ソリテール様結婚しましょう…貴方が旦那様です。   作:ごすろじ

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▼第25話▶閑話▶リーニエの指導&訓練

 

 

シンビオシスの街、その外縁部に設けられた演習場。

昼下がりの太陽が容赦なく降り注ぎ、乾いた土埃が舞い上がる中、そこには異様な静寂と、荒々しい呼吸音だけが支配する空間があった。

 

 

総勢五十名を超える戦士見習い、騎士見習い達が、たった一人の少女を取り囲んでいる。

だが、その光景は包囲などとは程遠く、中心にいる魔族には動揺一つなかった。

 

 

桃色の髪を揺らす魔族、リーニエは、手にした木剣の切っ先をだらりと下げ、退屈そうに欠伸を噛み殺す。

 

 

「……いく」

 

 

呟きと共に、姿が掻き消える。

次の瞬間、包囲の一角が弾け飛んだ。

 

 

「が、はッ!?」

 

 

先頭にいた大柄な戦士が、反応する間もなく鳩尾に木剣を突き入れられ、くの字に折れ曲がって吹き飛ぶ。

彼は背後の二人を巻き込みながら地面を転がり、土煙を上げた。

 

 

「連携が雑。視線で合図を送るな、動きで合わせろ」

 

 

リーニエの声は静かだ。

叫ぶことも、怒鳴ることもしない。

 

ただ事実を淡々と指摘し、その指摘がいかに致命的であるかを暴力で証明する。

彼女は倒れ伏す戦士たちを一瞥もせず、残った者たちへと歩を進めた。

 

 

「構え直して。休憩時間はまだ」

 

「く、来るぞ……! 散開しろ!」

 

 

騎士見習いの一人が悲鳴に近い指示を飛ばす。彼らは必死に隊列を組み直そうとするが、その足取りは重い。

恐怖と痛みが、彼らの肉体を鉛のように重くしていた。

 

リーニエは足を止め、ふと何かを思い出したように空を見上げる。

 

 

「……昔、フルーフから聞いた話がある」

 

 

唐突な昔話。

戦士たちは攻撃の予備動作かと身構えるが、リーニエは木剣を杖のように突き、無防備に立ち尽くしている。

 

 

「遥か遠い昔、あるいはどこか別の世界の『おとぎ話』。そこには、一撃で国を焼き払い、人類を根絶やしにできる『殲滅の炎』があったらしい」

 

 

声は鈴を転がすように愛らしいが、その瞳には一切の温度がない。

 

 

「時は流れ、どの国もその力を当たり前に持つようになった。互いに世界を灰にできる力を保有し、互いの喉元に刃を突きつけ合う。お前たちが撃てば、こっちも撃ち返す。そうやって睨み合う」

 

 

リーニエは一歩、足を踏み出す。

戦士たちが、ジリ、と後退する。

 

 

「いわゆる『抑止力』という考え方らしいけど。互いに絶滅する力を持ち合えば、恐怖で戦争は起きない……」

 

 

そこで言葉を切り、リーニエは目の前の男たちを見渡した。

彼女の瞳孔が、猫のように細く収縮する。

 

 

「……なんだそれ。舐めてるの?」

 

 

ドッ、と地面を蹴る音が響く。

リーニエの姿がブレたかと思うと、彼女は既に敵陣の中央にいた。

 

 

「う、わぁぁぁッ!」

 

 

錯乱した騎士が剣を振り下ろす。

リーニエはそれを避ける素振りすら見せず、手首を返して木剣で相手の剣の腹を叩いた。

ガィン、と嫌な音がして、鋼鉄の剣があっけなく手から弾き飛ばされる。

 

 

「持っているだけじゃ意味がない。振るう覚悟がなければ、それはただの鉄の棒。……馬鹿みたい」

 

 

無防備になった騎士の脇腹へ、リーニエの回し蹴りが突き刺さる。

肋骨が軋む音と共に、騎士は泡を吹いて沈んだ。

 

 

「どうして本気でやらなかった? なぜ全力を出さなかった? 本音を殺して、不意を受け入れて、求めた未来へ必死にならず、わざわざ我慢し続けた?」

 

 

リーニエは踊るように戦場を舞う。

襲いかかる槍を最小限の動きで躱し、すれ違いざまに肘を顔面へ叩き込む。

魔法による防御障壁を展開しようとした魔法使いの詠唱を、足元の小石を蹴り飛ばすだけで中断させる。

 

 

「大国の王、帝国の皇帝、あるいは魔王……。支配者なら普通考えるはず。世界征服を」

 

 

彼女は語りながら、的確に、精密機械のような動作で訓練を続ける。

 

 

「自分以外のあらゆる国を屈服させ、自分の国の為だけに生きる格下の属国として従えたいはず。世界の覇者になりたいはず。その機会を、どうしてわざわざ封じた」

 

 

その問いかけの最中、一人の熟練戦士が音もなくリーニエの背後を取る。

死角からの斬撃。タイミングは完璧だ。

だが、リーニエは振り返りもせず、背中合わせになるように身を沈め、戦士の軸足を刈り取った。

 

 

「がッ……!?」

 

「……答えは簡単。『撃ったら、撃ち返されるのが怖かった』から」

 

 

倒れた戦士の顔面スレスレに、リーニエの木剣が突きつけられる。

戦士は息を呑み、死を覚悟して目を閉じた。

だが、衝撃は来ない。リーニエは冷めた目で見下ろしている。

 

 

「お前も同じ。背後を取ったのに、最後の一歩が踏み込めていない。私が反撃してくる予感に怯えて、無意識に防御へ意識を割いた」

 

 

彼女は木剣を引き、次の標的へと向き直る。

 

 

「止めようとする相手の急所をなぜ迷わず突かない? 自分が傷つくのを恐れて、なぜ喉元を食いちぎろうとしない? ……躊躇い、迷い、甘え。それがお前たちの刃を鈍らせている」

 

 

彼女は戦士たちに問いかける。

それは国家間の戦争の話ではない。

今、この瞬間、圧倒的格上の彼女に対して、本気で殺意を向けられない、彼らの「甘え」に対する問いかけだ。

 

 

「相手を無力化できるなら、弱みを握り潰しても、金で買収してもいい。……結果が全て。勝てなければ、死ぬだけ」

 

「……師匠」

 

 

立ち上がった若者が、震える手で剣を握り直しながら問う。

彼は口元から血を流しながらも、リーニエを睨み返していた。

 

 

「師匠は……もし勝てない相手がいたら、そういう汚い手を使ってでも勝とうとするんですか?」

 

 

その問いに、リーニエは動きを止めた。

彼女の脳裏に浮かぶのは、巨大な斧を振るうドワーフの背中。

彼女が憧れ、模倣し続ける、絶対的な強者の姿。

 

 

「急所や隙を晒しているなら遠慮なく突くけど。そんな口八丁な軟弱な真似はしない」

 

 

リーニエは短く答えた。その声には、揺るぎない確信があった。

 

 

「『最強の戦士』なら、そんなものを使わなくても全てをねじ伏せる。私はそう在りたいから」

 

 

彼女は木剣を突きつけ、弟子たちを挑発する。

 

 

「でも、お前たちは違う。基礎も出来ていない。信念も特に感じない。死に怯えながらも、一歩踏み出して信念に殉じる覚悟を感じない。……私と同じふりをして、格好つけるのはまだ早い」

 

 

リーニエの視線が、彼らの未熟な魂を射抜く。

 

 

「今は、そういう手段もあるよ、って訓練なんだよ。泥を啜ってでも勝つという執念を持てと言っている。それを今後選ぶか選ばないかはお前たち次第」

 

「……っ、この……!」

 

「……そう。それでいい」

 

次々と、戦士たちが立ち上がる。

身体はボロボロだ。魔力も尽きかけている。肋骨は折れ、筋肉は悲鳴を上げている。

勝ち目など万に一つもない。

 

だが、彼らは構えた。

 

奇跡など待たない。

自分たちの力で、この理不尽な「壁」を越えようとする意志が、そこにはあった。

 

 

「なぜ昨日のうちに毒を盛らなかった? なぜ不意打ちをしなかった? ……勝つ気がないから」

 

「くそっ、囲め! 同時に掛かるんだ!」

 

「今になって徒党を組むのが、お前たちの精一杯?」

 

 

生き残った十数人が、声を掛け合い、四方八方から同時に襲いかかる。

剣、槍、斧、魔法。

逃げ場のない飽和攻撃。

 

リーニエは、小さく鼻を鳴らした。

 

 

「やっと殺す気でくるようになったの?だけど……本気で殺そうとするなら、昨日のうちに準備しておくべきだったね」

 

 

旋風が巻き起こる。

リーニエがその場で高速回転し、振るった木剣が全ての攻撃を弾き返した。

ただの木剣が、鋼鉄の武器を砕き、へし折り、吹き飛ばす。

圧倒的な技量の暴力。

 

 

「勝つための準備に、どれだけの時間を費やした? 毒を、武器を、人数を集めるのにどの程度の時間を割いたの? 」

 

 

吹き飛ばされた戦士たちが地面に転がり、呻き声を上げる。

リーニエは無傷。着衣に乱れ一つない。

 

 

「それを真剣に考えて、考えて、努力して……鋼の決意で実行すれば、やってやれないことなんてない」

 

 

リーニエはフルーフから聞いた与太話を、自らの戦士としての哲学に落とし込んで語る。

手段を選ばず、泥を啜ってでも勝とうとする執念が足りない。勿論最強の戦士は毒など使わないが、訓練ということでリーニエは積極的に口に出していく。

 

 

「もったいない。英雄ならやる。邪悪な竜でもやる。……なぜなら、常に本気だから。一点の曇りもなく、一度決めたのなら怯まないし諦めない」

 

 

リーニエは、膝をついて肩で息をする若者の前に立った。

彼は恐怖で剣を取り落とし、震えている。

 

 

「……その様は、なに? まるで本気で生きていない」

 

 

冷淡な言葉が、若者の心を抉る。

リーニエは彼を見下ろし、侮蔑を含んだ声で言い放つ。

 

 

「自分の限界を、戦士として、騎士としての生を……どこまで安売りするつもり?」

 

 

練兵場には、敗北者たちの呻き声だけが満ちていた。

全員が地に伏している。

だが、リーニエの指導は終わらない。

彼女は魔法で冷たい水を生み出し、倒れている者たちの頭上から容赦なく浴びせかけた。

 

 

「……っ、ぷはッ!」

 

「冷たッ!?」

 

「立って。まだ死んでない。……魔族にここまでコケにされて、恥ずかしくないの?」

 

 

水を浴びせられ、咳き込みながら戦士たちが身じろぎする。

リーニエは腕を組み、仁王立ちで彼らを待つ。

その姿は、可憐な少女などではない。絶壁のように立ちはだかる、超えるべき壁そのものだ。

 

 

「だから英雄になれない。戦士に、騎士に、憧れる頂へと全身全霊で駆け出せない。憧れるならなぜ目指さない? 世の中を舐めてるの?」

 

 

彼女の言葉は静かだが、鞭のように彼らの心を抉る。

リーニエはふと、足元で膝を抱える若者に目を留めた。

 

 

「……まだ生きてるのに、なんで死んだような顔をしてるの?」

 

 

彼女は無造作に木剣を突きつけ、若者の顔を上げさせた。

 

 

「自分は弱いから仕方ない。相手が悪い。……そうやって自分を慰めて、言い訳して、惨めに生き残るのが望み?」

 

 

彼女の声には、微かな苛立ちが混じる。

 

 

「都合よく自分に甘い奇跡なんて起きない。……勝ちたいなら、プライドも常識も捨てて、歯を食いしばって立ちなよ」

 

 

彼女の脳裏にある「最強の戦士」アイゼンは、どんな時も諦めなかった。

「母親」であるフルーフも、何百年もの間、たった一つの愛を追い求め、狂気的な執念で手に入れた。

彼女が知る「強者」は皆、自分の弱さを嘆く暇があれば、爪を研いでいた。

 

 

だからこそ、目の前の弟子たちの諦めが許せない。

無理だと悟った瞬間に思考を止める。それは戦士ではなく、ただの敗北者だ。

 

彼女は木剣を高く掲げ、あえて尊大な態度で彼らを見下ろした。

 

 

「コケにされて悔しい?歯牙にもかけられないことが惨め?なら、もっと大きな声で、ここにいるって叫んでみなよ。その存在感を示せ。世界はお前たちなんて見てない。……だから、お前たちが自分で証明するしかない。誰も無視出来ない光になれ」

 

 

リーニエは弟子たちを煽る。

「私を倒してみろ」という、師としての、そして超えるべき壁としての最大級の挑戦状を叩きつける。

 

 

「私は此処にいる――此処にいるよ。来なよ英雄。私を滅さんとする光の使徒」

 

リーニエはニヤリと、魔族らしく笑ってみせた。

物語の魔王のように両手を広げ、弟子たちを挑発する。

 

「私が目が離せない程に輝いて、魅せて、私にその輝きを」

 

最初に立ち上がったのは、最初にのされた大柄な戦士だった。

ふらつく足で砕けた剣の代わりに予備のナイフを抜き、泥だらけの顔を上げてリーニエを睨む。

その目から、怯えが消えていた。

 

「……上等だ、クソガキ師匠……!」

 

「……よし。それでこそ私の弟子」

 

 

戦士の一人が防御を捨てて斬りかかってくる。

それを皮切りに、戦士見習いも騎士見習いも、痛みなど関係ないとばかりに武器を振りかざし、リーニエへと迫る。

 

 

「頑張りさえすればできる」

 

「なぜ言い切れるか? 決まってる。現実に、そういう人間がいたという実例を知っているから」

 

「だからこそ、この思想を疑う理由は私にはない」

 

 

リーニエが地を蹴る。

弟子たちに応えるように、武器を構え突貫。

 

 

手加減はしない。

弟子が本気である以上、こちらも本気で叩き潰すのが礼儀だ。

衝撃音が響き、再び土埃が舞い上がる。

 

シンビオシスの練兵場には、今日もまた、戦士たちが強くなるための音が鳴り響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな様子を遠くから見守っていたフルーフは茶を啜りながら、一人ぼやる。

 

 

「……なんですかね。リーニエ師匠の背後に、赤毛のおっさんと眼鏡のおっさんが見えます」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

シンビオシスから遠く離れた、地図にも記されていない荒野。

乾いた岩肌が、月光を受けて青白く浮かび上がっている。

 

 

夜風が岩の隙間を通り抜け、ヒュオオと笛の音のような音色を奏でていた。

肌を撫でる風は冷たく、乾いた土と岩の匂いを運んでくる。

 

 

リーニエは、ゴツゴツとした岩塊の上に腰を下ろし、ただ夜空を見上げていた。

視界を遮るものは何もない。

 

 

人工の灯りなど存在しないこの場所では、天の川が質量すら感じさせるほどの濃密さで夜空に横たわっている。

 

 

無数の星々。

 

 

瞬き、輝き、あるいは静かに燃え続ける光の点。

 

 

「……遠い」

 

 

ぽつりと、リーニエが呟く。

彼女の視線の先にあるのは、特定の星ではない。

 

あの日、彼女の脳裏に焼き付いた「最強の戦士」アイゼンの背中だ。

 

彼が振るう斧。彼が放つ覇気。

それは、今のリーニエにとって、この夜空に輝く一等星のように美しく、そして絶望的なほどに遠い場所に在るものだった。

 

 

魔族として生まれ、人の技を模倣し、研鑽を積んだ。

身体能力は向上した。技術も洗練された。

 

 

それでも、埋まらない。

 

 

あの圧倒的な「格」の差が。

戦士としての強度の違いが。

 

 

「ねぇ、フルーフ」

 

「はいはい、何でしょうリーニエ師匠。夜空を見上げてセンチメンタルですか?」

 

 

岩陰でランタンを片手に本を読んでいたフルーフが、顔も上げずに答える。

リーニエの鍛錬に付き合わされているのか、テントを立て毛布まで設置しくつろいでいた。

 

 

「星ってさ、何であんなに光ってるの」

 

「天文学に興味でも出ましたか? あー……そうですね、星の種類にもよりますけど、一言で言えば『燃えている』からですよ」

 

「燃えてる?」

 

「はい。薪が燃えるのとはわけが違いますけどね。あれは、とてつもなく巨大な塊が、自分自身の重さに耐えきれずに中心で押しつぶされて、その圧力と熱で永遠に爆発し続けているんです。自壊と再生の均衡……とでも言えばいいでしょうか」

 

 

フルーフの説明は、かつて得た知識の残滓を辛うじて繋ぎ合わせた、ふわりとした科学的なものだった。

しかし、リーニエの魔族としての感性には、別の響きを持って突き刺さる。

 

 

――自分自身の重さで、自分を押しつぶす。 ――永遠に爆発し続けている。

 

 

「……なるほど」

 

 

リーニエは立ち上がり、掌を夜空にかざした。

指の隙間から、星の光が漏れる。

 

 

「最強の戦士は、星だ」

 

「詩的ですねぇ」

 

「違う。比喩じゃない。あの圧倒的な力、近づくもの全てをねじ伏せる重圧。あれは、存在そのものが『星』なんだよ」

 

 

リーニエは拳を握りしめる。

握りしめた手の中で、空気が圧縮され、パチンと小さな音が鳴った。

 

 

「最強の戦士に追いつくには、技術じゃ足りない。魔力量を増やすだけでも駄目。……質を変えるしかない」

 

「質、ですか」

 

「そう。私も『星』になる」

 

「えー……」

 

 

フルーフが本を閉じ、呆れたようにリーニエを見上げる。

星……星かぁ、と唸りながら、星ってなんだ? と疑問顔を浮かべるしかない。

 

 

「リーニエ師匠、失礼ながら、星とは? 魔族の身体は魔力で構成されています。人間のように物質的な肉体を持っているわけではありません。つまり、貴女が星になるということは、貴女を構成する魔力そのものを燃料にして、燃やし尽くすということですよ? それは自殺と同義です。これ、解釈合ってます?」

 

「知ってる。だから、お前がいる」

 

 

――え、合ってるんだ。

とフルーフは再度首を傾げ、思案顔になる。

 

リーニエは上着を脱ぎ捨て、簡素な下着姿になった。

露わになった肌は白磁のように滑らかで、夜気に触れて微かに粟立つ。

その内側では、卓越した魔力制御によって一切の無駄なく魔力が全身を巡っていた。

 

 

「私が吹っ飛んだら、バカ弟子が治す」

 

「吹っ飛ぶんですか? ま、まぁ、いいですけど。意味あるんですかね……」

 

「たぶん。勘だけど、吹っ飛ぶ」

 

「それでしたら、私の一発芸であるクソ硬結界で囲っておきます。髪の毛だけ少し貰いますね、灰も残らなかったら、髪から蘇生します」

 

 

フルーフが暫く目を瞑る。数十秒後、街を囲っている結界と同質のものがリーニエの周囲に展開された。

薄く輝く障壁が、月光を受けて淡い虹色に揺らめく。

 

 

リーニエの髪から数本を切り落とし、フルーフはその束を大切そうに懐へしまう。

それから、テントの中へ身を滑り込ませ、入り口の隙間から様子を伺った。

 

 

リーニエは深く息を吸い込んだ。

冷たい夜気が肺を満たし、肺腑の奥まで染み渡る。

吐く息が白く煙った。熱い魔力が全身を駆け巡り、冷気と熱の境界で肌が微かに震える。

 

 

「イメージはあるんですか?」

 

「ある。私は知性派だから、感覚で方法を組み立てた」

 

「ち、知性派……脳筋による、野生の勘の間違いでは」

 

「黙れ」

 

 

リーニエは目を閉じ、意識を内側へと沈めていく。

 

 

――イメージ……イメージ。星を。夜空を流れる、あの巨大な光の河を。

 

 

空に輝く星。

その中心で起きている、破壊と創造の連鎖。

それを、この身体という小さな器の中で再現する。

 

 

「……いく」

 

 

魔族の身体は、人類とは根本的に異なる。

人間は、血肉の巡る肉体を持つ。対して魔族は、人間と同質の機能を持ちながらも、根本を構成する全てが魔力だ。

流血もするし、致命傷も人間と同じ。けれど全ては魔力で構築された肉体である。

 

 

つまり――魔力の扱い方次第で、その身体は如何様にも「在り方」を変えられる。

少なくとも、リーニエはそう信じていた。

 

 

―ー第一段階。……回す。

 

 

リーニエは、体内の魔力循環を通常の流れから切り離した。ただ流すのではない。

右半身に流れる魔力を、時計回りの螺旋に。

左半身に流れる魔力を、反時計回りの螺旋に。

 

体内を流れる魔力の奔流を、イメージの力で強引に二つの巨大な「渦」へと変える。

 

――ギチチチチチチ……。

 

体内から、きしむような音が聞こえ始めた。

骨が鳴っているのではない。魔力が悲鳴を上げているような軋み。

逆方向に回転する二つの渦が、身体という器の中で暴れまわる。

 

 

「……ッ」

 

 

身体がねじ切れるような激痛が走る。

右半身と左半身で、血流すらも逆流するかのような負荷。

内臓が絞り上げられ、骨格が歪む錯覚。それでも、まだ足りない。

ただ回っているだけでは、熱は生まれない。

 

 

「もっと……もっと速く。そして、ぶつける」

 

 

リーニエは歯を食いしばり、意識を研ぎ澄ます。

歯の根が噛み合わさる音が、頭蓋の内側に響いた。

二つの渦を、心臓の一点に向けて急激に収束させる。

高速回転する二つの歯車を、無理やり押し付けるように。

 

――擦り合わせる。

 

魔力と魔力が接触する。

本来交わることのない奔流が、ゼロ距離で削り合い、噛み合い、火花を散らす。

凄まじい「摩擦」が生まれた。

 

 

行き場を失った運動エネルギーが、熱と光に変換されていく。

胸の奥で何かが灼けている。熱い。焦げつくように、熱い。

 

 

「――――ッ!!!」

 

 

限界が来た。

制御しきれないエネルギーが、肉体という器を内側から食い破る。

 

 

カッッッ!!!!

 

閃光。 そして轟音。

 

 

リーニエの身体が、内側からの爆発によって木っ端微塵に吹き飛んだ。

肉片すら残らない。魔力の残滓となって、大気に霧散していく。

 

 

「う、わぁ……はい、一回目です」

 

 

間髪入れず、フルーフが動く。

放たれた蘇生魔法が、霧散しかけたリーニエの魂の核を捉える。

髪の一本から作り上げた新しい身体に魂を叩きつけ、縫い付ける。

 

 

リーニエの表情は苦悶に歪む。

肉体は治っても、死の瞬間の苦痛と、魂に刻まれた「焼失」の記憶は消えない。

その上、リーニエは死の恐怖というものに耐性がない。どこぞの狂人共とは違い、恐怖は普通に感じる。

 

 

「……はぁ、はぁ、はぁ……ッ!」

 

 

リーニエは膝をつき、肩で息をする。

幻痛が全身を駆け巡る。自分の身体が弾け飛ぶ感覚。臓腑が蒸発する刹那の灼熱。

それが、あまりにも鮮明すぎた。

 

全身が痙攣し、震える。

 

 

「何をやろうとしてたのかは、わかりませんが……確かに吹っ飛びましたね」

 

「……うるさい。次は、もっと上手くやる」

 

「え、まだやるんですか? 震えてますよね?」

 

 

フルーフとしては親愛なる師匠を気遣った一言であった。

しかし、それが逆にリーニエの反骨精神に火をつけた。

ブツブツと、凄まじい速度で唇が動き始める。

 

 

「最強の戦士なら出来たぞ。最強の戦士なら――最強の――最強の戦士なら出来たぞ出来たぞ出来たぞ――」

 

 

呪詛のように、あるいは祈りのように、同じ言葉が途切れることなく唇から零れ続ける。

瞳孔は開き、焦点が定まらない。

フルーフが数えるのを諦めた頃、ようやくリーニエの瞳に正気の光が戻った。

 

 

「――は? 誰が震えてるって?」

 

「怖い怖い怖い! 怖いですって!」

 

 

リーニエの十八番だった。

フルーフはこれを密かに「最強の戦士構文」と呼んでいる。

根拠は皆無、効果は絶大。

狂信者の祈りにも似た自己暗示だ。

 

当然ながら、戦士アイゼンがこんな真似をするドワーフであるはずがなく、出来る出来ないの議論にすら値しない。

しかし、リーニエにとっては無限に向上心が湧く魔法の言葉であり、気がつけば震えは止まっていた。

 

 

リーニエは立ち上がる。

恐怖はある。自己が消滅する恐怖。けれど、それ以上に、「最強」への渇望が彼女を突き動かす。

 

 

――回して、ぶつけて、熱を作る。そこまでは出来た。

 

 

しかし、爆発してしまっては意味がない。

星は燃えている。つまり爆発しながらも形を保っている。

押し広げようとする力と、押し留めようとする力。その均衡が必要だ。

 

 

「……もう一回」

 

 

二回目。

今度は、衝突させた魔力を全身へ循環させるのではなく、その場に留めるイメージを持つ。

心臓という炉心で、魔力をすり潰し続ける。

 

 

「……!!!」

 

 

ミシミシと、空間が歪む音がする。

リーニエの胸を中心に、重力異常が発生していた。

足元の小石が、吸い寄せられるように浮かび上がる。

空気すらも重く、粘度を増したように感じられた。

 

 

圧縮。収斂。さらに凝縮。限界を超えて、なお絞り上げる。

 

 

――ここで、点火。

 

圧縮された魔力に、さらに強い回転を加える。

逃げ場のない狭い空間で、超高密度のエネルギーが暴れだす。

 

 

ドォン!! と鈍い音がして、リーニエの胸部が弾け飛んだ。

 

 

制御失敗。

心臓部のみが消滅し、残された四肢が力なく崩れ落ちる。

 

 

「えー……はい、二回目です」

 

 

フルーフの魔法が、失われた胸部を瞬時に再生させる。

生き返ったリーニエは、虚ろな目で空を見上げた。

 

 

「……難しい」

 

「そりゃそうですよ。何となくわかりましたけど、リーニエ師匠がやろうとしているのは、体内に星……というか、核融合的な何かですよね。知識もないのに、感覚だけでそれをやろうなんて無茶ですよ。今度サヤさんに聞いてみてはどうですか? その手の知識は豊富そうですし」

 

「いらない……最強の戦士なら出来たぞ。最強の戦士なら出来たぞ。最強の戦士なら――」

 

「あ、はい」

 

 

リーニエの瞳に、再び光が宿る。

最強の戦士なら出来る。そんな根拠のない確信。

それこそがリーニエの強さの源だ。

 

 

三回目。四回目。五回目。 死の回数が二桁に乗る頃、結界内の地面は正方形に深く抉れ、巨大な落とし穴と化していた。

何度も何度も爆発し、そのたびに地形が変わる。

岩は砕け、土は焼け、クレーターの縁は硝子のように溶けて固まっている。

 

 

それでも、リーニエの身体には、微かな変化が現れ始めていた。

 

 

五十回目の蘇生直後。

リーニエは、即座に構えを取った。

考えるよりも先に、身体が「正解」を求めて動き出す。

 

 

もはや思考ではない。

五十回の死が刻んだ、魂の記憶だ。

 

 

――回す。擦る。潰す。……そして、流す。

 

 

ただ一点に留めるのではない。

生まれた熱を、生まれた端から全身へ、河のように流し続け、形作る。

魔力強化を肌の薄皮一枚にだけ集中させ、決して外へは漏らさない。

自分の皮膚を、世界の果てだとイメージする。イメージを切らした瞬間に終わる。その予感があった。

 

 

右の渦と左の渦。

心臓で衝突し、削り出された光の粒子が、血液の代わりに全身を巡る。

魔力で構築された肉体――微粒子レベルの魔素が火花を散らし、別の何かで満たされ、膨れ上がっていく。

 

 

「……」

 

 

ドクン、と心臓が跳ねた。

今までにない、重く、確かな鼓動。

 

 

胸の奥で何かが灼けている。骨の髄まで響く振動。

血液の代わりに溶岩が流れているような、焦げつく熱さ。

けれど、それは苦痛ではなかった。

 

燃えている。自分という存在が、内側から燃え上がっている。

 

体内の魔力が、摩擦によって完全に励起状態へと移行する。

皮膚の内側で、無数の星が瞬いているのがわかった。

 

個体としての魔族の肉体が、その存在形式を保てなくなり、変質を始める。

 

焼ける音がした。

ジジジ、と肉が焦げるような――否、それよりもっと根源的な、存在そのものが書き換えられる音。

 

 

リーニエの肌の色が変わる。

 

 

赤熱するのでも、白く輝くのでもない。

痣のように広がっていく、深い、底なしの黒。

 

それは夜空の色だった。 星々を抱く、無限の暗黒。

 

肉体という物質的な概念が消失し、身体は宇宙そのものへと置換されていく。

輪郭は人の形を保っている。しかし、中身は空っぽの闇だ。

質量を持たない虚無。光すら呑み込む深淵。

 

 

その虚ろな闇を満たすように、心臓という炉心から生み出された膨大なエネルギーが全身を駆け巡る。

 

黒い肌の表面に、無数の光の筋が浮かび上がった。

血管ではない。

 

それはまるで、夜空を流れる天の川。

あるいは、闇を切り裂く稲妻の残像が、消えることなく脈打ち続けているかのようだった。

漆黒の肢体を、銀河のような輝きが巡り、脈動する。

 

 

フルーフはテントの入り口から息を呑んでその光景を見つめていた。

言葉が出ない。目の前にいるのは、もはや知っているリーニエではなかった。

 

 

夜を纏い、星を宿した、異形の存在。

美しく、そして禍々しい。

神話に語られる創世の神か、あるいは終焉を告げる破壊神か。

どちらにも見える姿が、月光の下で静かに佇んでいた。

 

 

――できた……?

 

 

リーニエは、自らの手を見た。

そこにあるのは、肌色の手ではない。 夜の闇を切り取ったように流動する黒。

その中を、星屑の奔流が流れている。

 

 

美しい。自分の身体なのに、見惚れるほどに。

 

 

そして、恐ろしいほどに重い。

ただ腕を上げるだけで、周囲の空間が軋みを上げる。

指先を動かせば、空気が悲鳴を上げて避けていく。

 

 

――力が、溢れてくる。無限に。

 

 

魔力同士が擦れ合い、新たなエネルギーを生み出し続ける。

心臓という炉心が脈動するたびに、全身を駆ける光の奔流が勢いを増す。

止まらない。止められない。

これが、星。自壊と再生の均衡。永遠に燃え続ける存在。

 

 

――これが、私の目指した場所。

 

 

しかし。

 

 

「……あ」

 

 

視界がぐらりと揺れた。

維持できない。

 

 

均衡が崩れていく。

押し広げようとする力が、押し留めようとする力を凌駕し始める。

 

 

ピキッ、ピキピキッ……。

 

 

黒い肌に、光の亀裂が走る。

銀河の運河が決壊し、暴走した星の光が溢れ出す。

制御の糸が、一本、また一本と千切れていく。

 

――死ぬ。

 

直感した。

これは、敵を殺すよりも早く、自分を殺す技だ。

力を得る代償に、確実に訪れる死。

 

 

皮膚という名の境界線が、内圧に耐えきれずに罅割れていく。

溢れ出す光。灼熱の奔流。抑えようとしても、もう遅い。

 

 

光が、内側から溢れる。

黒い肉体が崩壊し、純白の閃光に飲み込まれていく。

 

 

最後に見えたのは、夜空に輝く星々だった。

――ああ、綺麗だな。

 

 

ドォォォォォォォンッ!!!!

 

 

先程までとは比較にならない、荒野を光で覆うほどの爆炎が結界を揺らした。

夜空が一瞬にして真昼のように明るくなり、衝撃波が結界を抜け、数キロ先まで届く。

大地が震え、遠くの岩山が崩落する轟音が響いた。

 

 

フルーフは結界の中で身を縮め、両腕で顔を庇いながら、その光の奔流をやり過ごした。

目を開けられない。まともに見れば、眼球が焼かれる。

熱風が肌を舐め、髪を焦がし、それでもなお結界は持ち堪えた。

 

 

やがて、光が収まる。 熱が引いていく。

 

 

フルーフが恐る恐る目を開けると、そこには――何もなかった。

リーニエの欠片すら残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「……で、また死んだわけですね」

 

「うるさい」

 

 

再生したリーニエは、地面に体育座りをして拗ねていた。

結界内の地面はクレーターと化しており、まだ赤熱してドロドロに溶けている。

底の見えない穴の縁で、二人は並んで座っていた。

 

 

「一瞬、リーニエ師匠の身体が見えましたよ。……綺麗でしたね。確かに星のようでした。いや、宇宙かな? 夜空をそのまま人の形に切り取ったような」

 

「……そう」

 

 

リーニエは、自分の手のひらを見つめる。

今は、ただの白い肌。月光を受けて青白く浮かび上がる、何の変哲もない少女の手。

けれど、あの感覚は残っている。 指先に、まだ微かな熱を感じる気がした。

 

 

「……まだ掴めない。けど、私はまだまだ強くなれる」

 

 

最強の戦士。遥か高みにいる、あの背中。

この身を焦がし、存在を燃やし尽くせば、あの一瞬だけは並び立てるかもしれない。

 

 

「それ、使用禁止ですからね。必殺技としてなら、私の魔法の方がまだ安定感と持久力あります」

 

「私はそんな馬鹿じゃない。今のままだと、敵の前で爆死するだけ」

 

 

リーニエは膝を抱えたまま、クレーターの底で蠢く溶岩の光を見下ろした。

赤々と燃える光。あれもまた、星の欠片のようなものだろうか。

 

 

「フルーフ。もっと星の話を聞かせて」

 

「え? いいですけど……何が知りたいんですか?」

 

「何でも。星がどうやって生まれるのか、どうやって死ぬのか、なぜ燃え続けられるのか。……全部」

 

 

フルーフは少し驚いた顔をしたが、すぐに柔らかく微笑んだ。

テントから毛布を二枚持ち出し、一枚をリーニエの肩に掛ける。

リーニエは無言でそれを受け入れた。

 

 

「そうですね……どう話しましょうか」

 

 

フルーフは夜空を見上げ、記憶の糸を手繰り寄せるように語り始める。

 

 

「星にも寿命があるんですよ。永遠に燃え続けるわけじゃない。いつかは燃料が尽きて、死を迎える。……でも、その死に方が面白いんです」

 

「死に方?」

 

「ええ。小さな星は静かに冷えていくだけですけど、大きな星は最後に大爆発を起こすんです。超新星爆発、というらしいですね。自分の全てを宇宙に撒き散らして、その残骸から新しい星が生まれる」

 

 

リーニエは黙って聞いていた。 毛布の中で膝を抱え、夜空を見上げながら。

 

 

「死んで終わりじゃない。死が、新しい何かの始まりになる。……ロマンチックだと思いませんか?」

 

「……そう」

 

 

リーニエの返事は素っ気ない。けれど、その瞳には静かな光が宿っていた。

 

二人は暫くの間、並んで夜空を見上げていた。

変わらず輝く星々。あそこにあるのは、悠久の時を燃え続ける本物の星――恒星と呼ばれるもの。

自分のは、ほんの一瞬輝くだけの、偽物の星。

 

 

けれど。

 

 

「私も、いつか」

 

「はい?」

 

「……いつか、あの星みたいに燃え続けられるようになる」

 

 

リーニエは立ち上がり、夜空に向かって手を伸ばした。

指の隙間から、星の光が漏れる。届かない。まだ、届かない。

 

 

けれど、もう見えないほど遠くはない。

 

 

リーニエは目を閉じた。

瞼の裏に焼き付いているのは、あの感覚。

光り輝く運河が全身を巡る恍惚。

全てを無に帰す圧倒的な破壊の力。

そして――一瞬だけ、確かに手が届いたという、焦げつくような歓喜。

 

 

――次は、もっと上手くやる。もっと長く、もっと強く。

 

 

完成には程遠い。

一瞬その形になれただけで、すぐに崩壊してしまった。

 

 

身体の強化、精神の修練、魔力制御の向上。

やるべきことは山積みだ。

 

 

それでも、彼女は止まらないだろう。

いつか訪れるかもしれない、命を賭すべき戦いのために。

いつか並び立ちたい、あの背中のために。

 

 

「……帰りましょうか、リーニエ師匠。流石に夜も更けましたし」

 

「ん」

 

 

フルーフがテントを片付け始める。

リーニエは最後にもう一度だけ夜空を見上げ、それから踵を返した。

 

 

荒野に残されたのは、巨大なクレーターと、硝子のように溶けて固まった大地だけ。

それは、一人の魔族が星に手を伸ばした、その証だった。

 

 

夜空では変わらず、無数の星々が静かに瞬いている。

リーニエが目指す場所を示すように。 あるいは、いつか届くその日を待っているかのように。

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