もう機巧芸術家とかそういう枠組みに留まっていない髑髏野郎の振るう水の剣を躱し、弾き、その弾いた飛沫が針に形を変えて身体を貫く。
「ぐがあ゛ァ゛ッッ」
「全く私の大事な時間を奪っているという自覚が無いのかね。こうしている間にも糸色先生は衰弱しているのかも知れないと考えもしないのかい?」
「テメェは何処まで外道なんだッ!!」
その言葉に怒りで蛮竜を髑髏野郎にぶん投げ、そのまま地面に向かって二重の極みを放つことで土石で壁を作り、オレは真っ直ぐに髑髏野郎に駆け出す。
「なっ、にぃいっ!!?」
「うぉらあっ!!」
土煙を突っ切ってきたオレに驚き、防御の構えを取る髑髏野郎の両腕の交差する箇所に右拳の二重の極みを撃ち込み、骨身の砕ける音と感触が拳に伝わる。
「ご自慢の手先は砕けたぞ、コラァ゛…!」
血反吐を吐き、倒れ伏す髑髏野郎を見下ろす。
「お、己ェ…無粋な破落戸風情が!」
「…お前、爺じゃねえか……」
「頭巾が…!」
頬を痩け、皺のある顔。
声色は若く瑞々しさを感じさせていたが般若の野郎も変声なんていう技術を使っていた事を考えると、そう難しい技術じゃねえのか?
───と、考え事は後回しだな。
「オラ、その腕じゃもう戦えねえだろ。さっさと景と嬢ちゃんの居場所を吐いとけ」
「わ、私がこの程度の傷で引くと思うか!」
両腕から滴り落ちる血溜まりに立つ髑髏野郎の言葉に溜め息を吐き、二度目の二重の極みを繰り出そうとした瞬間、またしても大量の機巧忍者が現れ、全身を駆使してオレの身体に飛びつき、今度は小太刀や苦無を投げ付けてくる。
「いい加減にしろよ、テメェ!!」
オレは髑髏野郎の近くに突き刺さっていた蛮竜の柄を蹴り上げ、無理やり腕の中に引き寄せ、力任せに大鉾の刀身を振り上げ、機巧忍者を振り払う。
「次に会うときがお前の最後だ。相楽左之助!」
しかし、またしても髑髏野郎は消えていた。
「っそがあぁぁぁ!!!」
地面に蛮竜を叩きつけ、景の手懸かりを掴み損ねた事に怒りながら周囲に拳を叩きつけ、手当たり次第に八つ当たりを繰り返していたとき、足元に何かを見つける。
「…ハアッ……ハァ…ッ…さっき、水になった…」
ぶそうれんきん?とか言ってたヤツを拾い上げる。
コイツを餌に使えば景と嬢ちゃんの居場所を掴めるかも知れない。だが、斎藤のヤツに渡すにしても、あんな物を信じるとは到底思えない。
…それでも手懸かりになるなら、あんな手品なのかも分からないもんでも使えるものは全部使って、二人の居場所を突き止めて、弥彦達に知らせてやらねえとな。