「くそっ…!
上からチマチマ撃ってきやがって…!」
数分の応酬を経て、バッファは息を切らしながら、迫る光弾を剣で打ち消していく。
仮面ライダーバッファ、ゾンビフォーム。
ゾンビレイズバックルを使用することで変身が可能になる強化武装。
その最大の特徴は、ズバ抜けた耐久力と、威力の高い近接攻撃、更には多彩な毒操作能力にある。
つまるところ、レミリア・スカーレットをはじめとした幻想郷勢力に対し、凄まじく不利な武装なのだ。
遠距離攻撃の手段を持たぬバッファは、仮面の下で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、天井近くに佇むレミリアを睨む。
一方、レミリアは訝しげな表情を浮かべ、首を捻っていた。
「あの白い武装は使わないのかしら?
私のことをナメているの?」
「あぁ…?なんで知ってんだ…?」
白い武装と言われて思い浮かぶのは、マグナムフォーム。
銃撃戦に特化した形態であり、主に■■■が使っていた印象がある。
一部に靄がかかった記憶に疑問を覚える傍ら、バッファは思考を巡らせる。
「…攻撃の密度は脅威だが、その分威力はないな。問題は、アレを突破できる余裕がないことくらいか。
……賭けに出るか」
『REVOLVE ON』
『SET FEVER』
バッファは黄金に輝くバックルを取り出し、反転させたデザイアドライバーに装填する。
これは賭けだ。いくらやり直しが効くとは言え、相手が何度も引き直すほどの隙を与えてくれるとは思わない。
願わくば、望みの結果が出るといいが。
そんなことを思いつつ、黄金のバックル…フィーバースロットレイズバックルのレバーを下ろした。
「また変わる気ね。
この私が、それを許すと思ってるの?」
「思わねーよ」
『ZOMBIE』
当たりだ。今日は運がいい。
そんなことを思いつつ、バッファは鎧が形成されるのを待たずに弾幕の中を走り始めた。
「また紫の鎧…?
おかしいわ…。さっきの牛は…」
「ゴタゴタ吐かす暇なんてないぞ」
『HIT! FEVER ZOMBIE』
『READY FIGHT!』
仮面ライダーバッファ、フィーバーゾンビフォーム。
ある例外を除き、運に頼るしか変身方法がないというデメリットがあるものの、ゾンビフォームを遥かに凌ぐ耐久力と攻撃力を併せ持つ形態である。
バッファは迫り来る光弾をもはや打ち消すこともせず、ただレミリアに向けて駆け出した。
「うぉおおおっ!!」
「嘘っ…!?私の弾幕をこれだけ喰らっても怯まない…!?」
レミリアの記憶にある牛は、自身の弾幕を十程喰らった時点でかなり怯んでいたはず。
記憶との相違に困惑しながら、レミリアは突撃してくるバッファに向け、叫んだ。
「天罰『スターオブダビデ』!!」
『『POISON CHARGE』』
本来なら「遊び用」のため、避けられるように設計された弾幕。
だがしかし、今回ばかりはそういう気にもなれないのか、レミリアが放つそれは到底避けられるようなものではない。
一方、バッファは避ける気すらなく、二本の剣…ゾンビブレイカーのレバーを肩にかけることで引き上げ、エネルギーを充填した。
「はぁあああっ!!」
『『TACTICAL BREAK』』
ゾンビブレイカーを振るうと共に、エネルギーで構築された刃が弾幕を打ち消す。
が。レミリアもそれを予測していたのだろう。
彼女は地上へと急降下し、その手に紅く染まる槍を顕現させた。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
「らぁっ!!」
濃密な弾幕で構築された槍の刺突を、バッファはゾンビブレイカーを捨て、左腕で掴んで受け止める。
レミリアはなおも怯まず、そのまま吸血鬼としての膂力任せに押し切り、その胸を突いた。
「ぐぉっ…」
「ゾンビって、動く死体のことでしょう?
なら、死体らしく死んでおきなさい…!!」
「そう言われて…、おとなしく死ぬバカがいるわけねぇだろ!!」
『POISON CHARGE』
右手のゾンビブレイカーを地面へと下ろし、足でレバーを上げる。
その音を聞いた途端、レミリアは全身に弾幕を纏った。
「おとなしく撃たせると思って?
紅符『不夜城レッド』!!」
瞬間。レミリアを中心に、赤の十字架が顕現する。
その正体は、数えるのも馬鹿らしくなるほどに濃密な弾幕。
振り解こうにも、槍が鎧に突き刺さっているため、距離を取ることも叶わない。
が。バッファは全身に襲いくる衝撃と激痛の中、怯むことなくレミリアの体に剣を押し当てた。
「がぁあっ…、ああっ!!」
「ぎっ…!?」
『TACTICAL BREAK』
斬撃がレミリアの体を穿つ。
しかし、レミリアはその激痛に耐え、バッファの右腕を掴む。
それと共に、彼女の包む弾幕の嵐が強まった。
「ぐぁあああっ!?」
「ふ、ふふっ…!咲夜が受けた痛みもろとも、万倍にして返してやるわ…!!」
「だから、なんのことだっての…!」
「謝罪も命乞いもなく、自己保身に走るなんて、救いようがないわね…!
骨も残さず消し飛びなさい!!」
生身であれば、ものの数秒で消し炭になる威力の嵐がバッファを襲う。
が。バッファは左腕を槍から離し、バックルのレバーを下ろした。
『HYPER ZOMBIE STRIKE』
「あぁああっ!!」
「なっ、がっ!?」
瞬間。突如として地面から現れた鉤爪が、レミリアの体を大きく弾き飛ばす。
バッファはその体目掛けて飛び上がり、右足を構えた。
「はぁああああっ!!」
「っ、ああああっ!!」
レミリアは弾き飛ばされた先で即座に受け身を取り、新たに槍を形成して、前に突き出す。
刺突と蹴り。
2人の渾身の一撃が衝突し、館が大きく揺れた。
「ぐぁああっ!?」
「きゃあっ!?」
結果は、引き分け。
互いに武装が解除され、その場に転がる。
が。ゾンビレイズバックルの影響か、規格外のタフさを誇る道長は、即座にその場から立ち上がった。
一方のレミリアも、吸血鬼という種族の特性ゆえか、同じようにそこから立ち上がる。
「ちっ…!ジャマトでも仮面ライダーでもねぇのに、出鱈目な強さしやがって…!」
「ぐ、ぅう…っ!アンタのせいで、史上最悪の夜になりそうよ…!」
「だから、俺は今さっきここに来たばっかだって言ってんだろうが!」
「そんな言い訳…」
「現に俺は、お前の言う『白い鎧を纏うバックル』は持ってねぇ!
さっきの二つと、これで全部だ!」
言って、道長は所持していたもう一つのバックル…「コマンドツインバックル」の片割れを見せる。
レミリアが見た、銃を模したものではない。
そのことに気づいたレミリアは、目を丸くし、呆けた表情を見せた。
「え?だ、だって、牛だし…」
「俺以外の牛のライダーなんざ、ごまんといる!」
コンテンツの特性上仕方ないことではあるのだが、デザグラのライダーのデザインは、嫌でも被る。
流石に■■程ではないが、長い期間デザグラで戦ってきた道長も、同じように牛を模した仮面ライダーを幾度か見たことがあった。
レミリアも、道長の言うことが真実だと言うことに気づいたのだろう。
彼女は「まぎらわしいのよ…」と悪態を吐き、敵意を霧散させた。
「ただでさえ『仮面』関連の異変が起きてるんだから、自重してほしいわ。
勘違いしちゃったじゃないの」
「あれだけやっといて、謝罪の一つもなしか、このガキ…!」
「ガキじゃないわよ。アンタの何倍も歳上なんだから」
「歳上なら尚更だ!そんな見た目して350歳とかだろ!
大人気ない真似しやがって!
ベロバのやつといい、お前といい、テメェらみたいな見た目詐欺のババアはロクなのがいねぇな!!」
「はぁ!?誰がババアですって!?
吸血鬼換算じゃめちゃくちゃ若いわよ!!」
ぎゃあぎゃあと再びヒートアップした2人が言い合っていると。
なんの前触れもなく、唐突に館の壁が崩れた。
「ジャー」
「ジャ、ジャーっ」
「ジャ!」
崩れた壁の奥に居たのは、形容し難い怪物。
それが、10や20では済まされない数の群れをなし、こちらへと歩んできた。
「くそッ、ジャマトも居んのか…!」
「ジャマトって言うのね、コレ。
…チュパカブラの方がまだ可愛いわね」
「チュパ…、ああもう、気にしてる場合じゃねぇ!変身!!」
『ZOMBIE』
『READY FIGHT』
道長は言うと、すでに体力が削られた体に鞭を打ち、鎧に身を包む。
レミリアもまた、ふらふらの体を無理やりに起こし、槍を構えた。
デザイアグランプリルール
攻略が困難な能力者相手には、サポートキャラとして「ジャマト」を支給する。