某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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糸色さん視点に戻ります。


飛天御剣流 急

天草翔伍と緋村剣心の死闘は原作同様に緋村剣心の勝利に終わったけれど。二人の決着は天翔龍閃ではなく九頭龍閃によって決したそうです。

 

「薬を用意していた?」

 

「はい。貴方の事は調べましたので」

 

そう手枷を嵌めて独房に収容された天草翔伍……いえ、武藤翔伍さんに伝えると安堵したように身体の力を抜き、ゆっくりと彼の事を見つめる。

 

やはり、あの二人に似ていますね。

 

「糸色殿、感謝する」

 

「フフ、お礼は貴方の助けた人達に言って上げて下さい。貴方の助命を願う運動を続けているんです」

 

私の言葉に顔を覆う武藤翔伍さんの気持ちを分かったつもりになることは出来ません。しかし、あの子達に会うには、きっと彼も必要になるかもです。

 

いえ、今後も必要なことです。

 

私の『前世の記憶の保持』は本当に変則的に情報を与えてきます。いえ、『特典』に意識や自我が宿るなどあり得るのかも分かりませんけど。

 

兎に角、本当に必要なことです。

 

「それで、何が目的だ」

 

「……えと、何も目的はないですよ?」

 

「嘘だな。そこの斎藤一や他の警官がお前の事を話していたぞ。『また糸色案件だ。今回は妖怪か?』とか『神の子を名乗る相手だそうだ』とか様々な声が聞こえる」

 

「さ、斎藤さん?」

 

「事実だろう。お前の関係する事件は何故か三十年前にも何件か残っているぞ」

 

「私、二十四歳ですよ?」

 

「阿呆が。知っている」

 

三十年前の事件で何件か残っていると言われても私は生まれていませんし。まだ若い頃のお父様ということになるのですが、おそらく違うのでしょうね。

 

「安心しろ。糸色の言葉に裏は無い。あったとしたら既にお前も俺も生きていない」

 

まるで、私が黒幕のように言いますね。そこまで変な事を話したりした記憶は無いんですけど。一体、何を勘違いしているんでしょうね。

 

いえ、私の言動で勘違いを?と考えるも裏も表もなく話していますし。そもそも私はウソが苦手ですから、そういうことも苦手です。

 

「…左之助さんもそう思っているんですか?」

 

「知らん。が、アイツはお前の全てを愛すと誓ったのだろう?お前のやりたいことも手伝う。それで十分だと思っておけばいい。

 

あはは、あまり返せている気がしませんね。

 

そう思いながら独房の前を離れ、武藤翔伍さんの事を助命するように願う人達の言葉は伝播し、隠れ吉利支丹達は手を取って彼の命を助けることを願っている。

 

「糸色、アイツを生かす理由を聞きたい」

 

「武藤ですよ?」

 

「それがどうし……そういうことか?」

 

意外と未来の事は近くに落ちているものです。

 

 

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