雷鳥 の 瑠璃紫苑 -らいちょう の るりしおん- 作:LeeMinwoo
この物語については、パラレルワールド(並行世界)、マルチバース(多元宇宙)などを題材とした、クロスオーバーがメインとなる作品です。
関連するキャラクターは「ローカルヒーロー」がメインですが、ヒーローやヴィランは実在します。
しかし実在するヒーロー様や実在する団体様、公的機関や行政機関や企業様などにはなんの関係もございません。
先方へのお問い合わせはご遠慮頂き、もしご用命ございましたら作者までお問い合わせ下さい。
オリジナルキャラと他作品のキャラクター、流用設定等が登場します。
キャラの性格違い、解釈不一致、ご都合展開などが苦手な方はご遠慮下さい。
「ローカルヒーロー」がメインの作風ではありますが。
作中「ローカルヒーロー」と言う言葉が出ることはございません。
あくまでもこの世界では各地に点在する「ヒーロー」である事を予めご留意ください。
誤字脱字や駄文ご容赦ください。
誤字脱字はコメント欄にてお伝えいただき、ご教示頂けると幸いです。
以上の事をご理解頂いた方へ
お楽しみいただける事を深く祈ります。
⬛︎新千歳空港-8:00-⬛︎
「治療本当にいらないのか?」
心配そうに訊ねるミントリガー。
「問題ねぇよ、知ってるだろ?こっちは立ち所の治るんだからさ」
あっけらかんと返すオークジャック。
その手にはお土産の品をしっかり携えて、関東へと帰る様子だった。
普段のヒーローとしての格好ではなく、チェック柄のシャツにライダースジャケットを羽織ったカジュアルな服装に身を固めるミントリガー。
オフのスタイルは主にこの通りの格好である。
対してオークジャックは、紫を基調にしたスーツを着ている。
オークジャック曰く、スーツ着て空港とかなんか“ばえる”だろ?
との事だった
「しかしよぉ、飛んでいけば良いのに、わざわざバイク乗って来る意味あんのか?久々の2ケツ、悪くなかったけどよ」
「知ってるだろ?俺がバイクに乗るのは、趣味だよ」
お互い静かに笑う。
「次からああ言う事は避けてくれよ」
「あぁ、言っただろ?アレは“適材適所”なんだって」
わかってはいる、アレが最適解だった事も、その結果の賜物であった事も、全て理解している。
しかしミントリガーはどうしても気になってしまう。
「それでも俺は、友人や仲間が傷つく姿を、見たくないんだよ」
ぽりぽりと頭をかきながら、オークジャックはミントリガーに対して語り出す。
「俺たちヒーローがヒーローであり続ける限り、危険はつきもんだろ?仕方がねぇじゃねぇかよ、好きでヒーローやってんだし、持てる力活かしてなんか問題でも」
「その認識が間違ってる事だってあり得るだろ!!」
突然声を荒げるミントリガー。
単純に驚いたオークジャック。
ミントリガー自身も驚いていた、こんなにも自分が興奮するとは思っていなかった。
「今はいいかもしれない…万が一の話だ、不死身じゃなくなったりしたらどうする?」
「んな事ねぇっての、俺の原点だぞ?」
「だから万が一のっ」
「だから真面目かおめぇは!」
オークジャックはミントリガー近づき肉薄する。
「俺はただ…不安なんだ」
悔しそうに俯くミントリガー
「その不安ってなんの不安だよ、あ?俺に対してか?おめぇか?第一におめぇはどうなんだよ?他人の心配する余裕あんのか?そんなに偉いんかよ!」
「俺はおまえとは違うんだよ…おまえは人で不死身、俺は人の姿を得た…ただの鳥だ」
ホジロワシとオオワシの混血であり亜種
高山にあった「ヒカリノカケラ」を手にした事で、変身能力を得たミントリガーは、人の世に身を置きながらも、密かに悩んでいた。
自分はこのままで良いのだろうか?
人ではない自分がここを護り
“人のふり”に興じていいのだろうか?
「は?ふざっけんなてめぇ、そいつぁ裏を返せば自分なんかって言ってんのと一緒じゃねぇか。偉そうに説教垂れてる癖しやがって、結局てめぇ自身も後回しってか!?今の俺と何がちげえんだや!!」
ミントリガーの胸ぐらを掴むオークジャック
「俺の事はいい、俺は弱い」
「良くねぇし弱くねぇ」
「おまえに敵わない」
「んな事ねぇ」
「なぜそんな事言える!」
「助けたじゃねぇか!俺を!」
「アレを助けたと言えるか!?あんな不甲斐ない結果を!!」
「それはおめぇじゃなくて俺だ!!」
お互い収集がつかなくなった様に、最早支離滅裂な言い争いになってしまっていた。
一旦の静寂の中で、オークジャックは苦虫を噛み締めながら言う。
「アレは俺の油断が招いた結果だ…お前のせいじゃねぇだろうが」
空港の出発ゲートで言い争うヒーロー。
否応にも目立つやり取りだが、周りは誰もが察し、固唾を飲んで見守っている。
「シンプルな話しだ」
しばらくの沈黙の後、口火を開いたのは、オークジャックだった。
「強くなろうぜ、俺たち」
胸ぐらを掴んだ手を離し、拳を胸に当てて、強い眼差しをミントリガーに向ける。
「誰よりも強くて、そんでもって誰が見ても文句言ってこない、そんな存在になろうぜ」
「理想論か?」
フンと鼻で笑おうとするミントリガー。
「茶化すなっ、これは理想なんかじゃねぇ」
親指で自らを指差してオークジャックは言う。
「俺とおめぇだけに言える事じゃねぇ。俺らヒーロー全員今よりも、“ここから”もっと強くなるんだ」
ここからと強く強調しながら、人差し指を下に向ける。
そしてオークジャックは続けて言う。
「いいかもっかい言うぞ?これは理想じゃねぇ。そらまだ今は理想かもな、けどな、理想を抱くってのはそこに至る為に“生きる”って事だろうが」
“生きる”その言葉にハッとするミントリガー。
「俺もお前も“生きる”って“戦い”を続けてる、違うか?そしてその先には現実になって未来になるんだ」
ふふっと静かに笑うミントリガー
「そう…だな」
「辛気くせぇぞ」
「すまない、ああ、そうだ」
歯切れの悪さを修正されるミントリガーは、真っ直ぐオークジャックを見返す。
「それにしても、おまえもそんな臭い台詞言えるんだな」
「喧嘩売ってんのかてめぇ?やんぞコラ?あ?」
ふふふと静かに笑うミントリガー。
そして一歩下がり深く一礼する。
「ありがとうオークジャック」
喧嘩腰だったオークジャックはぎょっとする。
「そして、すまない」
言い終わると共に姿勢を戻し、しっかりと相手を見据えるミントリガー。
「俺は強くなるよ、理想を現実にする、そしてお前の言ってくれた」
手のひらを前にして、グッと握りしめる。
「“生きる”と言う“戦い”を続けて行くよ」
忘れかけていた。
本来ミントリガーは、人の社会に身を置く存在ではない。
自然界で産まれ、自然界で育ち、自然界で生を全うするはずだった存在。
自然界は厳しい。
生きる=戦い
そんな中で産まれ育ったはずのミントリガー。
なんの因果か人の姿を得てヒーロー活動をしている。
その意味を
有無を悩んでいたミントリガー
だがそれは最早どうでも良い
シンプルな答えだった
どこであれ、どんな形であれ、どんな姿であれ、生命ある自分は
生きる戦いと言う「生命」にとっての最もシンプルな答えを思い出した。
「俺も悪かった」
オークジャックも頭を下げる。
「もう油断しねぇ。誓うぜミントリガー、俺は2度と驕らねぇぞ」
「ああ、俺も誓うよオークジャック、俺は2度と自分を見失わない」
2人は拳を握り、それを合わせた後、パンと手のひらでハイタッチを交わす。
そして勢いよく踵を返す2人。
そのまま振り返らず。
お互いの進む道に直進していくのだった。
⬛︎北見市-空間転移ゲート出入り口-⬛︎
北海道は広い。
その為、行政により各地へと空間転移ゲートがある。
通常5時間かかる移動も、このゲートによって大幅に短縮される。
現場への急行
市民の避難誘導
資材の搬入
などの有事に備えたシステムであり、普段は高いセキュリティによって守られている。
主に使用するのは行政職員、ヒーローだが。
行政へのイベント依頼を受けた際の資材搬入などにも使われる。
千歳から戻ったミントリガーは、愛機のバイクに跨って帰還。
「ミントリガー」
声をかけられて目を向けたミントリガー。
「ん?市長?」
彼に声をかけたのは、北見市市長だった。
「おかえり、ミントリガー。オークジャックさんを無事送り届けてくれてありがとう」
「いえ、とんでもないです」
バイクから降りて、軽く会釈するミントリガー。
「早速で申し訳ないが、一緒にラボまでついてきて欲しんだ」
「ラボ…ですか?」
疑問符を浮かべるミントリガーへ、優しくも困った笑顔を向ける市長。
⬛︎北見市役所施設内地下-昇降機内-⬛︎
「異星人についてなんだけど」
ラボへと向かう昇降機には市長とミントリガーの2人のみ。
話題を切り出したのは、市長からだった。
「何かわかったんですか?」
市長は首を横に振る。
「彼らからは何も情報が得られてないよ…と言うよりも」
困った様な笑顔をミントリガーに向ける市長。
「コミュニケーションがうまくとれてないらしいんだ」
「ああ…そんな所も、空想特撮っぽいですね」
異星人だもんな…
と呟くミントリガー。
「本当にね。けどわかった事もあったよ」
それを聞いて市長を見つめるミントリガー。
「プロダクションは関わりがないらしい」
自らが持つ携帯端末を取り出し、ミントリガーに手渡す市長。
画面にはメール文が映っていた。
「あぁ…なるほど…なんか…先方怒ってます?」
本文を読む限り、丁寧な文面ではあるものの、強い訴えを感じる文章だった。
「だろうねぇ…画像も一緒に添付して問い合わせたんだけど。ほら、あそこって自社のキャラクターに愛着あるし。それらを愛するファンのために本気になる様な企業さんだから…無理もないよね」
ふふっと笑うミントリガーは「ですね」と返す
「良い事もあるんだよ?」
「なんですか?」
「先方も調査に全面協力してくださるそうだ。おかげで広報担当が張り切り出してるよ」
良い事と言いつつも、どこか複雑な心境の様で、腹部をさすりながら苦笑いする市長。
昇降機が止まり、2人は降りる。
「市長、ラボに行くのはそれと関係あるんですか?」
「いいや、それとは全く別件だ」
意外な答えが返って来る。
「私もわからないんだ。ラボの博士から、君を呼んでほしいとだけ言われててね」
「自分を…ですか?」
IDカードを使い、ラボへと入る2人。
そこには白衣の研究員らしき女性と作業服を着用してピシッと気をつけの姿勢をする男性が出迎える。
「市長、ミントリガー、きてくださり感謝します、早速ですがこちらへ」
笑顔ではあるが淡々と対応をする研究員。
それに続く様に作業員も歩き出す。
市長が研究員へ訊ねる
「えっと、博士、彼は?」
「ああ彼は」
博士と呼ばれた研究員が説明をしようとした時。
「先月より清掃班に配属となりました!友山と申します!市長!ミントリガー!お会いできて光栄です!」
明瞭快活に自己紹介をする姿はまさに体育会系の様だった。
「体育会系のノリは嫌いじゃないが楽にしてくれ、ここは軍隊じゃないんだ」
可能な限り安心させる様笑顔を作る市長。
ミントリガーも手のひらを差し出し、握手を求める姿勢で
「よろしくお願いします、友山さん」
ガシッと掴む友山だったが、緊張している様で、手が震えていた。
「彼は本件の重要参考人ですので、ここにいてもらってます、ついてきてください」
笑顔の表情は崩さず、しかし淡々とした口調も崩さない博士。
足早に歩みを進める博士を追う3人。
⬛︎メディカルラボ-動物用保育器前-⬛︎
ラボには幾つかのセクションで分かれている。
その中でもミントリガー達がいるのは、動植物の保護と生態観察研究と回復を主とする研究所の一室。
『鳥獣保護研究所』
保育器を指差し、博士は中を見る様にと目でミントリガーに訴える。
そこにいたのは、目を閉じて寝息を立てている1羽の紫の鳥だった。
ミントリガーは直様違和感を感じる。
「おかしい…なんで」
「どうしたんだい?」
驚くミントリガーに訊ねる市長。
「この子はどうしたんですか?」
博士に訊ねるミントリガー。
友山が一歩前に出る。
「そこは自分が説明いたします」
一同は友山を見る。
「清掃班班長より、オークジャック氏の血痕の処理を命じられました所。その現場に横たわっていた為、自分が保護しました」
「あの現場にいた…そんな事があるのか?本州にいるはず…」
「気づかれましたかミントリガー。そうなんです、この個体がいるのはおかしいんです」
「どう言う事だい?」
市長の疑問に対して、友山は説明を始める。
「自分は鳥類種の獣医資格を持っていて、全てではありませんが、ある程度の生態は把握してます。特に自分は新潟出身でして、幼い頃から良く見てますが、この個体は「ライチョウ」本来北海道に生息しないんです」
説明をした友山に対し市長が返す。
「ライチョウなら北海道にもいるだろ?」
「誤解されやすいのですが、北海道で生息しているのは同じキジ科でも属の違う“エゾライチョウ”でして、この子とは違うんです。そのうえ」
「体色、こんな個体は知りません、突然変異?それとも特殊個体の亜種?まさかな…」
説明しようとした友山の途中からミントリガーが話す。
「今の時期は冬です。本来ライチョウは、冬場に真っ白な羽毛に生え替わります」
「じゃあこの子は、どこから来て?どうして体色が紫なんだい?」
「わかりません…」
市長の疑問に対し、明確な解答ができないミントリガー。
そう言った直後、ライチョウは目を覚まし、首をミントリガーへと向ける。
ゆっくりと保育器を開け、手を伸ばすミントリガー。
その時
ミントリガーの胸にある「ヒカリノカケラ」が強く発光する。
これは、共鳴反応!?
そう気がつくミントリガーだったが、次の瞬間
それと同時に、ライチョウも胸の辺りを中心に青紫色の眩い光を放つ。
ライチョウは驚いたのか「ゴォー、ゴォー」と鳴き出す。
強い光にミントリガー意外の一同は各々光を遮る。
「博士!なんだこの光は!!」
「わかりません!ミントリガー!どうなってますか!」
あまりに唐突な異常事態が起こり、一同は驚愕する中でミントリガーのみが落ち着き、ライチョウの身体を撫でる。
時間にしておよそ2分弱
光は収まった。
相変わらず「ゴォー、ゴォー」と鳴くライチョウ。
それを抱き寄せるミントリガーだったが。
その場にいる誰もが驚愕する。
ミントリガーの腕の中には。
人の形をした全身青紫色の体色であり、顔の全面は黒く、大きくキラキラと美しい青紫色をした瞳を携えた
人間の子供、推定5歳〜7歳前後の様な生物がいた
「これは…」
「こんな事があるのか…」
「………」
鳴き続けていたライチョウは、ミントリガーと目が合った途端、落ち着き払い、5本の指を開き、手を伸ばす。
その手に人差し指を添えるミントリガー。
ぐっと握られる指。
「博士」
何かを決めたミントリガー
「この子、自分が預かってもいいですか?」
驚きはしたが、直様いつもの笑顔を作り淡々とした口調で続ける。
「わかりました、経過を見たいので、定期的に連れてきて下されば構いません、手続きはこちらで済ませます」
「大丈夫なのかい?ミントリガー」
市長は訊ねる。
「わかりません、けど、なんだか…」
ミントリガーは感じた。
自分と同じ“ヒトの姿”を得た“鳥類”を
自分であれば未来を導けるだろうと
直感的に感じた
「であれば、名前が必要ですかね」
友山がふと口走る
「そうだね、確かにそうだ」
同意する市長。
「名前か…うん…」
観察するミントリガー
一際目立つのはやはりその大きな眼
まるで「ラピスラズリ」の様だったので、口から漏れ出す。
それを聞いた市長は「ラピスなんてどうかな?」と言うと
それに意を唱えたのは、友山だった。
「市長…僭越ながら、この子は“雄”です」
「え!?」
そうだったの?と素を出してしまう市長。
「では…こうしましょう」
ミントリガーは、抱きかかえた雷鳥の頭と自分の頭を合わせてこう言う。
「瑠璃-るり-」
「それも女の子みたいでかわいくないですか?」
それを聞いた博士がツッコミを入れるが、ミントリガーは続ける。
「とあるゲームキャラに同じ名前の男の剣士がいて。彼は凛々しく、強くてかっこいい印象でした」
そう説明し、ふふっと笑いながら
「だから大丈夫、この子も強く凛々しい、そんな存在になるはずです」
顔を見合わせるミントリガー
雷鳥、もとい『瑠璃』は
お互いだけがわかる様に
笑顔を作って笑い合うのだった。
読んでくださった方へ。
ありがとうございます。
主人公は雷鳥。
思いつきにしても無茶な設定を考えたなと自分に戦慄しましたが。
頑張って話しを作っていきます。
大枠はできてるんですが、細かにどう繋げるかを思案してストックしております。
相変わらずの駄文と独自な世界観ですが。