オレと弥彦が崖を上がり切るとススキの生えた野原を駆け抜ける超神速同士の剣戟の応酬は続いていた。オレは逆刃刀を手放すまで幾度となく挑んだ剣心に追い付き、太刀を振るう天草翔伍にオレは歯軋りをする。
剣心のヤツはオレに手加減した事は一度もない。無論、人斬り抜刀斎としての本気を体感した訳じゃねえし、流浪人としての剣を振るう緋村剣心を間近で見続けていたのは、少なくともオレと弥彦だ。
三味線を引くヤツじゃねえのは重々承知だ。
「あれも飛天御剣流の技なのか」
「
「不破や陸奥と同じ、殺しの
あの天草翔伍ってヤツは、ソイツを使わねえと倒すことは出来ない相手と剣心は見極めたわけだ。その事実にオレは悔しさを抱く。
オレと剣心は親友だ。
だってのに、オレはアイツの本気を引き出してやる強さを持っていなかった。いや、アイツは元々本気だったんだろう。オレが斬左の時からそうだった。
剣心は未だ信念を曲げずに戦っている。
「飛天御剣流、天龍閃!!」
「飛天御剣流、龍巻閃!!」
地を見据えたまま逆巻く龍の如く宙を舞う剣戟、天を見上げたままとぐろを巻く龍の如き剣戟。お互いに錐揉み状に身体を捻った分、木刀と太刀の重さも加わることで破壊力は僅かに太刀が勝る。
いや、木刀の重さに遜色は感じねえ…!
「てん、龍閃…」
お互いの背中を斬り付ける筈が、刀身の衝突によって剣心と天草翔伍はお互いの身体を大きく吹っ飛ばしながらも体勢を崩さず、お互いを睨み、見据えた。
だが、天草翔伍は右手に握った太刀を掲げる。
「雷鳴と共に散れ────」
そう天草翔伍が言い放った瞬間、アイツの掲げた太刀は目映く発光し、雷鳴を伴って放たれた光は極光と化し、オレ達の目を射貫いた。
「……?何が起こった」
右手で目を覆いながらボヤける視界で前を見る。
其処に居たのは光を放った筈なのに狼狽える天草翔伍と、自分の手を見つめて何が起こったのか分かっていない剣心がいるだけだ。
「馬鹿な、雷龍閃が効かないだと!?」
「らいりゅう……雷の龍でござるな。生憎、拙者は数年前に
「おい。言われてるぜ、左之助」
「ヘッ。オレが雷の竜ってか」
こっ恥ずかしいじゃねえかよ。