某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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死体は好きかね 序

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)あるいは、肺機能特化型人造人間(フランケンシュタイン)「リッパー=ホッパー」の遺体を火葬し、二度と目覚めないように葬る事を終えて一週間ほど経過し、殺駆達の事を知ろうとするDr.ピーベリーとアシュヒト・リヒターの二人に私は疲弊しています。

 

二人の技術意欲は素晴らしく物覚えも良いですが、私に教える事の出来るのは物書きや料理だけです。人間の改造なんて無理です。

 

左之助さんは自然体のまま筋肉繊維や骨密度、神経節に至るまで地道な積み重ねの先に到達する達人の領域に居るだけで、こっそりと修行内容を変えているだけです。何も改造なんてしていません。

 

「ケイ、日本語は読めない。英語か独語に訳せ」

 

そう言って下着姿のままソファに腰掛けるDr.ピーベリーに「子供に見せるには不埒ですから服を着てください」と伝えつつ、私は彼女の読む機巧人形の製法を記した書物を返して貰う方法を考える。

 

「あの、ピーベリーさん、そろそろ返して下さい」

 

「断る。返して欲しかったら白紙の本(・・・・)を読んでいた理由を教えろ。お前の知識量は明らかに人の域を越える代物だ。脳髄を引きずり出して調べるぞ」

 

「お、脅しには屈しませんよ…!」

 

ぎゅっとソーサーに乗ったコーヒーカップをテーブルに置くと同時に対面側のソファに隠れ、しとりとひとえと遊んでくれているエルムさんを見つめる。

 

「ん!えーちゃん、つよい!」

 

「ふふーん!そう、エルムは強いんだよ!」

 

「えーちゃん、もちもち!」

 

「エルムのお肌はモチモチなのさ!」

 

向こうはほのぼので可愛いですね。

 

左之助さんはアバーライン警部と工場の方に行っていますし、ここにいるのは私の事を虐める悪いお姉さんだけ。年下に虐められるのは悲しいです。

 

「しかし、歯車仕掛けがああも動くとは予想外だ。錬金術、強ち嘘や偽物ばかりでは無さそうだな」

 

「そう、ですね……ホムンクルスは人造人間と違って単一性を高めたある種の進化ですが、その身体を維持するためにエネルギー源を必要とします」

 

「電気か?」

 

「いいえ、タンパク質です」

 

「タンパク質?……成る程、人間か」

 

「正解です。ただ、あくまで失敗した場合、タンパク質を過剰摂取しなければいけないだけで、ドクトル・バタフライのように人間と同じように過ごせる肉体こそホムンクルスの完全版です」

 

「クククッ。普通に聞くより質問した方が良さそうだな、意外とおしゃべりで助かったぞ」

 

だ、だま、いえ、謀りましたね!?

 

 

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