雷鳥 の 瑠璃紫苑 -らいちょう の るりしおん-   作:LeeMinwoo

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【注意】
この物語については、パラレルワールド(並行世界)、マルチバース(多元宇宙)などを題材とした、クロスオーバーがメインとなる作品です。

関連するキャラクターは「ローカルヒーロー」がメインですが、ヒーローやヴィランは実在します。
しかし実在するヒーロー様や実在する団体様、公的機関や行政機関や企業様などにはなんの関係もございません。
先方へのお問い合わせはご遠慮頂き、もしご用命ございましたら作者までお問い合わせ下さい。

オリジナルキャラと他作品のキャラクター、流用設定等が登場します。
キャラの性格違い、解釈不一致、ご都合展開などが苦手な方はご遠慮下さい。

「ローカルヒーロー」がメインの作風ではありますが。
作中「ローカルヒーロー」と言う言葉が出ることはございません。
あくまでもこの世界では各地に点在する「ヒーロー」である事を予めご留意ください。

誤字脱字や駄文ご容赦ください。
誤字脱字はコメント欄にてお伝えいただき、ご教示頂けると幸いです。

以上の事をご理解頂いた方へ

お楽しみいただける事を深く祈ります。


第3羽 『教養、声帯、先生』

 

⬛︎メディカルラボ⬛︎

 

「ミントリガー」

 

「はい」

 

神妙な面持ちで、ミントリガーに向かって博士は向き合う。

 

「瑠璃くんを私に下さい」

 

「……はい!?」

 

瑠璃が保護されて半年が経った頃

 

メディカルラボ鳥獣保護研究主任の博士

『蛇崩-じゃくずれ-』

より突如提案される。

 

瑠璃の検査なども含め、定期的にラボへと同行していたミントリガー。

 

能力判定テストから始まり

 

身体能力や知能テスト

 

瑠璃にとっては教養と勉学の吸収する場でもある。

 

そんな瑠璃の優秀な成績に目をつけて、蛇崩は懇願する。

 

「お願いです!瑠璃くんは立派な学者に育て上げますからああああ!!!」

 

初めて会った時からかなりキャラクターが崩れている蛇崩に困惑するミントリガー。

 

蛇崩はミントリガーの腰にしがみつきながら訴えて来る。

 

それに対してミントリガーは

 

「今更じゃないですか!勘弁してください!それに許したのはあなたじゃないですか!」

 

半年前初めて瑠璃とミントリガーが出会った日。

快く許可も手続きも済ませたのは蛇崩本人だった。

 

「そうなんですぅよぉ!!後悔してます大後悔ですぅ!!こんなに優秀な子だと知ってたらあなたみたいな万国びっくり博物館みたいな方に預けませんよおおお!!!」

 

「迷惑ですその情報過多な肩書きを辞めてください」

 

「辞めたら瑠璃くんの親権を私にくれるって事ですか!?」

 

「なるか!瑠璃をなんだと思ってるんだ!」

 

本当に迷惑そうにするミントリガー。

 

「すごいなミントリガー、さっきの一息で言ってるし鋭いツッコミだねぇ?」

 

その様子を見ている蛇崩の助手でびんぞこの様な丸メガネが特徴の

『渦巻-うずまき-』

瑠璃の神経衰弱を見ながら耳に入る情報をそのまま感想として述べていた。

 

〈オワリマシタ〉

 

携帯端末より電子音声で瑠璃は終了した事を伝える。

 

「はい、おつかれさま瑠璃くん、おかき食べるかい?」

 

〈イタダキマス〉

 

瑠璃は人の姿を得てから目覚ましい程の成長を見せていた。

 

本人の学習意欲が高い事もあるが

文字の習得

算数

図画工作

地理

歴史

サブカルチャー

 

特に他者とのコミュニケーション方法のために

未だ発声が出来ない声の代用するため、携帯端末を駆使したやり取りを習得する等

秀才っぷりを発揮している。

 

その為に、最初はあくまでも研究対象や観察対象と見ていた蛇崩は。だんだんと瑠璃の事が可愛く思えてきた様で、あの時二つ返事で許諾してしまった事を悔やむ結果。

 

精神が壊れた。

 

「お願いしますよぉ〜ミン父さん〜息子さんをく〜だ〜さ〜い〜!!」

 

「ニックネームのレパートリーを勝手に増やさないで下さいっ!」

 

ぐしゃぐしゃと泣きべそをかきながら必死に訴えて来る蛇崩。

 

この姿を見ると尚更瑠璃を預けるわけには行かないと確信するミントリガーだった。

 

「どう?今日のおかき美味しいでしょ?」

 

〈マエノトハチガウンデスネ〉

 

「そうなんだよぉ〜、どこのお店か忘れちゃったから良くわっかんないんだけどさぁ〜、ネットで評判だったから買ってみたけどこれが美味しくて。評判ってのもバカにしちゃいけないなって思ったよねぇ」

 

〈ウズマキサンモウレシソウデナニヨリデス〉

 

機械音声のせいかイントネーションは地味に変ではあるが、しっかりとリアルタイムなやり取りができる様になっている瑠璃。

 

そこに蛇崩が瑠璃を抱きしめる。

 

「瑠璃くんもお父さんよりお母さんがいいよねぇー??わかるよぉ〜何も言わなくても伝わってるからねぇ〜以心伝心だからねぇ〜」

 

ぐるんとミントリガーを睨む蛇崩。

 

「ほら!!うちの子もこう言ってます!!諦めて!!」

 

「勘弁してくれ!」

 

「さぁ瑠璃く〜ん、おかあさんんんんんんん!!!!!!」

 

妙な雄叫びを上げて白目を剥く蛇崩。

 

ピクピクと痙攣しだした蛇崩を瑠璃から引き離したのは、渦巻だった。

その手にはスタンガン。

 

「すみませんミントリガー、うちの上長が暴走して迷惑をかけまして」

 

ひっぺがすと同時に蛇崩を椅子に慣れた手つきでくくり付ける渦巻。

 

「とりあえず本日のテストは終了です。ご苦労様でした」

 

「ありがとうございます」

 

丁寧にお辞儀をするミントリガー。

 

〈ウズマキサンアリガトウゴザイマシタ〉

 

感謝の気持ちを決して忘れない瑠璃。

 

「うん、次は明後日だね。今度は少しテスト内容を変えるから、無事クリアできたらまたご褒美をあげよう」

 

瑠璃の頭をわしゃわしゃと無造作になでる渦巻。

 

「次はカステラを用意しておくから、期待しててね」

 

〈カステラ?ハジメテキキマス〉

 

「美味しいぞ、期待していいと思う、なんなら帰りに…いややめておこう」

 

ミントリガーはすかさず提案しようしたところを思い直す。

 

「そうですよミントリガー、僕も博士ほどじゃないけど瑠璃くんは気に入ってるんです。彼と僕のおやつタイムを邪魔しないでください」

 

〈ミントリガーサンハカステラタベタコトアリマスカ?〉

 

カステラに対してだけではないだろうが、甘味に対しての興味と美味しいものへの関心はとても高い瑠璃。

どうにかして情報を聞き出したいらしい様で、眼をキラキラと輝かせている。

 

「ああ、あるよ。香りもいいし、食感がもちもちしてて良いんだ」

 

優しく微笑み簡単に返すミントリガー。

 

香りと食感、まだ見ぬ未知の甘味に心躍らせる瑠璃は大きい眼を更に大きく輝かせていた。

 

「ちゃんと待ってくだされば、ミントリガーの分も用意しておきますから、期待してていいですよ」

 

「ありがとうございます。聞いたか?一緒に食べられるかもしれないってさ」

 

〈タノシミデス〉

 

笑顔で返す瑠璃。

 

 

⬛︎北見市役所-元資料宿直室-⬛︎

 

 

ミントリガーは普段自然観察や啓蒙の為に、趣味で動植物などの写真をSNSへとアップロードしている。

その資材や資料も、この資料室に揃っており、半分彼の自室と化していたところを、現在では瑠璃の専用部屋になっている。

 

簡易的なキッチンも備えている為、自炊する事も可能になっており。

 

瑠璃のために、宿木とベッドも用意されている。

 

これはどちらの姿になっても健やかに眠れる様にと、職員全員が意見を出し合って用意した物だった。

 

〈ゴチソウサマデシタ〉

 

食事を終え、食器を持って食洗機へと収納する瑠璃。

 

「どうだった?今日1日は」

 

〈タノシカッタデス〉

 

「そうか」

 

ふふふと静かに笑うミントリガーは、徐々に成長していく瑠璃の姿を誇らしく思っていた。

 

そしてミントリガーは、前々から決めていた事を瑠璃に話す。

 

「瑠璃、そろそろ発声の練習をしようかと思ってる」

 

〈ハッセイデスカ?〉

 

言葉を交わすことは十分に出来るレベルまで成長しているため、次は更に自分の声で話せる様になる事。

 

それが瑠璃にとっての新たな目標としたミントリガー。

 

「俺たちはヒトの形を得た事もあり、こうやって人の世で生活している、出来る事は増やして行ったほうがいい。これは俺の経験則だ」

 

そう言われて、やらない方法はないと確信する瑠璃は、端末を叩く。

 

〈ヨロシクオネガイシマス〉

 

素直で理解のある子に育ったと思うべきか、はたまた元から聞き分けの良い子だった気もする瑠璃に感心するミントリガー。

 

「じゃあ俺がどうやって人の声を出しているのか、これを伝授する、いいな?」

 

〈ハイ〉

 

そもそもの話し鳥類には人間で言う声帯と呼ばれる物がない。

 

ミントリガーも瑠璃も元が人間ではない事もあり、人間の姿を手に入れても、脳が認識しない器官を動かす事は出来ない

声帯がある事を認識する必要があるため、まずは声帯を開くトレーニングを始めるのだった。

 

ミントリガーはこの方法をヒカリノカケラより知識情報として得ていたために、自己連を続けて声を出せる様になった。

 

「まずその前段階の準備として、声帯の筋肉をつける必要があるんだ」

 

〈セイタイノキンニク?〉

 

「そう、そのためにはこの動画が1番いいと思うので、これを参考にして今日から毎日朝と夜にやるんだ」

 

〈ハイ ワカリマシタ〉

 

そう言ってミントリガーが観せる動画タイトルには。

 

『ボイストレーニング初級編』

 

と書かれていた

 

これを活用した特訓が、毎朝毎晩続くのであった。

 

 

◆1週間後◆

 

毎日の特訓の甲斐もあり

 

瑠璃は50音を繋げて発声するまでは出来ないものの、一言一言発する事はできる様になった。

 

そしてある日の夜

 

瑠璃はミントリガーと一緒にアニメ番組を観ていた。

 

生活にも慣れてきた瑠璃は、次第に独自の趣味趣向を持つ様になった。

 

その中でも1番彼の心を動かしたのは

 

『忍者』

 

それに準ずるコンテンツや知識に対して並々ならぬ興味と反応を示す瑠璃だった。

 

彼にとっての最近の流行りであり一押しは。

 

4匹の兄弟亀がニューヨークを舞台に活躍する話し

 

作品は『ティーンエイジニンジャタートルズ』

 

彼は憧れていた。

 

作中での、師弟関係であり、親子関係でもある。

 

兄弟亀の育ての親。

 

『スプリンター師匠-せんせい-』

 

と4兄弟の関係に。

 

自分とミントリガーの関係を重ねて見ていた。

 

瑠璃は密かに悩んでいた。

 

ミントリガーの呼び方について。

 

ある日彼はミントリガーに尋ねた事がある。

 

〈ミントリガーサンハ ボクニトッテ オトウサンデ イインデショウカ?〉

 

その問いかけに対してミントリガーはこう言った。

 

「親代わりってのはそうかもしれないけど…“お父さん”ってのはむず痒いな」

 

困った様に笑うミントリガーだった。

 

自分自身も、名付け親であるミントリガーを尊敬している。

 

父親の様だと思う瞬間もある。

 

しかし

 

『お父さん』と呼ぶのは、何かしっくり来ない。

 

そうして考えていた時に作品に出会い。

 

密かに、練習を重ねていた。

 

 

 

◆5日後◆

 

「瑠璃、もう時間も遅い、そろそろ寝る準備をするんだ」

 

夜の特訓が終わり、少し一緒に過ごしてその日のあった事を話し。ミントリガーは瑠璃を寝かしつけてから、帰路に着く習慣が出来ていた。

 

〈ハイ ワカリマシタ〉

 

いつもの様にベッドに入り。

 

眼を瞑るまでミントリガーが側にいてくれる。

 

そこで「おやすみ」と優しい笑顔で寝かしつけてくれる相手に対し。

 

今日は

 

たくさん練習した成果を発揮する日だと

 

瑠璃は心に決めていた。

 

ベッドに入る前に瑠璃は、ミントリガーの近くに寄る。

 

じっと見つめて来る瑠璃を、ミントリガーは「どうした?」と声をかけてきた。

 

そして瑠璃は

 

「せん…せい」

 

ミントリガーは一瞬理解できなかった。

 

「せん…せい…いつ…も…あり…が…と…ござ…ます」

 

「せん…せい?」

 

疑問を投げかけられて、瑠璃は少し不安になった。

 

間違えたかな、先生じゃおかしかったかな、どうしよう

 

そんな考えが頭を巡る瑠璃。

 

ミントリガーは、ゆっくりと膝立ちの体制で、瑠璃の目線に合わせる。

 

「先生ってのは、俺のことか?」

 

静かに頷く、瑠璃

 

どうしよう、やっぱり違ったのかな

 

不安が大きくなる

 

そこへ

 

ミントリガーは瑠璃の頭にポンと手を優しく乗せる。

 

「うん、ありがとう。そうだな、先生、いいなそれ、1番しっくりきた気がするよ」

 

瑠璃は感じた。

 

先生と呼ばれて、優しく微笑んだミントリガーを。

 

瑠璃は、今までに感じた事がない程に喜んだ。

 

しかし表に出す事はない。

 

静かに喜びを噛み締め。

 

ベッドへと向かう。

 

そして

 

「おや…すみな…さい」

 

そう言ってベッドに入り、眼を閉じる瑠璃。

 

それを見て、ミントリガーは、静かに電気を消し。

 

「おやすみ、瑠璃」

 

と言って部屋を後にするのだった。

 

 

⬛︎メディカルラボ⬛︎

 

 

「はい、今日のテストも終了、これで瑠璃くんの能力判定やら諸々は終わりました。今日もご褒美があるぞ」

 

「お疲れ様!良く頑張ったね!瑠璃くん!」

 

渦巻と蛇崩が誉めてくれた事に、感謝を述べたいと思った瑠璃。

 

「あいが…と…ござ…ます」

 

「「え?」」

 

同時に驚く2人

 

今まで聞いた事のない声がした

 

「じゃ…く…ず…れさ…、う…ずま…き…さん」

 

2人は更に驚く

 

その聞いた事のない声の主は、自分たちが今日まで可愛がってきた。

 

瑠璃から発せられた声だと言う事に。

 

「い…つも…あり…が…とっ!」

 

言い終わる前に、蛇崩に抱きしめられる瑠璃。

 

蛇崩は思った。

 

長年研究者を続けてきた自分は、自分なりに研究対象を大切にしてきた。しかし、こんなにまでも愛おしいと思える存在に出会えた事はなかった。

 

渦巻は知った。

 

人でもライチョウでも、命あるモノ同士が分かり合える時とは、こんなにも嬉しくて、涙が堪えられないものなのかと。

メガネを外して、眼を抑える。

 

ミントリガーは、その光景を目にして

 

瑠璃という存在が起こした大きな変化に

 

熱い気持ちを感じていた。

 

「ぜ…ん…ぜ……」

 

しみじみしていたところ

何か違和感に気づくミントリガー

 

「だ…ずげ…て」

 

良く見ると、蛇崩に抱きしめられている瑠璃が

 

苦しそうにジタバタしている

 

「る…瑠璃いいいい!!!」

 




読んでくださってありがとうございました。

話自体はかなり雛形が出来上がってはいるのですが、文章をつなげるのに四苦八苦しております。

話数で言えばおそらく、20話分はあるのではないでしょうか…

今回は少しずつ瑠璃が成長し、学んでいく所を書きました。

タイトルに挿絵という形で瑠璃紫苑の自作したフィギュアで乗せています。

後々幼少期瑠璃の立体化や

ミントリガーとのツーショットなどの挿絵を出す予定です。

また時間と余裕がございましたら、是非読んでやって下さい。
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