理想の世界を叶える程度の能力   作:鳩胸な鴨

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アホの子妖夢を書きたかった


番外編
番外編Ⅰ:妖夢とブジンソード


「いざ、尋常に…、勝負です!!」

「………ど、どうして、こうなった…?」

 

景和は困惑していた。

メラの起こした異変を解決し、数日。

試験を乗り越え、あとは結果を待つばかりという時期に入り、気休めに幻想郷に行こうと思い立ったまでは良かったのだ。

 

それがどうして、あんな辻斬りのような気迫を纏う少女と相対するハメになったのか。

 

ぐるぐると巡る思考の中、景和はこれまでの経緯を思い返した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ふぅ…。こんなもんかな」

 

遡ること数分前。

掃除を終えた景和が、額に流れた汗を軽く拭い、廊下を見渡す。

我ながら、見事な磨きっぷりだ。

長年のボランティア活動で培われたノウハウが活きた。

そんな満足感に浸るのも束の間、様子を見に来た少女…ナズーリンが姿を見せる。

 

「おお、終わったのかい。

…私らより綺麗に磨くね、君」

「家事は得意だし、使ってる道具がいいからね」

 

言って、照れくさそうに笑う景和。

ナズーリンはそれに感嘆の声を漏らし、並んだ掃除用具を手に取った。

 

「洗剤だけでいろいろあるんだねぇ。

この、『混ぜるな危険』ってのはどういう意味だい?」

「他の洗剤と混ぜると、化学反応で有毒ガスが発生するんだよ」

「…ぬえがいたずら半分で、ご主人がうっかりでやらかしそうだねぇ」

「事前に白蓮さんに『混ぜちゃダメ』って教えてあるし、混ぜそうなメンバーにはしっかり言って聞かせてもらったから大丈夫だよ」

 

流石にこの寺で死人を出すのはまずい。

景和の言葉に、ナズーリンは胸を撫で下ろす。

少なくとも、この洗剤をこの寺に置かない方がいいことはわかった。

景和は手提げ袋にビニール袋に包んだ洗剤類を入れ、肩に持つ。

 

「それにしても、このお寺って普通に肉料理出るんだね。

そういうの禁止じゃなかった?」

「幻想郷じゃ常識に囚われちゃいけないんだよ。そういうお寺もあるってことさ。

白蓮様だけは戒律を守ってるけどね。

おかげで宴会でも1人浮いて、ちょっと泣きそうだった時があってねぇ」

「あー…。俺も酒はちょっとダメだなぁ」

「おや、そうなのかい?

それなら、今度の宴会は白蓮の相手をしてやっておくれよ。毎度寂しそうだったしね」

 

2人してそんな会話をしていると。

 

「いいから出せと言っているんです!!」

 

少女の怒鳴り声が寺じゅうに響いた。

2人はそれに顔を見合わせ、首を傾げる。

 

「すごい怒鳴ってるみたいだけど…、なにかあったのかな?」

「あの声、聞き覚えがあるような…。

一応は様子を見に行こうか」

 

言うと、2人は怒鳴り声の方へと早足で歩き出す。

近づくたび、怒鳴り声が増えていく。

わかるだけでも、ぬえ、村紗、寅丸が怒鳴り散らしている。

どうやら、ただ事ではないようだ。

妖怪がカチコミにでも来たのだろうか、と思いつつ、2人は鬼の形相で玄関を睨む白蓮へと駆け寄る。

 

「白蓮さん、どうかしたんで…」

「景和さん、今は来てはいけません」

 

景和が声を張るや否や、白蓮が恐ろしい声音でそれを制する。

それに景和が困惑をあらわにするや否や、玄関から怒鳴り声が響いた。

 

「ようやく見つけましたよ、桜井景和…いや、仮面ライダータイクーン!!

あなたと斬り合いに来ました!!」

「……………はい???」

 

どこかで恨みを買ってしまったのだろうか。

いや、幻想郷に来て、恨みを買うような真似は一切していないはずだ。

そんな困惑を向けるように、景和が視線を玄関へと向ける。

そこに立っていたのは、人魂のような何かを周囲に漂わせた少女。

少女は両手に刀を握り、左手に持ったソレの鋒を景和に向けている。

俺、あの子に何かしたっけ。それともジエンドタイクーンが何かやらしたのだろうか。

浮かび上がる数々の疑問にフリーズした景和に代わり、白蓮が怒鳴り声をあげる。

 

「いい加減になさい!!

辻斬りのような真似をして、主人に恥ずかしいとは思わないのですか!?」

「思う!!でも、そいつは斬る!!」

「ダメだコイツ!!」

 

白蓮の正論ボディブロー、ナズーリンの罵倒を受けてなお、刀を景和に向ける少女。

思考回路がどこかでバグっているとしか思えない言動を前に、景和が首を捻っていると。

様子を見守っていた二ッ岩 マミゾウが口を開いた。

 

「景和、斬り合ってやれ」

「マミゾウ!何を言うのですか!?」

「こやつ、無視すれば三日三晩は叫び散らすぞ。いいのか?」

「いや、正直言って気が引けるんだけど…」

 

こんな気狂いの相手をしたくない。

景和が身を引くのに対し、マミゾウは耳元で囁いた。

 

「白蓮に迷惑がかかるぞ?」

「……!」

 

それはまずい。

ただでさえ、幻想郷にいる間は衣食住を提供してくれているのだ。

これ以上余計な迷惑をかけるのは、忍びないどころの話ではない。

景和は前に出ると、デザイアドライバーを取り出し、腰に巻いた。

 

「わかった。望み通り、相手をする」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「なんで受けちゃったんだろ、俺…」

 

回想を終え、深くため息を吐く景和。

景和は気乗りしないまま、ニンジャレイズバックルを取り出して構える。

と。ソレに対し、妖夢は怒髪天を突く勢いで怒鳴り声をあげた。

 

「違ぁああうっ!!

刀のやつを使いなさい、刀のやつを!!」

「……えっと」

「惚けても無駄ですよ!

私はあの『武刃そぉど』という鎧を纏ったタイクーンと斬り合いに来たんです!!」

「いや、あの、君相手に使うにはちょっとオーバースペック過ぎるというか…」

「なにをう!?私如き、その手裏剣のやつでも倒せるとでも!?」

「いや、勢い余って真っ二つにしかねなくて…」

 

ブジンソードは「斬ること」に特化した装備である。

斬り伏せるべき相手でなければ使う必要性は薄く、ましてや手合わせ感覚で使えるようなものでもない。

が。そんな説得も虚しく、フルスロットルになった妖夢のエンジンは止まらない。

「使え、使え」と催促する妖夢に負け、景和はブジンソードバックルを取り出し、ドライバーに挿した。

 

『SET AVENGE』

 

「できる限り加減はするから…。変身」

「結構!!さあ、勝負です!!」

 

『BLACK GENERAL』

『BUJIN SWORD』

『READY FIGHT』




幻想郷ルール

仮面ライダーおよび彼らと関係の深い幻想郷の住人は、自由に幻想郷と外の世界を行き来できる。
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