機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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過去の痕

 二つのガングニールが激突した瞬間響とマリアの顔色が変わり二人は互いから距離をとり仲間達の近くに行く。

 

「どうした立花。何があった。」

「いえ、何でもないです・・・。」

 

顔を手で押さえるマリアが響を見る。

 

「貴女は・・・。」

「マリア、どうしたの?」

「なんでもないわ調。」

 

自身を見るマリアを見つめ返すと響は一歩踏み出す。

 

「やめようこんな事。私たちは話せばわかり合える。」

「勝手に入り込んで何がわかり合える!・・・それは私もか。」

「どうしても戦わないといけないんですか!」

「どうしてもだ!」

 

戦いたくない話せば分かるそう言う響の言葉に調は憤る。

 

「綺麗事を!痛みも!苦しみも知らない貴女みたいな偽善者に!」

(調、その子は・・・。)

 

それを聞いたマリアが僅かに眉をひそめる中響は毅然と言い返す。

 

「例え私の行いが偽善だとしても!私は義をなす!私は私の道理を行く!」

「詭弁!虫唾が走る!だから、そんな世界は切り刻んであげましょう♪」

 

流れるように歌い出し丸鋸を射出しながら迫る調を響は丸鋸を殴り飛ばしながら迎え撃つ。

 

「話せば分かるそう言いながら貴女は拳を振るう!」

「悲劇は、繰り返しちゃいけないんだ。」

 

目を伏せたマリアはマントを翻すと翼に歩んでいく。

 

「さ、私たちも踊りましょうか?」

「演目はいかにする?」

「そうね。ワルツなんかどう?終わりなきワルツを!」

 

刀を振るいマリアへと斬撃を放つ翼であったがその全てが寸前で躱されるかマントによって防がれるうえに奇襲じみた脚撃も躱される。

 

(考えが読まれているとでも言うの!?)

(恐ろしいな最初のシンフォギア装者、風鳴翼!見えてなお私が速さに圧倒されつつある!)

 

密かに翼が作りだした小刀が影に刺さる寸前でマリアがそれを翼に蹴り返す。

 

「マナーがなってないわね。」

(っ!私の何を、何処を見ている!?)

「焦らないの、貴女は十分に強いわ。」

「馬鹿にして!」

 

そして余ったクリスと切歌は必然的に戦闘に入っていた。

 

「なんデスこいつ!?殺意高すぎじゃないデスか!?」

「出しやがれゲイリーの奴を!」

「どちら様デスか!」

「とぼけんなぁ!」

 

的確に身体の弱点を狙って撃って来るクリスに切歌は世界を相手取る覚悟を決めてはいたものの初手から濃厚すぎる怒気を叩きつけられ若干後悔していた。

 

(とんだ貧乏クジデス!)

「ふんわり考え事たぁ!ふざけたまねを!」

「近づきゃ撃てないデス!」

 

鎌を振るいクリスに肉迫した切歌であったが即座に銃を捨てたクリスの掌底をくらいそうになると慌てて回避する。

 

「近接もいけるあたし様なんだよ。」

「やっべぇデスよこいつぅ!」

「簀巻きにされたくなきゃキリキリ吐きな!」

「だから誰デスか!そいつ!」

 

ガンカタでもって切歌と戦うクリスの動きは皮肉にもゲイリーとほとんど同一の物であった。

 

「あたしは!身構えてても来るタイプデース!!」

「だったらやって見せろよ!!」

 

鎌を寸前で躱したクリスの正拳が切歌の鳩尾に叩き込まれる。

 

「これしきぃ!」

「なに!?」

 

だがしかし痛みに耐えた切歌の回し蹴りがクリスの側頭部に炸裂する。

 

「くそ、揺れたっ!」

「っ!骨逝ったデスよ・・・。」

 

三者三様の戦場の中でマリアに再び通信が入る。

 

『マリア、このままでは目的を達成できません奥の手を使います。』

「OK、マム。」

 

マリアが返答を返した瞬間ライブ会場の中心から君の悪いノイズが現われるとマリアはそれを槍のアームドギアで攻撃を与える。

 

「自らで呼び出したノイズを?」

「これは分裂増殖型。刺激を与えたらなら最後、再現増え続けるわ。そう言えば会場の外にはまだオーディエンスが居るかもしれないわね。調!切歌!」

「分かった。」

「了解デス!」

 

急速な勢いで増え始めたノイズを尻目にマリア達は撤退していく。

 

「待ちやがれ!」

「雪音!今はこのノイズが優先だ!」

「っ!ああクソ!」

 

苛立つクリスの手を響が掴む。

 

「クリスちゃん、その感情に呑まれちゃ駄目だ。」

「お前・・・。悪い、らしくなかった。」

「うん。大丈夫そうかな?」

「お節介だ。」

「それが私だよ。」

「・・・お前本当の馬鹿。」

 

落ち着いたクリスを見た響が翼に手を伸ばす。

 

「絶唱。歌いましょうこの日の為のコンビネーション。やれます私たちなら。」

「ああ、やれるとも。」

 

手を繋いだ三人が気持ちを落ち着け静かに歌い出す。

 

「「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl―」」」

 

虹の輝きを帯びたGN粒子が舞い上がり心が繋がった三人によって場のフォニックゲインが爆発的に高まり風が吹き荒れる。

 

「「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl.」」」

 

高まり続けるフォニックゲインによりノイズの肉が消し飛び本体である骨格が晒される。

 

「スパーブソング!」

「コンビネーションアーツ!」

「S2CA!!!トライバースト!!!」

 

S2CAトライバースト、それは先のルナアタックにて発生した三人同時の絶唱を再現しいわゆる必殺技に落とし込んだものである。ただし、その欠点として負荷が全て響へと収束するというデメリットを持つ。

 

「うぅぅううおおおぉおお!!!」

「堪えろ立花!」

「お前が要だ!」

 

虹が響へと収束していくと響の装甲がユニコーンガンダムがデストロイモードに変身するかの如く変形する。

 

「行きます!」

 

ノイズへと響が跳躍し殴りかかる。

 

「これが私たちの!絶唱!!!」

 

拳がノイズを砕く瞬間響の中に押さえ込まれていたフォニックゲインが虹の竜巻として天高くそびえ立った。

現状の一番の脅威と見なされたノイズが撃破されノイズが居た場所にギアを解除した響が手のひらを見つめながら立ち尽くす。

 

「おい!どうしたどっか痛むのか!?まさか、絶唱の負荷処理しきれなかったのか!?」

「ううん、違うんだ。」

「ならば何だというのだ立花。」

 

一部が砕けた月を見上げながら響がぽつりと言う。

 

「マリアさんは、本当に悪人なんでしょうか。拳を交えた私にはそう思えないんです。」

「立花・・・。一体何を見た。」

「言えません。きっと言ってはいけない事なんです。」

「そうか、だが私もマリアの行動にはズレを感じた。」

「ぶっ飛ばしてひっ捕まえりゃわかんじゃないのか?」

「だと良いのだけれど。」

 

月下の元ライブ会場の暗がりで白衣をなびかせる何者かに誰も気がつかなかった。

 虹の竜巻を見届けたマリアは目標が達成した事を聞くと安堵の息をつく。

 

「綺麗・・・。」

「そうね、だけれど私たちの相手は相応の化け物と言うことよ。」

「やっべぇデスよあいつ。死ぬかと思ったデス!」

 

殴られた部分をさすりながらそう言う切歌が続ける。

 

「そもそも誰デスかゲイリーって。」

 

その疑問に答えるように近くの影からゲイリーが現われる。

 

「俺だよ。」

「それ以上近づかないで、首落とすわよ?」

「おいおい、俺はお前達の護衛として英雄博士に雇われたんだぜ?それになお嬢ちゃんできもしないことは言わない方が良いと思うぜ?」

「そうご忠告どうも。」

 

月明かりに照らされながらマリアは思う。

 

(私はセレナが愛したこの世界を守るために戦う。だが、立花響お前は何故人を、世界を守る?あれほどの事がありながら。貴女はなぜまだ人を愛して居られるの?)

 

二振りのガングニールの邂逅そして激突はガングニールの装者である響とマリアの両名に赤い糸を結んでいった。

 

 

 

 

 

 

 蕎麦をすすりながらマリア達について言及する斯波田事務次官と弦十朗がモニターを介してその言葉を聞く。

 

『全世界に向けての領土割譲要求たぁ。奴さん国でも作る気かねぇ。さしずめアイドル大統領かい。』

「だが俺には領土割譲要求は自分達に注目を集めるためのパフォーマンスにしか見えません。」

 

そこだと言いながら斯波田は蕎麦をすすると先ほど入手した情報を二課のモニターに映す。

 

『これは先日の米国の聖遺物研究機関だ。なんと一部の研究者達が反乱を起こして聖遺物も山ほど持って行ったらしい。』

「つまりそいつらが私設武装組織フィーネ。」

『そう言うことだ。さっきお前さんが言ってたように奴らにはまだ何か大きな狙いがあるはずよ。』

「いずれ知ることになる真実か・・・。」

『アイドル大統領が言ってた事か。こっちでも調べ始めちゃいるがな。』

「えぇ、俺達の方でも調査を始めましたがいかんせん手がかりがない現状では。」

『だな、何か分かったら双方共に連絡だ。』

「勿論です。」

 

通信が切れた瞬間はモニターに映る私設武装組織フィーネのロゴを見る。

 

「また厄介なことになったな。・・・これも君の意思なのか了子君。」

 

 

 

 

 

 

 あれから数日後GBN内のバーエリアにてヒビキとフェレットみたいな人ロンメルが並んで座っていた。

 

「やはり私のフォースに戻ってくる気はないのかい?」

「そうですね、ロンメルさんには恩があります。だけど今は一緒にやりたい人達がいるんです。」

 

からんと氷が鳴る。

 

「そうか、あの君が。」

「あの頃は、色々ありましたから・・・。」

「なに、随分明るくなった。いや本来の君に戻ったと言うべきかな?」

「ロンメルさんにみんな、それに親友のおかげです。」

 

ロンメルの尻尾が揺れる。

 

「嬉しい事を言ってくれる。これだけは覚えていてくれたまえ例えフォースを抜けたとしても私たちは君の友だと。」

「良いんですかね。あの時私勝手にやり過ぎたと思うんです。」

 

思い出されるのは第二次有志連合戦の事、ヒビキは生きるのを諦めたくないと叫ぶサラの味方となるためビルドダイバーズに加勢したのだ。

 

「君は君の好きの為に戦った。それだけのことだ。」

「ありがとうございます。」

 

注文していたジンジャーエールを飲んだヒビキがバーから退店する。

それからしばらくしてウィスキーを飲むロンメルが誰かに向けて言う。

 

「君はどうするのかね?」

「俺には、あの子に合わせる顔なんてないですよ。」

 

そう言ってログアウトしていったダイバーをロンメルはウィスキー片手に見ていた。

 

「似ているところは本当にそっくりだな。」

 

ウィスキーを飲み干したロンメルはこれから行われるフォースバトルに向かっていった。

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