雷鳥 の 瑠璃紫苑 -らいちょう の るりしおん-   作:LeeMinwoo

4 / 9
【注意】
この物語については、パラレルワールド(並行世界)、マルチバース(多元宇宙)などを題材とした、クロスオーバーがメインとなる作品です。

関連するキャラクターは「ローカルヒーロー」がメインですが、ヒーローやヴィランは実在します。
しかし実在するヒーロー様や実在する団体様、公的機関や行政機関や企業様などにはなんの関係もございません。
先方へのお問い合わせはご遠慮頂き、もしご用命ございましたら作者までお問い合わせ下さい。

オリジナルキャラと他作品のキャラクター、流用設定等が登場します。
キャラの性格違い、解釈不一致、ご都合展開などが苦手な方はご遠慮下さい。

「ローカルヒーロー」がメインの作風ではありますが。
作中「ローカルヒーロー」と言う言葉が出ることはございません。
あくまでもこの世界では各地に点在する「ヒーロー」である事を予めご留意ください。

誤字脱字や駄文ご容赦ください。
誤字脱字はコメント欄にてお伝えいただき、ご教示頂けると幸いです。

以上の事をご理解頂いた方へ

お楽しみいただける事を深く祈ります。


第4羽 『印象、目標、なりたい自分?』

 

 

⬜︎北見市某所 森林地帯⬜︎

 

瑠璃がミントリガーと発声の練習を始め、およそ3ヶ月。

 

瑠璃はすでに、自然な会話が出来るレベルまでに達していた。

 

そんな彼もここ北見市役所に保護されてから約1年と3ヶ月が過ぎ。

 

現在、身体能力の向上と、有事の際に動けるための訓練を、連日の様にこなしていた。

 

訓練教官はミントリガーが基本

 

ミントリガーと瑠璃は

体術はもちろん

銃射撃、弓矢、双剣、の特性や使用方法などを教わり。

 

その他のサバイバル術も教わる。

 

それとは別で

ミントリガー、瑠璃と同様に

『変身能力を得て人の形を成せるようになった鳥類種』

であり、ミントリガーの仲間

 

漆黒の身体とミントリガーよりも暗く、複雑な色で景色を反射するシールドバイザーの様な顔。

“黒いミントリガー”と呼ばれても不思議ではない程に容姿に変身する能力を得た「鴉の戦士」

『ヴィーク』

の指導の元、刀剣の扱いを伝授される。

 

そして今日は、刀剣の訓練日だった。

 

「モット力を入れて!」

 

「はいっ!」

 

木刀を持って激しく打ち込む瑠璃に対し、全てを微動だにせず受けるヴィーク。

 

その様子を、木の上から見下ろすミントリガー。

 

携帯端末を取り出し、30分経った事を告げるアラームを見たミントリガーは。

 

訓練する2人の元へと降り立った。

 

「そこまで」

 

その声の主を視野角の端に、2人はピタリと止まる。

 

動きを止め、瑠璃は木刀をおさめてヴィークに対し一礼をする。

 

「ありがとうございました!ヴィーク兄さん!」

 

兄さんと呼ばれて、ふふんと誇らしげに鼻の辺りを人差し指でさするヴィーク。

 

「ヴィーク、瑠璃はどうだ?」

 

「まぁまだまだだね」

 

「そうか、それはそうと」

 

掌で手刀を作りミントリガーは、そのままヴィークの頭目掛けて振り下ろす。

 

「イッタイヨ!なんでブツの!?」

 

「ヴィーク、教えただろ?」

 

いきなり叩かれたヴィークは不満げに訴える。

それに対してミントリガーは静かに注意する。

 

「剣を持つ者、礼節を忘れるな」

 

ハッとなるヴィーク

肩にポンポンと当てていた木刀を左手に納め、瑠璃に向かって一礼する。

 

これでいいの?と言った顔で不服そうにミントリガーを睨む。

 

ふふっと優しく笑うミントリガーは、ヴィークの頭を右手で撫でる。

 

「流石はヴィーク、お疲れ様、飯にしようか」

 

「ごはん!?」

 

キラキラと目を輝かせ、叩かれた事を忘れるヴィーク。

 

その姿を見ていた瑠璃は、頭を撫でられている兄貴分の姿を羨ましいと感じていた。

 

「瑠璃」

 

ミントリガーは瑠璃を呼び、手招きする。

 

駆け寄って来た瑠璃、その頭に左手を乗せ、ポンポンと優しく叩くミントリガー。

 

びっくりするも、撫でられた喜びを噛み締める瑠璃。

 

 

 

⬜︎温根湯森林事務所周辺⬜︎

 

 

森林地帯から移動した3人。

 

事務所にて手続きを済ませ、近くで食事が出来る場所を探す。

 

「瑠璃は何食べたい??オイラはね、そばって気分なんだ!」

 

嬉々として話すヴィークに対して瑠璃は

 

「兄さんが食べたい物、僕も食べたい!」

 

と同調の意を表す

 

まさに仲の良い兄弟の様に、瑠璃はヴィークを「兄」として慕っている。

 

ミントリガーの事を「せんせい」と呼ぶ瑠璃を見たヴィーク。

 

初めて会った際に瑠璃から、“さんづけ”で呼ばれたヴィークだったが、不満を露わにし。

 

自分も何か特別な呼ばれ方をしたいと駄々を捏ね始め、ジタバタと床を転げ回り、周囲を困惑させた結果。

 

瑠璃が機転を利かせ

 

「にいさん」

 

と呼ぶ

 

ヴィークは余程その呼び方を気に入った様で、なにかと「兄貴風」を吹かす様になる。

 

精神年齢で言えば、幼いのはヴィークの方だったが、その姿に間違いない兄弟の在り方を感じ。

ヴィーク自身も弟を得た事により、面倒を見る一面を見せる。

そんな姿をミントリガーは、自分にとっても兄弟の様な存在のヴィークの変化を実感し、静かに嬉しく思っていた。

 

家族というのは、こういうモノなのかと

 

ミントリガーはしみじみ思う。

 

お店を端末で探していたミントリガー達に、市民が近づいて来る。

 

ミントリガーとヴィークは握手を求められ、それに応対する。

 

ミントリガーは丁寧に

 

ヴィークはどこか気恥ずかしそうにそっぽを向きながら

 

たまに一緒にいる瑠璃にも握手を求められ、それに流れで応対する瑠璃だったが、何か違和感を感じていた。

 

そしてその日も、2人の子供を連れた親子1組が挨拶と感謝を伝えに近づき。

2人の子供は瑠璃に向かって

 

「お兄ちゃんも、ヒーローさんなの?」

 

と純粋な疑問を投げかけられ

 

瑠璃は

 

それに答える事が出来なかった。

 

何も伝えられず黙ってしまう瑠璃に、子供達の親が近づき

 

「お兄ちゃんはコレからヒーローになるんだよ、だから応援してあげような」

 

「わかった!がんばってね!お兄ちゃん!」

 

瑠璃はそう言われ

 

何かモヤモヤするモノを胸に感じた。

 

その姿を視界の端に入れていたミントリガーだった。

 

その後、念願の蕎麦屋を見つけ、楽しく食事を済ませた3人は帰路に着く。

 

 

⬜︎瑠璃の部屋⬜︎

 

 

いつもの様にその日あった事の感想を聞き、話を交わし、寝かしつけてから帰宅するミントリガーだったが。

 

「何か気になる事があるんじゃないか?」

 

「先生?」

 

「話してみろ、瑠璃」

 

ホットミルクの入ったサーモマグを手に、中身をじっと見つめる瑠璃

 

「先生」

 

やがて真っ直ぐ瑠璃は、ミントリガーを見ながら質問する。

 

「僕は、ヒーローになるんですか?」

 

質問の意図がイマイチわからないミントリガー。

 

「瑠璃は、ヒーローになる、いや、ヒーローになりたいのか?」

 

再びサーモマグの内側を見つめる瑠璃

 

「わかりません、でも僕を見るとみんな「立派なヒーローになってね」とか「将来有望だな」とか「ミントリガーの弟子らしく頑張れ」とか…」

 

マグカップをぐっと握る瑠璃

 

「僕は、ヒーローになりたいって、何故か言葉に出来ないんです」

 

「……」

 

黙って聞くミントリガーは、カップに入ったコーヒーを飲み干して答える。

 

「それは、難しいな」

 

飲み干したマグを洗い場に持って行きながら話を続けるミントリガー。

 

「悩むってことは、それは瑠璃にとって、答えじゃないって意味でもあるだろうし。まだ答えが見つかってないって事でもあるんじゃないかな」

 

「みつかってない…」

 

そう言われて、なんとなくしっくり来た気がする瑠璃

 

「俺だけじゃなくて、色んな人に聞くといいんじゃないか?」

 

「色んな人に聞く…」

 

 

 

◇翌日◇

⬜︎空間転移ゲート⬜︎

 

 

「色んな人に…」

 

そう何度も呟きながら歩く瑠璃は【-紋別-】と書いてある方向へと歩みを進めていた。

 

下を向きながら歩いているため、瑠璃は無意識に歩いている。

 

その姿を遠巻きに【-千歳-】と書いてあるゲートから見えた蛇崩は、大きな声で手を振りながら呼びかける。

 

「おおおおおい!瑠璃くうううううん!!」

 

しかし瑠璃は

 

「色んな人に…色んな人に…」

 

と耳に入らない様子

 

そのまま紋別行きのゲートを潜って行ってしまう

 

無視された事もそうだったが、普段聞き分けの良い落ち着いているいい子とは言え、学年で言えば小学生に近い瑠璃。

そんな彼の普通じゃない姿を目の当たりにし、居ても立っても居られなくなる蛇崩は。

瑠璃の後を追う。

 

 

⬜︎空間転移ゲート-紋別-⬜︎

 

 

ゲートを潜った瑠璃は、周りの空気と雰囲気が変わった事にハッとなる。

 

見渡すと、自分はゲート前にいた、しかもすでにどこかを潜った後の様。

 

この日は土曜

週の中でも唯一訓練がない日

考え事をしながら、完全に無意識で歩き回っていた彼は、自分がとんでもない事をしでかしたのではないかと焦り不安になる。

 

「あれ?」

 

そこに瑠璃を見て反応する声があった。

 

「瑠璃くん?」

 

声の主を見るとそこには

5つの段ボール箱を積み重ねて、えっほえっほと足踏みしながら彼を見下ろす。

 

美しい緑色と小金色の鎧を纏い

龍の様な雄々しく立派で鋭利な角と大きく青い瞳を携えた竜神の戦士。

『セイリュウジン』

が何かを一生懸命運んでいた。

 

「あ、こんにちは、セイリュウジンさん」

 

知り合いにはちゃんと挨拶をしなさいと教え込まれている瑠璃は、一礼する。

 

「あ!!やっぱ瑠璃くんっしょ??どうしたの?あ!ひょっとしてぇ…」

 

何かを見当違いに察したセイリュウジン。

 

「イベントのカレー食べにきたんでしょ〜??あれ?でも1人??ミントリガーさんは??」

 

ミントリガーの名前を出されて、問題はないはずなのに悪いことをした気持ちでいる今の瑠璃はあたふたし出す

 

そこへ

 

「瑠璃くぅ〜ん❤︎」

 

と後ろから瑠璃を抱きしめる蛇崩

 

「声かけたのに全然気づいてくれないから心配してお姉さん追って来ちゃったよぉ〜」

 

驚く瑠璃。

 

「蛇崩さん??」

 

「そうだよぉ〜、どうしたの??なんで紋別??」

 

そこで瑠璃は気づいた

紋別来ちゃったんだ

 

未だとんでもない事をしてしまったと思い込んでいる瑠璃は、あれよあれよと冷静さをかく。

 

そこで咄嗟の判断に従いこう返す。

 

「カレー!!」

 

「カレー??」

 

ぶんぶんと首を縦に振り頷く瑠璃

 

「カレー!!食べに来ました!!」

 

その言葉に反応したのはセイリュウジンだった。

 

「やっぱりー!?いやあああああ嬉しいなあああああ!しょーがないなぁ〜俺仕事中なんすけど!じゃあ一緒に行きますか!!」

 

「は!はい!!」

 

元気に返事をする瑠璃

 

よかった、なんとか誤魔化せた

 

そう思う瑠璃だった。

 

 

 

⬜︎流氷科学センター前⬜︎

 

 

流氷や海洋に関する体験型展示や模型を展示する博物館。

マイナス20度の厳寒体験室やクリオネを飼育する水槽もある。

喫茶と売店を併設されたここ

【北海道立オホーツク流氷科学センター】

その入り口前には土日限定イベント

「流氷カレー」の販売促進が行われていた。

 

その企画に参加したヒーローが3人。

 

遠軽町のカラスのリーダーがとある力と遠軽町白滝の黒曜石のパワーで変身した。

スラっとした体格が特徴の黒い戦士。

『エンガイザーパラディン』

 

赤いアーマーと黒いスーツを身に纏い。強靭で強固、どんなモノでも穿つ掘削ドリルの様な両腕が特徴のヒーロー。

『砕氷船士ガリヤー』

 

そして瑠璃と蛇崩を案内した

セイリュウジンの3人で

 

イベントを盛り上げていたのだった。

 

「セイリュウジンおかえ!?瑠璃くん!?どしたの!?」

 

帰ってきたらセイリュウジンが意外な客を連れて来たため驚くガリヤー。

 

「こんにちはガリヤーさん、いつも先生がお世話になってます、こないだの蟹おいしかったです」

 

お裾分けでたまにいただく蟹の御礼を述べつつ一礼する。

 

「いやああ、そこでバッタリ会いまして!こっちが瑠璃くんと、北見の蛇崩博士でぇ〜す」

 

荷物を下ろし簡単に紹介するセイリュウジン

 

「ガリヤーさん!ガリヤーさんの奢りで!2人にカレーおなしゃっす!!」

 

「え!?なんで僕!?」

 

注文と会計を押し付けて厨房側に入るセイリュウジンを追うガリヤー。

 

パラディンはスタスタとモデルの様な歩き方で瑠璃に近づき

 

「よぉ、瑠璃、よく来たな」

 

「こんにちはパラディンさん、先生がお世話ー…」

 

「そういうのはいいから座ってろ、すぐ用意してやるよ」

 

言葉はカラッとしているが、瑠璃と蛇崩を椅子に座らせ、水とホットミルクをカップに入れてテーブルに2人分置くパラディン。

 

手際の良さと心遣いと気配りに唖然とする2人。

 

瑠璃にとって兄に当たるヴィークと同じ“カラス種”ではあるものの、落ち着いてクールな、まさに頼れるお兄さんという印象のパラディン。

 

とりあえずは仕事に専念と言った様子で

ナプキン、スプーン、フォークを持って各席に設置して、お客様の注文を受け、明るく対応するガリヤー。

 

厨房近くで搬入と食器洗いなどの雑用を一手に引き受けて「うおおおお」と気合を入れて働くセイリュウジン。

 

それをサポートするイベントのスタッフ。

 

賑やかで各々楽しそうに働いている姿を見て、瑠璃はワクワクしていた。

 

その姿をニマニマと見つめる蛇崩

 

鬼の様に職場からの着信が来ているが、一切気にしない。

 

 

◇10分後◇

 

 

流氷カレー

オホーツク海の青さと、海面に浮かぶ白い流氷の景色に魅せられた料理人が作り上げたカレー

 

見た目のインパクトがさることながら、不思議な味わいに惹かれるものも多い

 

「どうだい瑠璃くん?おいしい?」

 

「不思議な味です」

 

そう言いながらモリモリ食べる瑠璃

 

いつの間にか瑠璃の座るテーブルには

ガリヤー

パラディン

セイリュウジンの3人が

同じ流氷カレーを用意し

 

5人で仲良くテーブルを囲みながら食べていた。

 

楽しく談笑しながら食事をする瑠璃達

 

食べ終わり、向かいに座る3人のヒーローを見つめながら、瑠璃は意を決して尋ねる事にした。

 

「あの、3人に聞きたい事があるんです」

 

「ん?なに??」

 

ガリヤーは仮面越しでもわかる様に優しく声をかけ、笑顔を向けている。

 

「僕は…ヒーローに育てられてる僕は…ヒーローにならないといけないんでしょうか?」

 

瑠璃は真っ直ぐ前を見て、3人に問いかける

 

「「「???」」」

 

「え、瑠璃くん、ヒーローになるんじゃないの??」

 

ガリヤーは驚く

 

「どういうことだ?俺はてっきり、ミントリガーと一緒に、オホーツクヒーロー連合の一員になるもんだと思ってたのに」

 

オホーツクヒーロー連合

 

ガリヤー

エンガイザードラゴン

エンガイザーライジング

エンガイザーパラディン

ミントリガー

ヴィーク

セイリュウジン

の7名による

 

オホーツク地域中心に活躍するヒーローたちの連合チーム名である

 

パラディンは予想外の質問に、戸惑いを隠せないでいた

 

「えっと…それは」

 

2人の疑問に対して、瑠璃はどう返したらいいか悩んでいた。

 

「ちょっと待って下さい」

 

そこにセイリュウジンが2人を制止する

 

「瑠璃くん」

 

真っ直ぐに瑠璃を見据えるセイリュウジン

 

「聞きたいのは、本当にそれっすか?」

 

驚いた表情の瑠璃

 

「いや、なんかぁ…瑠璃くんの本当に聞きたいことって……それじゃないんじゃないか?って思って…」

 

頭をかきながら言葉を必死に紡ぐセイリュウジン

 

「瑠璃くん、聞かせて下さい、俺ちゃんと聞くんで」

 

震える瑠璃、見透かされた事にではなく

理解してもらえた事への

喜びに近い気持ちだった

 

「僕、ずっと思ってた事があるんです」

 

座っていた瑠璃は、その場で立ち上がる。

 

「ヒーローは、困った誰かを助ける、救う存在、ですよね?」

 

その場にいる全員、蛇崩も含めて頷く

 

「じゃあ…」

 

一呼吸おいたのち、瑠璃は

 

「そのヒーローが“困った”時には“誰が”助けるんですか?」

 

目の前の少年の口から出た、難題に、押し黙ってしまうヒーロー。

 

「誰が…か」

 

頬杖をつきながら考えるガリヤー

 

「ヒーローを助ける…考えた事なかったかもな」

 

顎に手を当てて思い返す様に思案するパラディン

 

「んんんんん」

 

腕を組み、天を仰ぎ唸りながら考えるセイリュウジン

 

そして、真っ先に口を開いたのは、パラディンだった

 

「それは、答えがないのが、答えだな」

 

「答えがない?」

 

「ああ、すくなくとも俺はそう思う、導き出せる答えがないんだ…」

 

それを聞き、残念そうに俯く瑠璃

 

「けどな」

 

しかし続けるパラディン

 

「俺は無理かもだけど、お前なら導き出せるんじゃないか?俺はそう思う」

 

瑠璃に向けるパラディンの眼差しは、本気だった

 

それを聞いてガリヤーが続く

 

「僕は、パラディンとちょっと違うけど、答えてあげる事が出来ない…あまり考えた事ないからさ…ごめんね」

 

申し訳なさそうに言うガリヤーは、続けて伝える

 

「考えてみるよ、僕も。それでさ、答えが出たら真っ先に教えるね!だから瑠璃くんも、もし答えが出たら、聞かせて欲しいな!」

 

優しく、寄り添う様に話してくれるガリヤー

 

「俺はやっぱり…」

 

最後に残ったのはセイリュウジン

 

「ヒーローを救うのも、ヒーローだと思うんス!瑠璃くんは?どう思うんすか??」

 

「わからなくて…」

 

「じゃあ、俺にも、答えが出たら教えてください!俺ももし、現実に実現できたその時は、会いに行って話に行くっス!」

 

そう言い終わり、親指を立てて瑠璃に向ける

 

「ミントリガーには聞いたか?」

 

パラディンは尋ねる

 

「…たぶん先生は」

 

少し恥ずかしそうに俯く瑠璃

 

「答えが出るまで、一緒に考えようって…言うと思うんです」

 

しばらく沈黙が続く

 

そして

 

噴き出す3人

 

「それは、間違いないな」

 

「ミントリガーっぽいなぁ、流石はわかってるねぇ」

 

パラディンとガリヤーの返しを聞いて

 

ふふふっと笑みが溢れる瑠璃

 

「あ!その笑い方!ミントリガーさんそっくり!!」

 

更に噴き出した一同

やっぱ似ちゃうもんなんだなぁと言いながら、3人で談笑を始める

 

「瑠璃くん」

 

そこに声をかけたのは、その状況を黙って見ていた蛇崩だった

 

「聞いてみようよ、ミントリガーにも」

 

蛇崩は立ち上がり、瑠璃の頭と右肩に手を置く

 

この子、ちょっと背が伸びたのかな?そう思いながら、瑠璃に向ける

 

「聞いてみよ、きっとミントリガーも、瑠璃くんの気持ち、知りたがってるよ」

 

ゆっくり我が子の様に抱きしめる蛇崩

 

「ほぼ100%、瑠璃くんの言う通りに返すと思うけど、ひょっとしたら、何か答えをくれるかもしれないよ」

 

知らぬ間に成長していく目の前の少年に驚きながら

 

寂しくも

 

誇らしくも

 

何よりも誰よりも

 

愛おしく想えていたのだった

 

瑠璃は、優しく包まれた腕の中で

 

目を閉じ「はい」と応えた

 

 

 

⬜︎空間転移ゲート-北見-⬜︎

 

 

「今日はどうだった?瑠璃くん」

 

手を繋いでゲートを潜り、蛇崩は瑠璃に問いかける。

 

「楽しかったです」

 

「カレーはどうだった?」

 

「不思議な味でした」

 

「そうだねぇ」

 

談笑する2人

 

そこにゆっくり歩いて来る人物が2人とその後方にゾロゾロと団体が

 

オフスタイルのミントリガーと、ものすごい怒気を放つ渦巻とラボのメンバーだった

 

「あ、やば」と一言口から出た直後、蛇崩は瑠璃を一度抱きしめ。

 

「大丈夫、お母さん、必ず還るから…ね!!」

 

と言って脱兎の如く走り出す蛇崩。

 

そのフォームは美しく、まるでスプリンターの様だった。

 

目的地毎に仕切ったゲートのガートレールを、ハードルの如く飛び越えて行く蛇崩。

 

「追えええええええ!!!捕まえて正門前に吊し上げるんだあああああ!!!!!」

 

普段は声を荒げる事がない渦巻

よほどの事があった様で、ラボのメンバー総出で主任を追いかける。

 

その様子を唖然とした表情で目をぱちくりさせながら見る瑠璃。

 

「おかえり、瑠璃」

 

ハッとする瑠璃

 

「先生…」

 

ゆっくりと腰を落とすミントリガー。

 

そこで気づいた。

 

半年前は目線が丁度一緒だったのに、今じゃ少し見上げている。

 

着実に成長している瑠璃を見て、優しく微笑むミントリガー

 

「おかえり、瑠璃。たくさん話し、聞けたか?」

 

その一言を聞いて瑠璃はびっくりするが、しかしすぐに応える。

 

「はい!たくさん話せました!」

 

満面の笑みを向けて言う

 

「先生!後で先生に聞きたい事があるんです!」

 

優しく微笑むミントリガー

 

「わかった、聞かせてくれ」

 

そっと瑠璃に手を差し出し

 

瑠璃はその手を掴んで

 

2人で帰って行った。




ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

瑠璃と周りの関係性。
心情と成長。
それらが表現できていればと願って書いております。

ここはこうじゃないのか?などあればどうぞ。

次回は

今後瑠璃の相棒になる存在との

出会いを描きます。

とある造形師さまの生き物の亜種として
二次創作で作ったキャラとなります。
ご容赦ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。