某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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剣は幕を降ろす 序

緋村剣心と左之助さんの最後の喧嘩は、左之助さんの勝利で幕を降ろした。二人とも満足したように笑い、同じ病室で恵さんのお世話になっています。

 

この前九能君と婚姻を結び、夫婦になったそうです。良かったと思う反面、よく九能君の猛アピールを躱し続けていたと感心してしまいます。

 

「剣心、次は将棋の勝利だな」

 

「おろぉ……拙者はもうヘトヘトでござるよ」

 

「何言ってんだよ。まだやれんだろ?」

 

「同室にしたのは間違いだったわね」

 

「あ、あはは、すみません」

 

病院だからと簡易的な将棋盤を作ったのは私ですが、まさかここまで気に入って貰えたのは予想外です。けど、左之助さんが楽しそうで私は嬉しいです。

 

そう思っているとコンコンコンと戸をノックする音に、私達は後ろに振り返るとドクトル・バタフライがリンゴや蜜柑など入ったお見舞い品を持っていた。

 

「Hello。元気そうで良かったよ」

 

「バタフライ殿、突然の来訪とは、また事件を起こしたでござるか?」

 

「いや、生徒に手を出したと見たぜ」

 

「HAHAHAHA。ユニークなジョークを聴くのは好きだが、私のONLY ONEはマイ・ワイフだけさ」

 

「わ、いふう?」

 

「ワイフ。奥さんの事です」

 

困惑する緋村剣心に教えてあげつつ、お見舞い品のリンゴの皮を果物用の小刀を使って剥き、お皿にウサギさんリンゴを並べると、しとりとひとえが「かわいい!」とはしゃいでしまう。

 

フフ、お家に帰ったら阿部さんの送ってくれたリンゴを使って、お母さんがまたウサギさんを作ってあげますから、今は一つずつですよ?

 

そう話しながら左之助さんと緋村剣心、お見舞いに来ていた薫さんと剣路君にも差し出す。

 

「景さん、ありがとう」

 

「ありがと」

 

恵さん達にも行き渡ったリンゴのウサギさんに満足しながらドクトル・バタフライを見上げる。おそらく、もうすぐ始まる「妖逆門」のことでしょうけど。

 

あの「物語」に大人は不可侵です。

 

しとりは迎えますけど。

 

この子の進むべき道ですが、私の予想が正しければしとりは「華院一族(かいんいちぞく)」の撃符狩りと戦うことになるはずです。

 

そうなれば、とても苦しく辛い事も経験してしまう。太陽のように天真爛漫な笑顔が翳ってしまったらと想像するだけで不安になります。

 

だけど、しとりなら大丈夫です。

 

「景、何考え込んでるんだ?」

 

「え?ああ、いえ、なんでもないですよ?」

 

「「「「ウソが下手すぎる」」」」

 

「ひぃんっ…!」

 

みんなが一斉に私の事を見つめながら、呆れたように同じことを言い、ビクリと身体を跳ね上げて情けない悲鳴を上げてしまいます。

 

 

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