不自然に増えるフランケンシュタインを無力化していくしとりの動きは緋村剣心や姿お兄様に酷似し、振るう流儀は神谷活心流とは思えぬほどアクロバティックに市街地の建物を蹴り、駆け抜ける。
超神速に届かなくても圧倒的な速さを誇り、一打一刀にてフランケンシュタインの身体を感電させ、鞘をレンガの壁に突き立て、電光丸を納刀する。
すると、青白い電光を発し、しとりは舞う。
超電磁抜刀術。擬似的に天翔龍閃を再現しようとしたドクトル・バタフライによって電光丸に付与された、僅か10秒間というタイムリミット付き超速剣───。
簡単に言えば無差別に斬り進める技。
ただし、無血必倒の技です。
「ん!勝った!」
「爽やかに勝利宣言したぞ、お前の娘」
「ひーもできるよ?」
「妹も出来るのか。末恐ろしいな」
そう言って感心するDr.ピーベリー。
ひとえはまだ小さいからダメですよ?と諭しつつ、ぷくーっと不満そうに頬っぺたを膨らませる彼女の事を優しく抱き締めてあげる。
可愛いけど、ダメです。
チラリと切り裂きジャックと戦っている人達を見る。みんな、ほとんど無傷ですが、ヒューリー・フラットライナーだけは傷を無視して特攻し、切り裂きジャックを追い詰めていく。
「(原作より人数差を有する此方の有利に変わりはありません。ですが、どうにも違和感を感じてしまいます。何かを隠しているのでしょうか)」
「アシュヒト、2番目の肺機能に何かを付け足したのか。不規則に呼吸を繰り返しているぞ。人造人間のアイツに疲労感は無いはずだ」
「……えぇ、少し弄った痕は見えますね。その影響で排気口は詰まっている。加速性能に無駄な機構を取り付けた結果、リッパー・ホッパーの身体は重くなっています」
「私の推測と同じというわけか」
「えぇ、完全に内部構造が変わっています」
要するにエンジンを交換したせいで動きがお粗末になっていらということですね。確かに、あれだけ驚異的な肺機能を有しているのなら、改造を加えるのは愚策です。
わざと、嘘の改造を教えていますね。
しかし、問題は誰が教えたのかです。
機能特化型を調整・整備できるのは極少数であり、そのひとりはアシュヒト・リヒター、彼の父親、そして夜会の統率だけです。
「で、お前はどう思うんだ」
「え?」
「分かっているだろう。お前の目は正確にリッパー・ホッパーの不自然な箇所を追っていた。私とアシュヒトよりも早く気付いていたんだろう」
そう言うと煙草の灰を地面に落とし、彼女は脊髄ごと肺を引きちぎられる切り裂きジャックを見上げた。