「幻想郷に、妖怪…。
信じられないことばっかだ…」
「仮面ライダーに、デザイアグランプリ…。
俄には信じがたい話です…」
ジャマトと交戦しながら情報を得たタイクーンが、目の前の強化個体を切り裂く。
互いに信じられない、しかし、信じるしかない情報を前に困惑を見せる。
ジャマトの爆散を浴び、タイクーンが次なるジャマトに目を向ける。
と。それを遮るように、天空にメラの姿が映し出された。
『はいプレイヤーの皆さんご注目ゥ!!
これにて第一ゲームを終了するぜ!』
「な、メラ…!?」
ジャマト含め、その場に立っていた全員の注目がメラに集まる。
タイクーンはかつて打ち倒されたはずのメラの姿に動揺し、視線を震わせた。
『ノルマを達成できなかった奴は残念ながらご退場…なんだがぁ…。
なんと、「ある3人」以外、ノルマを達成してやがらねぇ!
やる気あんのかてめぇら!!
こんな人数であと二回もゲームできるわけねぇってことで、温情として一部を抽選で次のゲームにも参加させてやる!
俺の慈悲深さに感謝しろよ〜?』
メラが指を鳴らすと共に、あちこちで爆炎が巻き起こる。
何が起きたか一瞬にして悟ったタイクーンは、仮面の下で歯を軋ませた。
「なんてことを…!!」
「い…今、何が起きて…?」
「参加した仮面ライダーの大半が、今ので殺された…!」
スエルですら実行しなかった凶行に、タイクーンが戦慄を、白蓮が恐怖を抱く。
少なくとも、今の一瞬で幻想郷の妖怪、神が大きく力を失った。
幻想郷の住人の大半が死した現実を、白蓮がそう易々と受け止め切れるはずもなく。
彼女が顔を青くし、崩れ落ちるのも無視し、メラが続けた。
『てなわけで、第二幕を始めるぜ!
第二幕は…「仮面ライダー狩り」だ!!
ここに写ってるライダーを倒せば、最終戦に参加することが出来るぜ!』
並んだ写真は、右からジーン、キューン、タイクーン、ナーゴ、バッファ、パンクジャックの6人。
それを見たタイクーンは、驚愕と困惑を混ぜた声を漏らした。
「えっ…?みんな来てるのか…!?」
少なくとも、メラに襲撃された場でパンクジャックは見ていない。
タイクーンの困惑に、映像越しのメラが馬鹿正直に答えるはずもなく。
メラは転げ落ちんばかりにソファにもたれかかり、声を張り上げた。
『じゃ、早速だが第二幕を開始するぜ!
最初に1人倒したやつが、最終ゲームに挑戦する権利を得る!
先越されないよう、気張れよ!!』
「あ、待てっ!!」
タイクーンの声も虚しく、映像が消える。
次にゲームが始まれば、1人を除き、全員の仮面ライダーが死ぬ。
それは、幻想郷に存在する人間の大半が死ぬことを意味している。
そのことに気づいた白蓮が、あまりの心的ショックからか、その場に倒れ込んだ。
「聖さん、大丈夫ですか!?」
「悪い夢でも見ているのでしょうか…。
こんなことになるなんて…」
「くそっ…。早くメラを倒さないと…」
また、世界が滅びる。
そう続けようとして、タイクーンに一つの疑念が浮かんだ。
「……前は、誰が倒したんだ…?」
メラが打ち倒されたのは覚えている。
だが、「重要な何か」がどうしても思い出せない。
そう悩んでいる間にも、ジャマトたちの攻撃がタイクーンに向けて飛んだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎
「……やってくれたわね。
今ので力の大半が無くなった上、能力も使えなくなったわ」
その頃、紅魔館にて。
同じように映像を見上げていたレミリアが、忌々しげに吐き捨てる。
能力も失い、力もほとんど削られた。
存在が大きく削られた感覚に顔を顰めていると、道長が続ける。
「なるほど…。お前らを恐れる人間が少なくなったことで、力が減ったわけか」
「あら。牛にしては頭が回るのね」
「『牛にしては』は余計だ」
道長がそう返した、その時。
だだだ、と廊下から足音が響く。
2人がそちらを向くや否や、勢いよく扉が開いた。
「お姉様!能力が、能力が使えない!!」
そこに立っていたのは、どことなくレミリアに似た少女。
彼女は困惑を露わにしながら、何度も手のひらを握っては放す。
レミリアはそれに対し、深くため息を漏らした。
「誰だ、こいつ?」
「私の妹…、いや、あとで紹介するわ。
…フラン。あなた、能力と力が削られたって、どういう意味かわかってるの?」
「んーっと、すごく弱くなっちゃった?」
「それだけじゃないわよ」
見た目相応の精神年齢なのだろうか。
可愛らしく小首を傾げる少女…フランドール・スカーレットに、別の少女が声を上げる。
道長がそちらを向くと、寝巻きのような格好の少女が、神妙な面持ちを浮かべていた。
「…今度は誰だ?」
「まとめて紹介するから、今は我慢して。
…パチェ。状況の説明を」
少女…パチュリー・ノーレッジに向け、レミリアが促す。
パチュリーは「急かさなくてもいいわよ」と文句を返し、続けた。
「魔法使いの私はとにかく、あなたたちの存在は今、風前の灯。
メラが言っていた『最終ゲーム』が始まれば最後、よくて人間並の存在に格が落ちるか、悪ければ消滅よ」
「わかってるわよ、パチェ。
…あんな小物くさい男にしてやられるとは、幻想郷も堕ちたものね」
態度こそは小物そのものだが、その本質は神にも等しい。
レミリアは不安がるフランドールの頭を撫でつつ、メラが映っていた箇所を見やる。
「道長。前はどうやって倒したの?」
「前は…」
「以前は、仮面ライダーギーツこと浮世英寿様が奇跡を起こし、打破しました」
道長が答えようとした矢先。
その背後から、聞き覚えのある声が響いた。
レミリアたちがそちらを見やると、白と黒のドレスを纏った少女と目が合う。
道長は武器を構えようとした3人を手で諌め、少女に歩み寄った。
「ツムリ。ギーツってのは誰だ?」
「それは…、これに触れていただければ、思い出すかと」
言って、少女…ツムリは虹色の狐が描かれたIDコアを差し出す。
道長が訝しみながらもそれに触れると。
記憶の中に何かが溢れ出す感覚が、道長を襲った。
「……っ、そうだ、ギーツ…!
おい、ツムリ!ギーツの野郎は…!!」
「すみません…。幻想郷に突入する前に、ジーン様と私の前に姿を現したっきりで…。
共に幻想郷に来たジーン様とも逸れてしまったのです」
「は…?いや、ジーンは…」
俺たちと来た。そう言おうとして、道長はある結論に辿り着く。
「黒いバッファ、俺たちと来たジーン…。
………まさか、あのジーンは…!?」
「ちょ、ちょっと。何2人で勝手に盛り上がって…」
レミリアが声をかけた、その時。
ずぅん、と紅魔館が大きく揺れた。
「きゃっ…!?」
「わ、わわっ…!?」
「大丈夫か、お前ら!!
くそっ、次は……、は、はぁ…っ!?」
転けかけた4人をなんとか腕で支え、道長が窓の外を見やる。
そこには、大量にライダーが犇き、各々の獲物を館に向けているのが見えた。
あまりにも膨大な数を前に、道長は無論、続いて確認したレミリアたちも顔を青ざめる。
「ライダーが、あんなにたくさん…!?」
「逃げるぞ、お前ら!!」
「に、逃げるったって…、咲夜が…っ!」
「その『咲夜』ってのも連れて逃げる!案内しろ!!」
道長たちが部屋を後にするのと同時に、爆風がその背を撫でた。
デザイアグランプリルール
勝ち残れるのは、1人だけ。