理想の世界を叶える程度の能力   作:鳩胸な鴨

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危機Ⅳ:第二幕スタート

「幻想郷に、妖怪…。

信じられないことばっかだ…」

「仮面ライダーに、デザイアグランプリ…。

俄には信じがたい話です…」

 

ジャマトと交戦しながら情報を得たタイクーンが、目の前の強化個体を切り裂く。

互いに信じられない、しかし、信じるしかない情報を前に困惑を見せる。

ジャマトの爆散を浴び、タイクーンが次なるジャマトに目を向ける。

と。それを遮るように、天空にメラの姿が映し出された。

 

『はいプレイヤーの皆さんご注目ゥ!!

これにて第一ゲームを終了するぜ!』

「な、メラ…!?」

 

ジャマト含め、その場に立っていた全員の注目がメラに集まる。

タイクーンはかつて打ち倒されたはずのメラの姿に動揺し、視線を震わせた。

 

『ノルマを達成できなかった奴は残念ながらご退場…なんだがぁ…。

なんと、「ある3人」以外、ノルマを達成してやがらねぇ!

やる気あんのかてめぇら!!

こんな人数であと二回もゲームできるわけねぇってことで、温情として一部を抽選で次のゲームにも参加させてやる!

俺の慈悲深さに感謝しろよ〜?』

 

メラが指を鳴らすと共に、あちこちで爆炎が巻き起こる。

何が起きたか一瞬にして悟ったタイクーンは、仮面の下で歯を軋ませた。

 

「なんてことを…!!」

「い…今、何が起きて…?」

「参加した仮面ライダーの大半が、今ので殺された…!」

 

スエルですら実行しなかった凶行に、タイクーンが戦慄を、白蓮が恐怖を抱く。

少なくとも、今の一瞬で幻想郷の妖怪、神が大きく力を失った。

幻想郷の住人の大半が死した現実を、白蓮がそう易々と受け止め切れるはずもなく。

彼女が顔を青くし、崩れ落ちるのも無視し、メラが続けた。

 

『てなわけで、第二幕を始めるぜ!

第二幕は…「仮面ライダー狩り」だ!!

ここに写ってるライダーを倒せば、最終戦に参加することが出来るぜ!』

 

並んだ写真は、右からジーン、キューン、タイクーン、ナーゴ、バッファ、パンクジャックの6人。

それを見たタイクーンは、驚愕と困惑を混ぜた声を漏らした。

 

「えっ…?みんな来てるのか…!?」

 

少なくとも、メラに襲撃された場でパンクジャックは見ていない。

タイクーンの困惑に、映像越しのメラが馬鹿正直に答えるはずもなく。

メラは転げ落ちんばかりにソファにもたれかかり、声を張り上げた。

 

『じゃ、早速だが第二幕を開始するぜ!

最初に1人倒したやつが、最終ゲームに挑戦する権利を得る!

先越されないよう、気張れよ!!』

「あ、待てっ!!」

 

タイクーンの声も虚しく、映像が消える。

次にゲームが始まれば、1人を除き、全員の仮面ライダーが死ぬ。

それは、幻想郷に存在する人間の大半が死ぬことを意味している。

そのことに気づいた白蓮が、あまりの心的ショックからか、その場に倒れ込んだ。

 

「聖さん、大丈夫ですか!?」

「悪い夢でも見ているのでしょうか…。

こんなことになるなんて…」

「くそっ…。早くメラを倒さないと…」

 

また、世界が滅びる。

そう続けようとして、タイクーンに一つの疑念が浮かんだ。

 

「……前は、誰が倒したんだ…?」

 

メラが打ち倒されたのは覚えている。

だが、「重要な何か」がどうしても思い出せない。

そう悩んでいる間にも、ジャマトたちの攻撃がタイクーンに向けて飛んだ。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「……やってくれたわね。

今ので力の大半が無くなった上、能力も使えなくなったわ」

 

その頃、紅魔館にて。

同じように映像を見上げていたレミリアが、忌々しげに吐き捨てる。

能力も失い、力もほとんど削られた。

存在が大きく削られた感覚に顔を顰めていると、道長が続ける。

 

「なるほど…。お前らを恐れる人間が少なくなったことで、力が減ったわけか」

「あら。牛にしては頭が回るのね」

「『牛にしては』は余計だ」

 

道長がそう返した、その時。

だだだ、と廊下から足音が響く。

2人がそちらを向くや否や、勢いよく扉が開いた。

 

「お姉様!能力が、能力が使えない!!」

 

そこに立っていたのは、どことなくレミリアに似た少女。

彼女は困惑を露わにしながら、何度も手のひらを握っては放す。

レミリアはそれに対し、深くため息を漏らした。

 

「誰だ、こいつ?」

「私の妹…、いや、あとで紹介するわ。

…フラン。あなた、能力と力が削られたって、どういう意味かわかってるの?」

「んーっと、すごく弱くなっちゃった?」

「それだけじゃないわよ」

 

見た目相応の精神年齢なのだろうか。

可愛らしく小首を傾げる少女…フランドール・スカーレットに、別の少女が声を上げる。

道長がそちらを向くと、寝巻きのような格好の少女が、神妙な面持ちを浮かべていた。

 

「…今度は誰だ?」

「まとめて紹介するから、今は我慢して。

…パチェ。状況の説明を」

 

少女…パチュリー・ノーレッジに向け、レミリアが促す。

パチュリーは「急かさなくてもいいわよ」と文句を返し、続けた。

 

「魔法使いの私はとにかく、あなたたちの存在は今、風前の灯。

メラが言っていた『最終ゲーム』が始まれば最後、よくて人間並の存在に格が落ちるか、悪ければ消滅よ」

「わかってるわよ、パチェ。

…あんな小物くさい男にしてやられるとは、幻想郷も堕ちたものね」

 

態度こそは小物そのものだが、その本質は神にも等しい。

レミリアは不安がるフランドールの頭を撫でつつ、メラが映っていた箇所を見やる。

 

「道長。前はどうやって倒したの?」

「前は…」

「以前は、仮面ライダーギーツこと浮世英寿様が奇跡を起こし、打破しました」

 

道長が答えようとした矢先。

その背後から、聞き覚えのある声が響いた。

レミリアたちがそちらを見やると、白と黒のドレスを纏った少女と目が合う。

道長は武器を構えようとした3人を手で諌め、少女に歩み寄った。

 

「ツムリ。ギーツってのは誰だ?」

「それは…、これに触れていただければ、思い出すかと」

 

言って、少女…ツムリは虹色の狐が描かれたIDコアを差し出す。

道長が訝しみながらもそれに触れると。

記憶の中に何かが溢れ出す感覚が、道長を襲った。

 

「……っ、そうだ、ギーツ…!

おい、ツムリ!ギーツの野郎は…!!」

「すみません…。幻想郷に突入する前に、ジーン様と私の前に姿を現したっきりで…。

共に幻想郷に来たジーン様とも逸れてしまったのです」

「は…?いや、ジーンは…」

 

俺たちと来た。そう言おうとして、道長はある結論に辿り着く。

 

「黒いバッファ、俺たちと来たジーン…。

………まさか、あのジーンは…!?」

「ちょ、ちょっと。何2人で勝手に盛り上がって…」

 

レミリアが声をかけた、その時。

ずぅん、と紅魔館が大きく揺れた。

 

「きゃっ…!?」

「わ、わわっ…!?」

「大丈夫か、お前ら!!

くそっ、次は……、は、はぁ…っ!?」

 

転けかけた4人をなんとか腕で支え、道長が窓の外を見やる。

そこには、大量にライダーが犇き、各々の獲物を館に向けているのが見えた。

あまりにも膨大な数を前に、道長は無論、続いて確認したレミリアたちも顔を青ざめる。

 

「ライダーが、あんなにたくさん…!?」

「逃げるぞ、お前ら!!」

「に、逃げるったって…、咲夜が…っ!」

「その『咲夜』ってのも連れて逃げる!案内しろ!!」

 

道長たちが部屋を後にするのと同時に、爆風がその背を撫でた。




デザイアグランプリルール

勝ち残れるのは、1人だけ。
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