機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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貴女の歌が聞こえる

 粒子が舞う中で鞭を弾き飛ばした響がフィーネに迫り蹴りを放つが同じく蹴りで相殺される。

剣を振るう翼は有機的な動きをする鞭と切り結んでいながら時折響とフィーネの格闘戦の合間に小刀を投擲しフィーネに対し影縫いを行おうとするが察知されているのか不発に終る。

 

「強いっ!」

「積み重ねた想いが違うのだ!」

 

防御の上から蹴り飛ばされた響を翼が鞭を弾くと受け止める。

 

「立花!」

「大丈夫です!このくらいへいきへっちゃらです!」

 

血混じりの唾を吐き捨てながらそう言う響に翼は刀を渡す。

 

「使えるでしょう?」

「借りますね翼さんの力。」

 

受け取った刀に粒子を纏わせた響が翼と共にフィーネに斬りかかる。

 

「ずぶの素人が!」

「一通りの型は師匠から教えて貰いましたよ了子さん!」

「私はフィーネだ!」

 

同時に斬りかかられることでクリスの事が頭から抜けていたフィーネ目がけて頭上から多弾ミサイルが降り注ぐのを見た翼が振るっていた刀をフィーネの影に突き刺し影縫いを行い動きを止めると響と共に後ろに下がる。

 

「あれくらいでフィーネがやられる筈がねぇ。」

「うん、プレッシャーが一切衰えてない。」

「おい、あたしがカディンギルをぶっ壊す。その間フィーネを止めてろ。」

「貴女何を言って。」

 

言うだけ言うとクリスはミサイルを出すとそれに乗り込み空へと上がっていく。

 

「クリスちゃん!」

「あたしの命は安かない!お前等はフィーネを足止めしてろ!」

「雪音に賭けるぞ!立花!」

「っ!はい!」

 

ミサイルの直撃により欠けた身体を再生させているフィーネがクリスに向かって鞭を放とうとするが響がぶん投げた刀によって鞭が切断されることで防がれる。

 

「邪魔はさせない!」

「煩わしい!」

 

カディンギルの真上でホバリングしフォニックゲインを高めながらツインバスターライフルのようなアームドギアでカディンギルを狙うクリスを響と翼の相手をしながらもフィーネが睨み付けながら叫ぶ。

 

「足掻いたところで無駄だ!もはやカディンギルの荷電粒子砲は止められん!」

「ならばわざわざ教える必要はないはず。フィーネ、貴女は雪音がカディンギルを破壊するに十分な力を持っていることを確信している!」

「知った風な口を!」

 

クリスの周囲をフォニックゲインを反射増幅させるためのリフレクターが展開し高まったフォニックゲインが虹のように輝き始める。

 

「あの光っ!人の身で!?」

「フォニックゲイン圧縮装填・・・。」

 

そして遂にカディンギルより荷電粒子砲が放たれる。

 

「狙い撃つ・・・。あたしがこのどうしようもない絶望を!!人が死ぬのはもうたくさんだ!!!」

 

月へと放たれた荷電粒子砲をクリスはツインバスターライフルの引き金を引くことで押し留める。

 

「一点・・・収束・・・!!」

 

アームドギアに罅が入り崩れ落ちていくのを構わずクリスは照射を続ける。

 

「逸れろぉ!!!」

 

直後アームドギアが砕け散りクリスが荷電粒子砲に飲み込まれるが願いが通ったのか荷電粒子砲は月を掠めその一部を砕くのみに留まる。

 

「逸らされた!?」

 

不完全ながらも本当に月の破壊が防がれたことにフィーネは驚愕するが直ぐに気を取り直すと響と翼の頭部を掴み互いに叩きつけ地面に叩きつけるとカディンギル上空で輝くリフレクターの光を目にすると叫ぶ。

 

「だが無駄だ!第二射はもうじき放たれる!たったの一発しか放てぬ欠陥と侮ったか!」

「二射目!?」

 

言葉通り再び放電を開始したカディンギルを見て響が声を上げた直後であった。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl――」

「絶唱!?やめなさい雪音!あれだけの威力の砲撃を受けてそれを歌ってしまったら!」

 

制止をかける翼であったがクリスは歌い続ける。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl.」

(あたしはずっとパパとママが好きだった。だから私は二人の夢を受け継ぐんだ・・・。)

 

一つの巨大な筒のようなアームドギアが形成され装填された杭を放つために筒が鳴動を開始する。

 

「あたしの歌は壊すことしかできないと思ってた!だけどあいつはあたしの歌で救われる誰かが居ると言ってくれた!ならあたしは誰かを救う為に歌う!!」

 

そして杭が放たれると今だチャージ中のカディンギルを頂上から破壊していくとその最奥にて笑う天使を打ち貫き地の底に縫い止める。

 

「カディンギルが!私の想いが!!」

 

力尽き地に落ちていくクリスから起き上がった二人に目線を戻したフィーネが瞳孔が開ききった目で睨み付けながらハロと同程度の大きさの光球を次々と出現させる。

 

「なぜ阻む・・・。私はただあのお方にただ想いを告げたいだけであるというのに!!」

「想いを告げる結構。だがその過程で失われる億を超える命を見過ごすことなどできはしない!!!」

「人の世で生きることを諦めた剣風情が・・・。」

 

無数の光球が翼に襲い掛かりその身を天へと躍らせると抵抗する隙も与えずにギアの装甲を砕くと崩壊したカディンギルの内部へと放逐する。

 

「翼さん!」

「後は貴様だ。」

「了子さん・・・。」

「もはや名などどうでも良い。」

 

フィーネがみぞおちにめがけ蹴りを放つが響はそれを受け止め曲がらない方向に思いっきり曲げる。

 

「今更その程度の痛みでこの憎しみ止められぬものか!!」

「嘘だったって言うんですか!今までの二課のみんなと過ごした日々が!」

「ああそうだ!全ては月を穿つための虚言!だが悲しいなそれも貴様達によって阻まれた。」

 

足を再生したフィーネが脚部の鎧を変形させ蛇の頭部のようにすると響に噛みつく。

 

「故に貴様等の命を持って償って貰おうか!!とくに立花響、貴様は邪魔だ!世界を統べる新霊長は私のみで十分だ!」

「私に、世界をどうこうする気なんてはなっからないです!!」

 

鎧を砕き輝く拳を振るう響とフィーネの放つ光球が激突し辺りを閃光が包んだ。

 

 

 

 

 

 

 電力が使えず暗闇に包まれるシェルター内であったが轟音と共に激しい揺れに襲われた直後に非常電源が作動しシェルター内に非常灯が点灯する。

 

「電気が生き返った。なら!」

 

司令室からシェルターに移動してきていた藤尭を含む弦十朗達が使用可能になったノートパソコンを使い外の光景をなんとか知ろうとする藤尭を見る。

そして遂に外の光景が画面に映し出される。

 

「響!」

 

光球を対処しながらフィーネと一人で戦う響が映し出された事で未来が思わず声をあげる。

 

「天羽々斬、イチイバル。共に反応が確認できません・・・!」

「翼、クリス君・・・!」

 

画面の中では装甲を砕かれ満身創痍となりながらも立ち上がり拳を握りしめ立ち上がる響をフィーネが蹴り飛ばしていた。

 

「なにもできないの?私は唯見てるだけしか・・・。」

『できるさ。』

 

聞こえてきた電子音声に全員の視線がそちらに向かうとそこにはハロが居た。

ハロは屈することなく立ち向かう響が映る画面の横に来ると続ける。

 

『だって響はまだ歌ってる。諦めて無いって事だ。』

「君は奏・・・なのか?」

『違う。あたしは唯のELダイバーさ。今はただハロの身体を借りてこっちに来てるだけ。力になりたいなら歌うんだ。』

「歌ったらガンダムのお姉ちゃんを助けられるの?」

 

シェルターの中に居た少女がハロにそう問いかける。

 

『ああ助けられるさ。なんせ私は響の歌の中で産まれたんだ。歌には力があるんだ。』

「なら歌おうよ。私はビッキーの力になりたい。」

「此処はアニメじゃないのよ。でもアニメ的に言うなら私たちの歌が響の力になるのよね。」

「歌で友達を助けるナイスです。」

 

歌えというハロに未来は言う。

 

「でも私たちの声をどうやって響に。」

『今はただ歌えば良い。それが響に不可能を可能に変える力を与えるんだ。』

 

なお歌えというハロはリディアン校歌の伴奏を流し始めた。

 

 

 

 

 

 

 ボロボロになりながらも立ち上がり続ける響にフィーネが問う。

 

「何故立ち続ける!?風鳴翼も雪音クリスもとうに果てたというのだぞ!?」

「翼さんもクリスちゃんも死んでなんか居ない。」

 

装甲が砕かれ血を流しながらも決して折れぬ意思で立ち続ける響は言う。

 

「クリスちゃんは自分の命は安く無いって言った、翼さんはあの程度の事で折れる人じゃない。だから私が此処で倒れるわけにはいかない!!」

 

アームユニットから放たれるGN粒子が勢いを増すと共に大気中に存在するGN粒子が集まってくる。

 

「そして聞こえるんだ・・・。」

「聞こえるだと?一体何が――。」

 

極度に集まったGN粒子によって地下のシェルターで歌う未来達の歌声が響き始める。

 

『仰ぎ見よ太陽を よろずの愛を学べ』

「なんだこれは、なんだこの煩わしい歌は・・・。歌だと!?」

 

胸に手を当てる響が呟く。

 

「聞こえる未来の、みんなの声が。みんなが居るだから私は戦える。」

 

可視化されるレベルでフォニックゲインが高まっていく。

 

「なんなのだ!お前が使うその力はなんだ!それは私が作ったものか!?」

 

響がフォニックゲインとGN粒子に包まれていく。

 

「お前は一体何だ!?」

「私が、私たちが!ガンダムだ!そして私達が使うこの力は了子さん貴女が作った!」

 

三本の光の柱が立ちのぼる。

 

「シンフォギアァアァァァァアアアァアアアア!!!!!!」

 

GN粒子を放つ白が基調となったギアを纏った三人が翼をはためかせ空を舞う。

 

「高濃度のフォニックゲイン。これは二年前の意趣返しか。」

『んなこたどうでも良いんだよ!後はフィーネお前をぶん殴るだけだ!』

「念話までも。」

 

冷静にそう分析するフィーネに翼が問いかける。

 

『世界に蔓延り今だ尽きぬノイズの災禍も櫻井女史、貴女が原因なのか!』

「おかしなことを聞く!」

 

ソロモンの杖を掲げながらフィーネは言う。

 

「ノイズとはかつて月光蝶により全てを奪われた人類が生み出した生物兵器!」

『人が、人を殺すために・・・。』

 

輝きを放つソロモンの杖から無尽蔵のノイズが解き放たれていく。

 

「月光蝶を恐れた人類は別位相にノイズの生産プラントを設置したのだ。それこそがバビロニアの宝物庫!その扉は今だ開け放たれたままなのだからな!故にノイズはこちらに滲み出る!私は唯その頻度を加速させていたに過ぎない!」

 

大地が空がノイズで覆われていく。

 

「さらに人はノイズだけに飽き足らず月光蝶の後に残されたある物を使用したのだ。それがこれだ!」

 

フィーネはそう言うと自信の腹にソロモンの杖を突き刺すとネフシュタンの鎧の特性を利用しその身と一体化させる。

 

「虹の彼方より目覚めの時だ!起きろ天使よ!」

 

解き放たれたノイズがフィーネへと収束していく。

 

「ノイズに取り込まれてる!?」

「違うアイツがノイズを取り込んでやがる!」

 

肉の柱が三人に向けて聳え立つ。

 

「くっ!面妖な!」

『我が身と共になるが良い!!』

 

そして大地が砕け巨大な何かが飛び出すと柱がそれに吸収されていく。

 

「あれは!」

「モビルアーマーか。」

 

赤い龍のようなモビルアーマーが大地を踏みしめると頭部の砲門を開くとビームを放つ。

 

「うぐぅ!」

(これって!)

 

防御を取りなんとか受け流した響はビームに使われたエネルギーが何かを察する。

 

「無事か立花!」

「はい、翼さん。あれ勝てないことはありません!」

「どうするってんだよ。」

 

問うてくるクリスに響が言う。

 

「きっとあれのエネルギーを賄っているのはデュランダルなんだ。だったらそれを奪えば勝ち目はある。」

「方法はあるのか?」

「次ビームを撃ってきたときにそれを利用してデュランダルを引きずり出します!」

「やれんだろうな?」

「大丈夫だよクリスちゃん。私を信じて。」

「良いぜ、信じてやる。」

 

モビルアーマーが背部ユニットから飛行型プルーマを排出させ始める。

 

『墜ちろガンダム!!!』

 

無数のモノアイが三人を見つめると襲い掛かった。

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