機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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宇宙に歌う

 襲い掛かるプルーマであったが限定解除を果たしたシンフォギアの前には無力であり蚊トンボの如く撃墜されていく。

 

「今更プルーマ如き!」

「空を飛んだところで意味はない!」

『限定解除されたところで所詮は玩具!』

 

テールブレードを振るうモビルアーマー・ベイバロンであったが空を縦横無尽に舞う三人を捕らえきる事ができずに空振りに終る。

そこにプルーマを足場に加速をつけた響の蹴りが炸裂しナノラミネートアーマーの防御を超える威力が叩き込まれ装甲に罅が入る。

 

『羽虫が!』

 

周りを飛び回装者達が煩わしいのかベイバロンは頭部の砲門からビームを放つ。

 

「来た!!流派東方不敗の名の下にぃ!石破天驚拳!!」

 

放たれたそれを響は石破天驚拳で受け止めるとエネルギーの発生源であるデュランダルへと無理矢理に接続すると引きずり出そうとする。

 

「うぉおぉおおおおお!!!」

『貴様!!!』

 

だがデュランダルの莫大なエネルギーと共にフィーネの感情がGN粒子に作用し雪崩の如く流れ込んでくる。

 

「ぅぐ・・・!」

(これは了子さんの悲しみ!あの人はずっと泣いている!!)

 

フィーネの悲しみに引っ張られ逆に持って行かれそうになった響を翼とクリスが支える。

 

「自分を保て立花!お前はお前だ!」

「お前を信じるって言ったあたしに嘘をつかせないでくれ!」

 

さらにエイハブウェーブの影響でノートパソコンが停止した事で外の様子が分からなくなった二課の面々が現われると声をあげる。

 

「勝機を零すな掴み取れ!踏ん張りどころだ!」

「思いと強さを持つ貴女達なら!」

 

弦十朗と緒川に続き様々な声援が送られる中一人の声が響の胸に木霊する。

 

「ひびきぃぃぃぃいぃいいい!!!」

 

自身の名を呼ぶ未来の声に応えるかのように響は流れ込む悲しみをも受け入れる。

 

(この悲しみが了子さんを歪ませてしまったのなら!私は了子さんを救いたい!)

 

黄金の輝きが空を照らす。

 

『お前達の成すべきと思ったことをなせ。俺はお前達をガンダムだと、そう肯定しよう。』

「私達がぁ!ガンダムだぁぁあぁあああ!!!」

 

黄、青、赤の光が立ちのぼるとプルーマを取り込んでいきそして光の中から金色のGN粒子を纏うガンダムエクシアシンクロゲイザーが現われる。

 

『ガンダムだと!?』

『ガンダム!目標を救済する!』

『これはギアが変化したのか?』

『理解を超えたとんでもぶち込みやがる。』

 

GNソードを展開したエクシアがデュランダルを奪われ出力が低下したベイバロンのテイルブレードを切断するとすれ違いざまに両腕部を斬り捨てるとプルーマの生産ユニットも兼ねる背部ユニットを破壊すると天高く舞い上がるとGNドライヴの出力をあげると落下の勢いを乗せてベイバロンを斜めに両断する。

 

『どうしたネフシュタン!何故再生しない!?まさかデュランダルか!?』

 

激しい火花をあげるベイバロンからエクシアはコアブロックからフィーネを引きずり出し離脱するとその直後ベイバロンは爆発しカディンギルの麓に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 太陽にエクシアシンクロゲイザーが照らされる中その近くの岩にフィーネを座らせた響にフィーネは自身の背後の二課の面々を見た後に響に言う。

 

「あの時、モビルアーマーと共に斬り殺していれば良かった物を・・・。」

「了子さんを助けたのは私のエゴです。」

「貴様・・・。」

 

力を失いつつあるネフシュタンの鎧が崩れ落ちていくなかフィーネは立ち上がると太陽を見る響の数歩先に行く。

 

「あの時デュランダルに手を伸ばしたとき了子さんは泣いていました。」

「そうさ、私はあのお方が愛したこの地球(ほし)を穢す人類に絶望している。ノイズを人類が創り出したその日から私は人類を見限ったのだ。だから私はただもう一度あのお方に会いたかった!統一言語を取り戻し再び語り合いたかった!!」

「恋さえ知らぬ貴様に私の悲しみの何が分かる!」

「全部は分かりません。だけど私は了子さんをその悲しみから救いたい。」

 

怒髪天を衝くと言う顔で振り返ったフィーネが叫ぶ。

 

「ならば貴様が今すぐに!全人類に統一言語を授けて見せろ!!」

「月を壊せば多くの人が死にます。それはただ悲しみを広げるだけ。失う悲しみを了子さんは知っている筈です!」

「貴様はそう言う奴だ!人類は争いを止め一つにならねばならない!それには痛みが伴うのだ!」

 

鞭を握りしめるフィーネが空に浮かぶ一部が砕けた月を睨み付ける。

 

「故に欠片を落とす!」

 

そして放たれた鞭が月の欠片に突き刺さるとフィーネはそれを地球に全力で引き寄せる。

 

「禍根はこれで断たれる!最早私の邪魔をする者は居なくなる!私はフィーネ!悠久の時の刹那を生きる巫女!聖遺物のアウフヴァッヘンが放たれることで何度だって蘇る!」

 

最後の足掻きを行ったことで崩壊を始めた身体にコツンと拳が当てられる。

 

「やっぱり了子さんならそうしますよね。」

「貴様、分かっていて止めなかったのか?」

「私は人は言葉が通じずともわかり合えるって信じてます。今此処に生きるみんなの想いを未来に伝えることができるのは了子さんだけなんです。だから私が今を守ってきますね。」

 

穏やかな表情でそう言う響にフィーネは動揺する。

 

「貴様、まさか。」

 

最初からその気であった事に気づいたのかフィーネは人の可能性を信じる響に表情を緩める。

 

「本当にしょうがない子・・・。」

 

響の胸に指を当てた了子が言う。

 

「貴女の胸の歌、そしてガンダムを信じなさい。あれは常に未来を切り開いてきた希望よ。」

「はい。」

 

何かに安心しきったかのような表情で了子はネフシュタンの鎧と共に砂となり風に吹かれ消えていった。

 

「軌道計算出ました。このままだと間違い無く直撃です。」

 

藤尭がそう言う中響はエクシアシンクロゲイザーへと歩を進める途中で未来を見る。

 

「大丈夫。ちょっと行ってくるだけだから。だから生きるのを諦めないで。」

「響・・・。うん、私諦めない。」

 

未来の腕の中で目を点滅させるハロを見て頬を緩ませた響がエクシアシンクロゲイザーに乗り込もうとするとクリスが肩を掴む。

 

「一人でヒーロー気取りか?このガンダム馬鹿。」

「挽歌を歌うのが貴女一人では寂しいでしょう?私たちも同行するわ。」

「クリスちゃん、翼さん。そうだね、一緒に行こう。」

 

三人が乗り込んだエクシアシンクロゲイザーが宇宙(そら)へと黄金の粒子を放ちながら飛翔していく。

 

「私、初めてです。宇宙に来たの。」

「馬鹿、あたしら全員初めてだ。」

「見えてきたな。」

 

地球へと向かう月の欠片が見えてくると三人が歌い始めるとエクシアシンクロゲイザーが赤い光を帯びるとGNソードを展開するとGN粒子が濃縮されトランザムライザーソードとなる。

 

「これが私達の!絶唱だぁ!!」

 

月の欠片は砕かれた。

 地上で未来は月の欠片が砕かれた事で流れる星を眺めながら涙を流していた。

 

「私が見たいのは響と一緒に見る流れ星なんだよ・・・。」

 

一際強い光を放つ星が一つ流れていった。

 

 

 

 

 

 

 あれからおよそ一月が経った。ルナアタックと名付けられた一連の事件の後に回収されたガンダムエクシアシンクロゲイザーからは響達は発見されずにその代わりGNドライヴ付近にてデュランダルが発見された。

響達は現在作戦行動中の行方不明扱いとなっていた。

 雨が降りじっとりと湿るその日未来はハロを連れて響の墓参りに来ていた。

 

「此処に響は居ない、だけどこの写真が響が居た証になる。」

『気持ちが大事なんだってな。こういうのは。』

「そうだね、奏さん。」

『やめな、ハロで良いさ。』

 

花を変え墓石を綺麗にして帰ろうとしたとき車のブレーキ音の後に衝突音がした後に悲鳴が響く。

悲鳴が聞こえた場所に駆けつけるとそこにはノイズに襲われている女性が居た。

未来は壁際に追い込まれそうになっている女性の手を取るとノイズが少ない方に向かって走りなんとか包囲を突破する。

 

「生きるのを諦めないで!」

「駄目・・・私、もう・・・。」

 

事故を起こした際に足を痛めたのか女性は倒れてしまう。

 

「私は諦めない!絶対に!」

 

迫るノイズに女性を守るように立ち塞がる未来の前を突風が吹き抜けると共にノイズが炭となる。

 

「ごめん未来。色々決まりがあってさ。なかなか本当の事言えなかったんだ。」

「響!」

 

もう一度会えると思ってなかった響に未来が感極まって抱きつくのを眺めていたハロが共に来ていた翼に抱え上げられる。

 

「さて、貴女の事について教えて貰うわ。」

『ハロー翼。ハロー翼。』

「もう誤魔化されないわ。」

『・・・お手柔らかにな?』

「貴女次第ね。」

 

ノイズの災禍は今だ絶えずとも世界には歌が響いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある日GBNのディメンションの一つであるラドニッツァ・コロニーにてハロことダイバーネームがこの世界に産まれた時にカナデとされていたELダイバーはマスクドフラッグの格好をしてディメンション内を散策していた。

 

「知らない場所。まだたくさんあるな。」

 

カナデは前方に見知った顔を見つけると声をかける。

 

「よぉ!こんなとこで何してんだ姉さん!」

「姉さん?お前は・・・せめて仮面を取れ。」

「なんて言うかこっちの方が落ち着くんだよな。」

 

見知った顔それは彼女にとっては姉のようなものに当たる同じELダイバーのメイであった。

 

「相変わらずの失せ人探しかい?」

「あぁ、運営からの頼みだからなログアウト記録ないままにGBNないで失踪してすでに1週間が経っているらしい。カナデはなにか知らないか?」

「あたしは知らないね。頼まれごと頑張れ。そうだ仕事ばっかじゃ疲れるだろ?今度の翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴのライブどうだ?」

「気が向いたら向かおう。」

「了解。それじゃあたしはウルズハントイベントに参加してくるさ。」

 

このメイの人捜しが後の大きな事件と繋がることになるとはこの時誰も思わなかった。




奏さんじゃなくてカナデは居るんだなぁこれが

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