そして、時代は明治19年から四年後。
明治23年(1890年)へと時代は進みます。
倫敦へ 序
英国・
日本の元号は明治23年、世界的には1890年。私、相楽景は家族と共に渡英し、少し熱狂的な噂話やオカルトチックな話題、切り裂きジャックの噂を真しやかに話し合い、盛り上がっている
ドクトル・バタフライの友人であり、英国紳士および英国淑女の嗜みとも言える礼服の
「ありがとう。Mrs.糸色」
「いえ、ご近所さんですし。シュタインのお爺様はしとりとひとえに優しくしてくれますから」
「何、紳士の嗜みさ」
そう言ってアール・シュタインは微笑みを浮かべる。しかし、どうして米名のアールに、独姓のシュタインという歪さを名前にしているのでしょうね。
特に気になるのは左之助さんです。
英国といえば錬金術師、ひいては魔術師の本場そのものです。その最中に左之助さんという肉体的強さの頂点に君臨しているような存在が現れればどうなるか。
簡単に想像できます。
「しとり、ひとえはどうしたの?」
「ん!絵本読んでるよ」
絵本。
シャーロック・ホームズ関連のものでしょうか?と首を傾げながら考えていると、悪い人達を引き摺っている左之助さんがお店の外に見えた。
こちらに移ってから左之助さんは毎日のように喧嘩しているけれど。交易……いえ、こちらだとお菓子の工場を経営しています。
「(表向きはチョコレート工場、某映画を思い出させますけど。普通の安全面を徹底的に重視したお菓子の工場ですから、みんな買ってくれます)」
しかし、僅か半年で倫敦のお菓子工場を掌握できてしまったのはアレです。我が事ながらもやり過ぎてしまったような気がします。
今後はもっと気を付けないとです。
「Mrs.糸色、ちょっと言いかね」
「なんですか?シュタインさん」
「ホムンクルスとフランケンシュタインの異種バトルを地下で行っているようなのだが、そちらで対処してもらえるだろうか」
「……ここ半年で27件です、流石に多いです」
「ハハハ、よくあることさ」
よくあることじゃないですよ、もう。左之助さんの良からぬ噂が増えたらどうするつもりですか。私の大切な人が怪物扱いは悲しいです。
「で、どうする?」
「どうするって、戦うのは左之助さんですから私の一存で決めて良いわけじゃないですよ?」
そういうところ、しっかり話し合わないとです。
夫婦円満の秘訣です。