「テメェら、俺を無視すんじゃねえ!」
いきなり叫ぶフランケンシュタインの怒声にビクリと身体を強張らせながら建物の影に隠れ、落ちてきたミミズクを見つめる。
この子、意外と可愛いんですね。
「奴さん、本気でキレてやがるぜ」
「知りません。貴方の相手でしょう。エルム、そんな高いところに居ないで、早々に降りてきて下さい。少し気になることがあります」
「何処にでも無愛想なのは居やがるもんだな。景、コイツはブッ倒して問題ねえんだよな?」
「大丈夫ですっ。それより前を!」
くるりと後ろに振り返ってきた左之助さんの質問に答えつつ、角質を増やして球体に変化したフランケンシュタインの突進を左之助さんはまともに受ける。
目測100キロを越える巨体の突進を受け、左之助さんの身に付けていたシャツは千切れ、避け、筋肉質な素肌を晒してしまいます。
───けれど、左之助さんは無傷でした。
「なんでぇ安慈より軽いじゃねえかよ」
「あ、アンジー?」
「じゃあな、肉団子」
目標と方向転換を行うために出ていた頭を力強く殴り、その衝撃に耐えきれなかった電極は粉々に砕け、動かなくなったフランケンシュタインに左之助さんと私は手を合わせ、静かに冥福を祈る。
誰だって死後の身体を好きにして良いわけではありません。ゆっくりと背負っていたトランクケースを下ろして、フランケンシュタインだった身体を包める布を取り出し、彼の身体を覆い隠す。
「随分と優しいようですが、この程度の些細な事態に毎度繰り返していたら身が持ちませんよ」
「……そう、ですね」
彼の言う通りだと私も分かっています。
しかし、だからと言って人の死を冒涜する蛮行を見て見ぬふりは出来ません。それに、私が死んだ後も同じことをされたら、とても怖いですから。
「お姉さん、どこかで見たことあるよ!」
「あら、そうなの?フフ、何処でしょうね」
よしよしと無警戒で無邪気に近付いてきてくれたエルム=L=レネゲイドの頭を優しく撫でてあげる。キョトンとした後、すぐに嬉しそうに抱きついてくる彼女に思わず微笑んでしまう。
フフ、とても可愛い女の子ですね。
「景、和むより先に怪我人いるぞ」
「えっ、あ、そ、そうでした!」
慌てて身体を縫い付けられたフィリップ=ウィルキンソンの身体を、彼の恋人と一緒に受け止め、まだ清潔さのある教会の長椅子を借り、腹部と肩の傷を見る。
恵さんに貰った医学書、ドクトル・バタフライの手術技術、その二つと『料理のスキル』を複合して、ひみつ道具の『きよう手袋』を使えば簡易的な治療は出来ます。
家族で渡英するとき、心配してくれた恵さんのおかげで左之助さんを手当てできる程度の技術は身に付きました。それに核鉄を合わせれば大丈夫です。
「どうぞ、栄養剤ですけど」
そう言ってフィリップ=ウィルキンソンと、アザレア・ミレーの二人に食べ物を手渡す。これも、ひみつ道具のひとつですから、大丈夫なものです。