超大型ノイズが出現し響達が迎撃に向かっている頃リディアンは多数のノイズとプルーマによる襲撃を受けていた。
人だった炭が舞う中を悲鳴と血飛沫が踊る中を一課の人間が戦う術を持たないリディアンの生徒をシェルターへと逃がすために位相差障壁やナノラミネートアーマーを持つノイズとプルーマ相手に必死に応戦していた。
「こいつら攻撃が利いてない!?本物かよ!」
「怯むな!我々の後ろには多くの命がある!」
震える身体を覚悟で奮い立たせ戦うもどうしようもない天敵に一課の者達はその人数を着実に減らしていた。
友達をシェルターへと向かわせた未来は逃げ遅れた人が居ないかリディアン校舎内を巡っていたところを校舎内に侵入してきたプルーマとノイズに見つかる。
「っ!」
一瞬足が止まってしまいそこに襲い掛かられるが横から引っ張れる事で何とか死を免れる。
「走りますよ!生身ではあれらに勝てませんから!」
「緒川さん!」
そして二課へと繋がるエレベーターに乗り込むと緒川は弦十朗へと通信を始める。
「司令、リディアンの破壊は続いていますが一課の皆さんや未来さんのお陰で被害は最小限に抑えられています。」
『そうか。緒川カディンギルについて何か分かったことはあるか。』
「ええ、ようやく分かりました。カディンギルとは--。」
しかし緒川はカディンギルについてを弦十朗に伝えることができずにエレベーターの天井を破壊して侵入してきたフィーネによって通信機を手から弾かれ首を鞭で絞められ身体を持ち上げる。
「いつから気づいていた?情報統制は完璧だった筈だが。」
「あまり僕たち二課を舐めないで下さい・・・!」
「ふっ、だが知ったところでもはや流れは止められぬ。」
エレベーターが二課に着いたところで扉が開いたことを確認した緒川は身体を高速で捻ることでフィーネによる拘束から脱すると直ぐさまフィーネを銃で撃つが銃弾は全て利かず無残にも床にこぼれ落ちる。
「ネフシュタンっ!」
「足掻いて藻掻いたところで凡夫にはなにもできん。」
「未来さん今の内に逃げてください!」
「でも!」
体術を持ってフィーネに対抗しようとする緒川であったが時が経ちネフシュタンの鎧と完全な融合を果たしたフィーネの前に赤子の手をひねるように組み伏せられると先ほどの光景の焼き増しかの如く再び鞭で首を絞められ持ち上げられる。
「ぐぅ・・・!」
「やめて!」
その光景を見て逃げる事などできなかった未来がフィーネにタックルし緒川を解放させようとするがフィーネの身体を少し揺らすだけに留まるが蛇のような目で未来を見たフィーネが緒川を壁に投げつけると未来の顎を持ち上げる。
「麗しいな。自らを謀っていた者達の身を案ずるなど。」
「何を言って。」
「気づかぬか?このリディアンという学園そのものが聖遺物の適合者を探し出すための実験場だったのだ。その点風鳴翼と言う偶像は貴様のような愚かな被検者を集めるのに役だったものだ。」
嘲るようにそう言い放った未来は意志を込めて言い返す。
「例え嘘を吐いていたとしても!誰かの為に命を懸けて戦う人達を私は信じてる!!」
「興が冷める!!」
癪に障ったのかフィーネは未来に数度平手打ちを喰らわせると通信機を奪い取りデュランダルが保管されているアビスへと繋がる通路へ向かいその入り口を通信機を使い開こうとするが緒川によって通信機を破壊される事で阻止される。
「デュランダルの元へは行かせません!この命に代えても!!」
「・・・。」
決死の覚悟の緒川を路傍の石を見るような目で見ながら鞭で排除しようとするフィーネであったが響いてきた声によって動きを止められる。
「待ちな了子。」
何故か上から聞こえてきたその声に視線を上に向けると天井が破砕しそこから弦十朗が降り立つ。
「未だその名で私を呼ぶか。だがいつから気づいていた。」
「米国によってご丁寧にばらまかれた痕跡を辿ると自然とだ。」
弦十朗は応えると構えを取る。
「少しばかり汗をかいた後でゆっくり話を聞かせて貰おう!」
「勝った気でいるその慢心を呪うことになるぞ!」
言い終わると共に鞭をしならせ生物のように弦十朗に向かって放ったフィーネであったが意識の隙間を縫い接近してきた弦十朗の拳が目前に迫っているの確認すると慌てて回避行動に入る。
「なぁ!?」
「うぉらぁ!!」
振るわれた拳は床を砕くだけであったがその時に発せられた衝撃波によってネフシュタンの鎧に罅が入ったのを見たフィーネの頬が僅かに引きつる。
一息に距離を取り超速で鞭を槍のように放つがそれを見切った弦十朗によって鷲掴みにされると逆に鞭を利用され引き寄せられると引っ張れた勢いと拳の勢いが合わさったアッパーカットをくらいネフシュタンの鎧の一部が砕けるとフィーネは地を転がる。
「あの時とは違い完全に融合を果たしたのだぞ!?なぜ渡り合える!?」
「知らいでか!男の鍛錬は飯食って、映画見て、寝る!それで十分よ!」
「戯けたことを!」
起き上がったフィーネはソロモンの杖を構えると叫ぶ。
「だが所詮は人の身に過ぎぬ!!」
「させるかよ!」
ノイズを呼び出そうとしたフィーネであったが床を踏み砕いた弦十朗がその際に舞った破片をソロモンの杖めがけて蹴り飛ばされることでノイズを呼び出す前にソロモンの杖が手から離れると宙を舞い天井に突き刺さるとその隙を突き殴りかかってくる弦十朗が目に入る。
「弦十朗くん!」
「っ!」
だがしかし弦十朗の拳は振るわれる事はなかった。了子の声色で名を呼ばれた事で躊躇ってしまい逆にその身を鞭が貫くと肉を抉るように引き抜かれることで血を溢れさせながら倒れ伏す。
「相変わらず。甘い男だ・・・。」
倒れ伏した弦十朗から通信機を奪い取ったフィーネはアビスへと向かっていった。
「司令!」
「弦十朗さん!」
駆け寄ってきた緒川と未来は弦十朗が息をしていることを確認する。
「・・・甘いな俺は。」
「直ぐにメディカルルームに!」
「司令室だ。休んでいられん!」
「了解しました。」
渋々といった様子であるが緒川は弦十朗に肩を貸すと未来に着いてくるように言い司令室へと向かっていった。
◎
カタカタと揺れるデュランダルを見ながらフィーネはコンソールを呼び出しカディンギルの起動に必要なコードを打ち込んでいく。
「やはり立花響に呼ばれていたか。本当に末恐ろしい娘だ。」
遠隔地での完全聖遺物を呼び寄せるその力に僅かに戦慄を覚えながらもコードを打ち終えたフィーネはこれから来るであろうシンフォギア装者達を出迎えるために地上へと向かっていく。
「だが、貴様の剣は天使の炉心となったぞ。」
地の底にて悠久の彼方より目覚めた天使の哄笑がアビスに木霊し始めた。
◎
赤い月が見下ろすなか響、翼、クリスは壊滅したリディアンへと到着する。
「未来ー!みんなー!」
誰か居ないかを探す響であったがボールのような物を踏んだことで下を見るとそこには大破したプルーマの下敷きになっている死体があった。
「惨い!」
そして辺りを見渡すと同じような光景が辺り一面に広がっている。
「同じだ、此処はあそこと同じになっちまってる・・・。」
もう二度と見たくなかった地獄をクリスが再び見る。
やがて歩を進めて行くと翼が半壊した校舎の上に人影を見つける。
「あれは・・・櫻井女史?」
リディアンの校舎の上に立つ人物は紛れもなく櫻井了子その人であった。
「違う。あれはフィーネだ!あたしが決着をつけなきゃなんねぇクソッタレの!フィーネだ!」
三人の視線が向かう中了子は束ねていた髪をほどくと笑い始めるとその身が光に包まれネフシュタンの鎧を着たフィーネへと変わる。
「了子さんがフィーネに!」
「笑いを堪えるのが大変だったよ。私を歪みと言い放った貴様が私に対して一切の警戒を持たないのだからな。」
すっかり信じていた相手が黒幕だったことに動揺する響の横で翼が声を張り上げる。
「貴様、本物の櫻井女史を何処にやった!」
「死んださ。十二年前に風鳴翼他ならぬ貴様の手で!いや語弊があったな貴様の歌によって発生するアウフヴァッヘン波形により目覚めた私が精神を食い潰したのだったか。」
「私が、櫻井女史を?」
気分が良いのかフィーネは自身が目覚めた仕組みを丁寧に説明し始める。
「リインカーネション。超先史文明期の巫女フィーネは己が意思を遺伝子に刻印することで自らの血を引くことがアウフヴァッヘン波形に触れたときフィーネとして目覚めるように仕掛けを施したのだ。」
「まるで・・・まるで過去から蘇る亡霊!」
「戯れ言だな死さえ克服できぬ者の。」
拳を震わせながら響がフィーネに問いかける。
「なんの為に・・・なんの為にこんなことを!」
「愚問!全てはカディンギルの為だ!」
「まさか、二年前の奏の死も!」
「あたしを拾ったりアメリカの奴らと繋がってのも!」
当然というかの如くフィーネは言う。
「そう、全てはカディンギルの為に過ぎない。天羽奏の死など予定調和に過ぎない。どのみちリンカーにより寿命が僅かだというのは貴様も気づいておったのだろう?」
「貴様っ!」
憤る翼であったが鳴動し始めた大地に気をそらされる。
「遂にこのときが来たのだ。どれだけの時を待ったか。さぁ屹立せよカディンギル!」
笑い始めたフィーネの背後から巨大な塔がカディンギルの名の示す通りに天を衝く偉容を表す。
「こんな物で世界が一つになるのかよ!」
「なるとも!今宵の月を穿つことによってな!」
遠くを見つめ始めたフィーネが言葉を続ける。
「あの日あのお方と並び立ちたかった私はかつて天を衝く塔を築かんとした。だがそれはあのお方の怒りに触れてしまったのだ。怒りに触れてしまった事により人類は意思を躱すための言の葉と文明を天より遣わされた蝶によりその全てを奪われた。」
そして月を見上げ睨み付けたフィーネは叫ぶ。
「何故私が月を穿つかを教えてやろう!それは月こそが人類の相互理解を阻む呪い。バラルの呪詛の源だからだ!」
フィーネの脳裏にかつて全てを薙ぎ払い月へと羽ばたいていった虹色の蝶の姿がフラッシュバックする。
「月光蝶・・・。」
「今はそう言うのだったな。そう人類は遺伝子に刻まれた恐怖を忘れることはしなかったのだからな。」
不気味な笑い声のような駆動音を響かせ頂上が光り始めたカディンギルを見て響はフィーネを見つめる。
「貴女を止める。月を壊した影響でどれだけの人が死ぬか分からない!」
「なに、呪詛が解かれた後の人類は聖遺物の力を振う私の元に集う。」
「それはてめぇが世界を支配するって事じゃねぇか!安い!安さが爆発しすぎている!」
月下の元響達は同時に聖詠を歌う。
「Balwisyall nescell gungnir tron.」
「Imyuteus amenohabakiri tron.」
「Killter Ichaival tron.」
シンフォギアを纏った三人を見てフィーネは嘲笑する。
「今更玩具で何ができる。」
「できる!かつて私を救ってくれた
「忌まわしい名だ!!」
GN粒子を放つ響の拳とフィーネの振るう鞭が激突した。
タイトルについて
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今の方が良い