサンにも似たような事言われたんじゃねえのか?」

 

「?……あ、アレってそういうことなんですね」

 

成る程、裏の有りそうな事ばかりでしたから変に警戒していましたけど。私の立場を考えると後手に回らず、先手を打って確保する事を優先したわけですね。

 

「で、そいつが景を狙う理由は?」

 

「知らん。が、吉利支丹とは聴いている」

 

吉利支丹。

 

イエス・キリストを信仰する宗教ですが、伝来当時は弾圧を受けて秘密裏に信者を増やしていたそうですけど。私は吉利支丹ではないですよ?

 

……私を狙う理由、なんでしょうか。 

 

「お前は神の御業を使えるだろう」

 

「神の御業?」

 

サンピタラカムイ様の御加護と定期的な神酒の摂取は続けていますけど。アレは、あくまで娘達の晴れ姿を見るまでの延命措置ですよ?

 

「……狙いは、ひとえの癒やしの力でしょうか?」

 

「傷の治りを早める力だったか」

 

いえ、今は進化して傷を治す異能ですね。

 

しとりは肉体的な強さ。ひとえは能力的な強さ。二人とも左之助さんの健康的な身体を引き継いでいるので大怪我を負ったりすることはないですね。

 

それにしても、です。

 

私を呼び込んだところで吉利支丹の繁栄に役立つとは思えない。いえ、絵草紙による影響力を利用したいと考えるべきかな?

 

そうなると、また話が変わりそうですね。

 

 

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