雷鳥 の 瑠璃紫苑 -らいちょう の るりしおん- 作:LeeMinwoo
この物語については、パラレルワールド(並行世界)、マルチバース(多元宇宙)などを題材とした、クロスオーバーがメインとなる作品です。
関連するキャラクターは「ローカルヒーロー」がメインですが、ヒーローやヴィランは実在します。
しかし実在するヒーロー様や実在する団体様、公的機関や行政機関や企業様、クリエイター様とはなんの関係もございません。
先方へのお問い合わせはご遠慮頂き、もしご用命ございましたら作者までお問い合わせ下さい。
オリジナルキャラと他作品のキャラクター、流用設定等が登場します。
キャラの性格違い、解釈不一致、ご都合展開などが苦手な方はご遠慮下さい。
また重ねて、これらを生み出した作成者様、クリエイター様などとは本編ストーリーとは一部監修はあれども、あくまでも二次創作である事をご容赦願います。
「ローカルヒーロー」がメインの作風ではありますが。
作中「ローカルヒーロー」と言う言葉が出ることはございません。
あくまでもこの世界では各地に点在する「ヒーロー」である事を予めご留意ください。
誤字脱字や駄文ご容赦ください。
誤字脱字はコメント欄にてお伝えいただき、ご教示頂けると幸いです。
以上の事をご理解頂いた方へ
お楽しみいただける事を深く祈ります。
※キャラ目線での語りとなります
僕は『翡翠-ひすい-』
3ヶ月前
どういう経緯でかはわからないけど
僕が元にいたセカイから、今いるこのセカイに、寝ている間転移してしまった
いわゆる“異世界”の生き物だ
人ではないし
動物でもない
妖怪の類ではないか?って言われた
妖怪というもモノがどういう存在なのか良くわからないけど
その辺に詳しい人物である
『訛之助』さんってヒーローっぽい怪人さんに確認したらしいけど
「さっぱりわからんっ!!ペンギンか何かの怪異じゃないか??」
と腕組みしながら言われてしまったらしい
ペンギンってなんだろう?と思ったら瑠璃が動物図鑑で僕に見せてくれた
なんとも面白いフォルムをしているのと
コウテイペンギンのヒナがとても可愛かった
たしかに以前の僕のフォルムは結構これに近いのかもしれないとも思ったけど
今は手足が元より少し伸びているから、ちょっと違う
実際“僕がナニモノなのか”と言う答えは
未だに出ていない
周りはすごく熱心に僕の正体を追求しようとしてくれているけど
正直僕にとってはどうでもいい
なんせこのセカイには
僕の憧れた
“かっこいい存在”と“珍しいモノ”や“知らなかった事”がたくさんある
僕自身の事に興味ないわけじゃないけど
僕が僕であるなら
そんなのどうでもいい
ここでの日々の生活は
今まで経験してきた時間より断然刺激的で楽しいから
元いたセカイに未練がないってわけじゃないけど
特段戻りたいとも思わないし
と言うより気にしてない
ここには僕を受け入れてくれる
“職員”と呼ばれるいろんな分野で役割を分けられた、たくさんの人と
自然豊かなこの場所で暮らす動物さん達や植物など
そして1番特徴的なのは
“ヒーロー”と呼ばれる存在がいる事
そう言った存在に僕は大いに興味があるし
何より僕が強くここにいたいと願った
だから僕は
このセカイで暮らすと
決めている
⬜︎職員用食堂⬜︎
僕たちの朝は早い
朝5時半から6時に起きて、顔を洗い、歯磨きをして整える
庁舎内にある中庭には温室があって
最近はここの花へ水やりをする事が日課だ
誰かにやれって言われたわけじゃないけど
2週間前に水やりを率先してた清掃員さんが腰を痛めたから
花に水をあげる人がいなかった
清掃員さんにはよく飴をもらってたりしてたので、その恩返しになるかなとも思い
瑠璃が2人でやろうって言ってくれたから、一緒に水やりと土と肥料や栄養剤を変えている
それが終わり、職員用の食堂でご飯を食べると言う
いわゆる“モーニング・ルーティン”と言うやつを続けていた
毎朝行くと朝ごはんの用意がされているので、2人で食べる
いつも厨房の誰かが用意してくれているんだと思うけど
瑠璃と僕の名前が入ったネームプレートに、簡単なメッセージカードが添えられて、その日のこんだてが書かれていて
それらがお盆に並んだ状態で、窓際の席に置いてある
今朝のこんだては
ひじきと油揚げの混ぜ込みごはん焼きおにぎり2つ
玉ねぎ入りのお味噌汁
たまご豆腐
たくあん
林檎ジャムを乗せたヨーグルト
だった
食事という事自体あまり経験がなかった僕は、最初こそ戸惑ったけど
今日までの間
色んな美味しい食べ物を知ってしまい、毎度のご飯の時間やおやつの時間が楽しみで仕方がない
「今日の焼きおにぎり、なんか違う」
違う?
瑠璃がそう言い出したので、端末を取り出して打ち込んだ
〈ちがうってなにが?〉
そう打ち込んで瑠璃に向けると、端末が自動音声で読み上げてくれる
僕は言葉を交わす事が出来ない
声は出してるつもりなんだけど
みんなに届かない
それを危惧して先生が、僕に読み書きを教えてくれた
僕はそれらに凄く興味を持って、率先して調べたりした結果
今までの僕よりもたくさん話しや考えをまとめる事が出来る様になった
この端末はそんな僕のために用意された
専用端末なんだ
「うん、香りがいつもより香ばしと言うか、なんだか油の香りなのかな?」
〈こういうモノじゃないの?〉
焼きおにぎりが初めての僕にとっては違いがわからない
けど明確にわかることは
この香りは凄く食欲を誘ってくれる
「うん、見た目も違うしね。どっちも美味しいんだけど、こう言うのもあるんだなって珍しく思っちゃった。この香り、たぶんだけどごま油かな?」
ごま油
油ってのは以前教えてもらった
食用、化粧用、燃料用、工業用と色々あるって渦巻さんの講義で教えてもらえた
そのうち食用の一つかな?
このセカイは色々なモノが本当に多い
僕たちに勉強や知識を教えてくれる渦巻さんは
「身につけなくていい教養なんかないからね。仮にあったとしたら、それは教養だと思われてて実は教養なんかじゃないってやつだね」
と言ってた
教養じゃないとする線引きが難しいところだけど、それは自分で判断しろって事だと思う
そのためにもたくさんの事を知るべきなんだ
そういうふうに
このセカイでは考える事を促してくる事が多々ある
以前いたセカイではそんなふうに考える暇というか、思いつく事も思い至る事もなかった
〈ここは僕のいたセカイよりも、いろんな事が感じられる〉
僕は端末で率直に思った事を伝えた
〈たくさんの知らないモノ、知らない事、見た事も聞いた事もないモノ、感じたことのない匂い 本当にたくさんあるんだよね〉
端末を一旦置き、箸を使ってお味噌汁を飲む
塩気と玉ねぎの甘味が絶妙でとても美味しい
僕自身が何だったのか、どうやって生まれたかなどは、相変わらずあまり記憶にないし
向こうで何していたのかところどころ朧げで覚えてないけど
そんな事がどうでも良くなるくらいに、たくさんたくさん色んな事を感じて学んでいく
学ぶって事だってここに来て知った
考えれば考えるほど
元いたセカイがなんだったのか良くわからないけど
ここに辿り着いた理由はきっと
こう言う事を知る機会を誰かに与えて貰えたんだろうなと
都合よく解釈する事にした
「箸の使い方あっという間に覚えたよね」
瑠璃が笑いながら僕に言う
僕は一旦箸とお茶碗を置いて端末を打つ
〈先生と瑠璃が教えてくれたからだよ〉
同じタイミングで僕と瑠璃は、おにぎりに手を伸ばして頬張る
香ばしくて心地良い香りが口と鼻を通る
これがごま油の香りなのかな
「渦巻さんが言ってたね、翡翠は僕以上に吸収力が早いって」
そうなんだ、実感がないけど
なんだかそれは嬉しい
「おはよぉ瑠璃くん、翡翠くん」
噂をすればだ
眠そうな声と顔でお盆を持って僕らの席に近づいてきたのは
渦巻さんだった
〈眠そうですね〉
「うん、しばらく泊まり込みだったからねぇ、これ食べたら帰るつもり。一緒にいいかな?」
「はい、もちろん」
瑠璃が応えて僕は頷いた
「何かあったんですか?」
「学会に提出するレポートをまとめてたらつい熱中しちゃってね」
そう言って僕の頭に手を乗せてくる渦巻さん
「翡翠くんのおかげで、また僕らの存在意義の幅を広げる事が出来るかもしれない。そうすれば君たちや、君たちの様な存在のサポートが今よりもっと出来る。そう考えたら楽しくなってさ」
優しく撫でられて、ちょっとくすぐったいけど
なんだか喜んでもらえてるのは
とても嬉しい
けど
〈無理は禁物です〉
「帰ってゆっくり休んでください」
渦巻さんは僕らの言葉を聞き目を丸くしていた
「そうだね、心配してくれてありがとう」
そう言って両の手を合わせ食事に対し小さくお辞儀をした後、お味噌汁を一口飲む渦巻さん
渦巻さんは独特な箸の持ち方をしている
以前真似ようとしたら上手くいかず、箸を落としかけた所
「せっかく綺麗に使えるんだから、それを崩しちゃう様な変な癖を真似なくていいよ」
って言われた
変な癖なのは自覚があるらしいけど、渦巻さんは一切気にしてない
「もう端末の扱いはお手のものだね」
〈皆さんが教えてくれたから、すぐ覚えました〉
「翡翠はよく端末いじってるしね」
ニコニコしながら僕に言う瑠璃
「昔の瑠璃くんも同じ様なもんだったよ」
渦巻さんが瑠璃にそういうと、瑠璃は恥ずかしそうだった
「翡翠くんを見ると、昔の瑠璃くんを思い出すね。まだ声が出せなかった時はこうやって会話したっけ」
焼きおにぎりを頬張って渦巻さんは話し始めた
「技術班も喜んでたよ」
もごもご食べながら言い出す渦巻さん
先生だったら
「食べながら喋るのは良くないぞ」
と注意されている所だろう
渦巻さんは口の中の物を飲み込み、味噌汁を一口飲んで僕を見て話し始めた
「あの頃、もっとよりスムーズな読み上げ機能を組んでアップデートする予定だったらしいだ。端末をかえしても普通に会話ができる様にって」
コップの水を飲んで瑠璃を見る渦巻さん
「その後瑠璃くんが発声できる様になった事は喜ばしいけど、彼ら頑張って組んだシステムが無駄になったってしばらく情緒が右往左往してたからね」
面白い表現をする
いつか使ってみよう
「翡翠くんのおかげで彼らの努力が報われたんだ、また顔出してあげてね」
〈初めての胴上げはびっくりしました〉
この端末を譲り受ける時
僕は整備室にいる技術班の班長に抱え上げられて
数人に高高く持ち上げられては宙に浮き、抱えられ、宙に浮くを数回繰り返しされた
お祭りってこういうのかな?
って思った
「今日も午後は開発室行くの?」
瑠璃が僕に聞いてきた
〈今日はここじゃなくて、紋別の方に行く予定〉
「紋別?あ!あれって今日だっけ!?」
瑠璃の声は、朝の食堂に良く響いた
◇3日前◇
⬜︎訓練場⬜︎
「今日の訓練は終わりだね、2人ともお疲れ様」
僕と瑠璃は息が上がっていた
この日は基礎体力を鍛える訓練と組み手をするため、ガリヤーさんが面倒を見てくれていた
ガリヤーさんはいつも優しいけど
本人曰く
力加減が下手らしくて
訓練についていくペース配分が結構難しい
「ありがとうございました!」
〈ありがとうございました〉
僕と瑠璃は挨拶をした後
3人で後片付けをする
そこにガリヤーさんの端末に通知が届いた
「おおおおおおお!!!」
何やら激しく興奮しているガリヤーさん
僕らに近づき、端末の画面を向けて見せてくれた
そこにはガリヤーさんの専用武装
【ガリンコナックル】らしきものが映っていた
ガリヤーさんの専用武装であると同時に、最強の切り札だって言ってた様な
けどなんだろう
以前見たのとは少し違う気がする
「観てよ!ずっと求めてた、指が動かせる様になるかもなんだ!」
指が動く?
それってすごい事なのかな?
〈今まで動かなかったんですか?〉
僕は聞いてみた
「うちの技術班長がその辺融通効かなくてねぇ。強度が落ちるとか、殴るだけのモノに可動なんか必要ないだろって言われ続けてたんだけど」
だらんと肩を落とした仕草で、いかに残念だったかがわかる
「その人が先月引退を迎えて、後任の人が来たから。試しに話してみたら、すごく興味持ってくれて、僕のやりたい事聞いてくれたんだよ」
とても嬉しそうに語るガリヤーさん
「ガリヤーさんのしたい事?指が動かないと出来ないことなんですか?」
「そうだね。これが出来たら、救助とかにも活用できるからね」
そう言ってガリヤーさんは腕のアーマーをさすっていた
「削って砕くことに関しては、僕もそこそこ自信はあるつもりなんだ。でもそれだけじゃない何かを掴みたいなって考えてた」
砕氷戦士と名乗るだけあって
ガリヤーさんの一撃はとてつもない威力だ
以前デモンストレーションと言って、正拳突きの1発で大岩が砕け散っていた
正直あの領域にはきっと到達できない
けどこれだけは言える
あの時のガリヤーさんは凄かったし
かっこよかった
空を見上げてガリヤーさんは言う
「この事を仲間に相談した時、ミントリガーとパラディンが言ったんだ」
先生とパラディンさんが?
僕はすかさず端末を叩いた
〈なんて言ったんですか?〉
「あ!僕も聞きたい!」
僕らの反応にハハハと笑った
「シンプルな話しだ、掴みたいなら、指を動かせばいい、そのために生き物には指があるんだ。ないなら作ればいい、僕たちにはそのために考える頭があるんだから」
ガリヤーさんは右手を大きく開いて
空に向けて言う
「安直だけど、大きい手と指なら、色々と掴めるんじゃないかって。なんてね」
仮面を被っていたから、表情は見えなかったけど
きっと凄く良い笑顔をしていたと思う
〈それって、僕も見に行って良いですか?〉
僕は端末でガリヤーさんに聞いてみた
「翡翠、興味あるの?」
僕は首を縦に何度も振った
何故か笑われた
何故だろ?
「翡翠が行くなら僕も行くよ」
僕は瑠璃と目を合わせて笑顔で向き合う
「君達は仲良しだなぁ」
大きくて、ゴツゴツしたガリヤーさんの手は
僕と瑠璃の頭を撫でてくれた
とても暖かい手
「来る時は連絡するんだよ、2人を歓迎する」
◇現在◇
⬜︎メディカルラボ⬜︎
僕と瑠璃は朝食を終え、渦巻さんに挨拶した時
外出する前にラボに寄る様に言われたので、来たはいいけど
「お願いしますミントリガアアアアアア私と結婚してくださいいいいいいい!!!」
「お断りします!!!」
結婚?
確か好意を抱いた者同士が家族になる
所謂“番い”と言う物なのかと思うけど
え?
「蛇崩さんが…先生に言い寄ってる???」
どうして目をキラキラさせてるの?瑠璃
とりあえず僕らはしばらく傍観する事にした
何故かと言うと
単純な好奇心だ
「いいじゃないですかああああああ!!!ちょーっとこれにサインして申請して!!」
蛇崩さんはそう言って手にした書類をパンパン叩いてみせ
先生に詰め寄っている
僕は端末の音量を限界まで下げて、瑠璃の肩へと飛び登り耳元に当てた
〈あの紙なに?〉
それを聞いた瑠璃は、じっくり見て教えてくれた
「婚姻届…と…ん???」
「その後ちょおおおおおおっとこれにサインして下さればいいんです!!」
次に出したのは同じ様な形の書類をさっきみたいにパンパンと叩いている
「離婚届??ん?んんんんんんんん?????」
どう言う事なんだろうか…
僕も混乱してきた…
「ついでにあの子達の親権も私に下さい!!!!」
「狙いが透けるどころかバッチリ見えちゃってるから頷けないんんですよ!!!」
「あの子達は私が立派な学者として育てるんですううううう!!将来有望な若者を導くのも我々保護者の責務だと思いませんか!?違いますか!?」
「もっともらしい事で誤魔化さないで!!そこは2人の自主性を重んじようって職員全員で決まったじゃないですか!!」
「そんなこと言って非行に走ったり馬鹿になったらどうするんですか!?10代の心の移り変わりの波を舐めるなよ七面鳥がっ!!」
「七面鳥じゃなくって鷲だ!!シンプルな悪口やめろ!!」
いつもながら思うけど
2人のテンポの良い掛け合いは
なんだか
「なんだか見てて楽しいよね」
僕らが同じ感想を抱いていて嬉しかった
「それに…肝心な何か忘れてませんか?」
「なんですか?」
おや?急に落ち着いたトーンになった
「そもそもあの子達と自分は書類上“親子”じゃなくて“兄弟”ですよ」
「………あ…」
書類上
たしか戸籍?だっけ
このセカイに暮らす一部の存在に割り振られる
自身を証明するモノの一つ?だったかな
先生も言ってた
人の世で活動するためには、必要な事だって
だから一応
先生
ヴィーク兄さん
瑠璃
僕は
市長さんの養子という事になっている
「そうだった…確かに育ててるのが貴方だったから、つい失念してしまった…」
「そもそも瑠璃の書類の手配は蛇崩さんがして下さった記憶があるんですけど…なんでそこ忘れちゃうんですか?」
「その時は面倒そうだったから関わりたくなかったからに決まってるでしょう!!揚げ足取りとか悪趣味な!!」
「あぁもう!ひどくめんどくさいっ!!」
また掛け合いを始めた2人を見て
瑠璃がたまらず噴き出してしまった
「ごめんなさい」
「瑠璃くん!翡翠くん!」
蛇崩さんは僕らを見て駆け寄り抱きしめてきた
会うたびにこうやって抱きしめてくれる
頭を撫でたりされる事はあるけど、抱きしめてくるのは蛇崩さんくらいだ
とても嬉しいけど
たまに苦しい
「瑠璃、翡翠、いつからいたんだ?」
そう言いながら先生は手招きをしてくる
瑠璃は僕を肩に張り付けた状態で先生の元に行った
「蛇崩さんが結婚してくださいって言った辺りからです」
「…そうか…変なとこ見られちゃったな」
〈先生〉
「ん?どうした?翡翠」
〈僕と瑠璃はこれから紋別に向かいます、いいですか?〉
「紋別?ひょっとしてこないだ話してたガリヤーの武装と関係するのか?」
僕は首を縦に振る
また笑われた
これをすると何故かみんな噴き出す
「門限は夕方5時だからな、それまでには帰ってくるんだぞ。今日の夜ごはんは市長さん達と外食なんだからな」
「はい!」 〈はい〉
僕たちの返事にゆっくりと頷いて答えてくれた先生
「そういえばミントリガー」
蛇崩さんが腕組みしながら先生に近づいていく
この2人って身長差結構あるなって思った
小さい僕が言えた義理じゃないけど
「ずっと気になってたんですけど、どうして翡翠くんの名前『翡翠』にしたんですか?報告書にもありましたけど、翡翠って石ってちょっと違う色してません?」
「あぁ、そう思う人も出ると思ったんです。翡翠の語源で一説があるんですけど」
そうだったんだ
また知らない事が知れるのか
僕はついワクワクしてしまった
「翡翠って鳥類の“カワセミ”から来てるって話があるんです。出会った時の翡翠の体色と言うか、全体の色がカワセミぽいなとも思ったので。色々重なった結果というべきですかね」
カワセミ?
セミってついてるけど鳥なのか
後で調べてみよう
どんなのだろう
「それと試しに頭撫でてみたら、触れた感触も思ったとおり翡翠のそれに近かったし、これだなって確信したのもありますね。だめでした?」
「…ほんと…あなたのそういうところですよね……」
そういうところ?
なんだろうそういうところって?
「なんですかそういうところって」
「もういいです!わかりました!かわいいからイイですし何より本人も気に入ってるみたいなので文句ありません!!」
何故か蛇崩さんは拗ねて隣の部屋に行ってしまった
「瑠璃くん!翡翠くん!気をつけて行ってくるんですよ!ちゃんと帰ってくる様に!」
バタンと閉ざされた部屋のドア
どうしたのかな?
「ほんとあの人よくわかんないな」
ふふふといつもの様に静かに笑う先生
「さて、俺は少し出てくるけど、何かあれば連絡してくれ」
そう言って先生はラボから出て行った
僕と瑠璃は隣の部屋に行って
挨拶しそびれた蛇崩さんに
強く抱きしめられたのは
言うまでもない
読んでくださりありがとうございます
今回は前回の話に出た 翡翠 と言うキャラにフォーカスを置きました
彼の容姿が気になる方もいるかと思われますが
恐れ多くも人気のクリエイター様のキャラクターを流用した
二次創作のキャラなので
いずれお見せできる時を楽しみにどうぞ