こっそりとドクトル・バタフライにお願いして私の事を怪しく思っている人を調べて貰ったところ、私とは一度も会ったことも話したこともない人まで「怪しい」と答えたそうです。
大抵の理由は「笑顔が怪しい」「何を考えているのか分からない」というものですけど。緋村剣心や斎藤一は「アイツには裏がある」という謎の確固たる自信を含んだ回答を得ている。
私も自分の事を清廉潔白とまでは言いませんが、悪いことはしたことないです。精々ダイナマイト製造法を早めたり、ちょっと脅されて兵器開発の図形を描いたりとしただけですし。
やはり、それがダメなのでしょうか。
……ダメですね。うん、すごく悪いことです。
「糸色、お前宛の手紙だ」
「……斎藤さん、東京に戻ってきたから私の家に来ること増えましたね」
「阿呆が。お前の所為だ」
「そこまで、私って怪しいですか?」
「陸軍や政府が警戒しているのはお前単独ではなくお前の知識を利用しようと躍起になり、徒党を組む奴らだ。加えて言えばお前の弱さもその原因だ」
身体が弱いのは少しだけ改善しているんですよ?と言いながら斎藤一に貰った手紙の封を切って、一行目を読む前に閉じる。
「どうした」
「恋文です。お返しします」
NTRは悪い文明です。撲滅せよ。
「ホウ。一行目で『愛する糸色景様』とはな」
「読まないで下さい。あと私は相楽です」
どうして、みんな私を糸色と呼ぶのでしょうね。もう十年近く左之助さんと夫婦だというのに、自分の願望を押し付けるのは止めて欲しいです。
そもそもお付き合いも婚姻も一人だけです。
……重たいですかね。
「一応、気をつけておけ。俺に手紙を回してきたのは上の奴らだ。政府か警察のどちらかがまたお前の事を取り込もうと考えている」
「やめてほしいですねぇ…」
「今更だと思うがな」
「……ああ、そうでした!」
「今度は何だ?」
「姿お兄様の伝を借りて見つけたんです」
そう斎藤一に話しながら家内に在る物置に向かい、長細い木箱を抱えて斎藤一の待つ居間に戻り、彼に向かって木箱を差し出す。
「……また銃か?」
「違いますよ?!……コホン、貴方の刀です」
「俺の?」
私の言葉に目を細める斎藤一。ゆっくりと木箱の蓋を開け、刀袋に包まれたそれを手に取った瞬間、斎藤一の目が僅かに見開く。
「この重さ、鬼神丸国重か?だが、俺の使っていた物より僅かに反りも浅く長い。太刀から打刀に変わる際に出来た一振りだな」
「流石です。姿お兄様の収集品の一つなのですが、砕いた刀の代わりに贈ると」
「ホウ。安易な挑発だ、殺してやろう」
えと、そういう意味じゃないと思いますよ?