某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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激昂と医者 序

「HELLO。元気そうで安心したよ」

 

「はい。元気です」

 

フンスと胸を張って力こぶを作って見せるも、クツクツとドクトル・バタフライは笑うばかりで、あまり驚いているようには見えない。

 

これでも力こぶ付いたんですよ?

 

筋肉どころか脂肪も付きにくい身体が成長したというのに酷いです。いえ、女性の体型を指摘するのは紳士にあるまじき行為と思っていそうですし。

 

仕方ないのでしょうか。

 

「糸色君、淑女なのだから袖を捲ってはいけないと思うのだがね。いや、先ずは恵君の用意してくれた薬と手紙を渡しておこう。しとり君とひとえ君の分もね」

 

「ん!ありがと、ばーちゃん!」

 

「ばーさま、ありがとお!」

 

「……ばあさまは止めないかね?」

 

「「だめなの?」」

 

ウルウルと瞳を潤ませてドクトル・バタフライを見上げる娘姉妹に何処でそんなことを覚えたのかと聞きたい気持ちを押さえつつ、彼を見ると穏やかに笑って「HAHAHA。勿論、ダメに決まっているだろう」と言い切った。

 

流石はドクトル・バタフライですね。

 

子供相手でも容赦しない。

 

ここ数年ほどドクトル・バタフライの人間味が薄まっているように感じるものの。怖くて聴けません。いえ、悪いことではないのかも知れませんけど。

 

「ばーちゃん、だめなの?」

 

「私は男なのだ。せめて、じーちゃんにしたまえ」

 

「? ばーさま、じーさまなの?」

 

「うむ、私は年齢的にじーさまだ」

 

二人の純粋な質問に、普通に答えるドクトル・バタフライに感心する反面、何度か病気で死にかけながらも二十八歳(数え年の二十七歳)まで生きてきた自分を少しだけ誇らしく思います。

 

「(このまま頑張れば、しとりの晴れ姿を見ることは出来ます。あと四年、四年生きればしとりは十五歳です。元服になりますから、剣路君と左之助さんに託せます)」

 

ひとえの晴れ姿も見たいですけど。

 

そろそろ限界なのはもう分かっています。

 

「オッサン、何にしてんだ?」

 

「HAHAHAHA!!Sorry Sorry!!!!」

 

「謝って済むか。景は疲れてんだぞ?」

 

「知っているさ。だから私が来ている。彼女の血を使って作ったホムンクルスの幼体だ。糸色君、使うのなら使わせて貰うかね?」

 

「お断りします。私は、私です。私という存在を汚す行為はしません。ドクトル・バタフライ、蝶野刺爵、私という人間の矜持を脅かす行為は許しません」

 

「…………」

 

「景は、オレより頑固だ。オッサンなりに助けたい気持ちは分かるが、景は人のまま居たいんだよ。辛くても最期まで人のまま過ごしたいんだ」

 

そう言って私の傍に座ってくれる左之助さんの手を握り、コクリと頷いて、ドクトル・バタフライに「ご厚意は嬉しいです。ですが、私は人間で居たいんです」と伝えて、彼の提案を断った。

 

 

 

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