機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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再誕

 天高く馬肥ゆる秋、非日常たるノイズ関連の出来事とは切り離された日常であるリディアンでの学校生活において響は授業中にも関わらず窓から覗く青空を見上げていた。

自らと同じくガングニールを纏ったシンフォギア装者であるマリア。彼女と拳をぶつけたあの瞬間に垣間見た恐らくは彼女が全世界と戦う覚悟を決めることになった光景。それを響はあの日以降に必ずと言って良いほど夢に見ていた。

 

(マリアさんは私と同じガングニールを纏うシンフォギア装者(ガンダムマイスター)。ガングニールが選ぶって事はきっと奏さんみたいに誰かのために戦える人。そんな人がどうしてあんな事を。)

 

夢の中の響は燃え盛る研究所らしき場所で毎回同じ視点から同じ悲劇を唯眺めていることしかできない。繰り返し見る中で知れた事それはマリアの目の前で散った少女がセレナと言う名であることであった。

 

(でもマリアさんが戦う理由はきっとあの子為だって事は分かる。)

「響・・・!響・・・!」

端から見ればボーッとしている響に隣の未来が考え事から戻ってくるように声をかけるが思考の海に沈む響には悲しいかな声が届かない。

 

「立花さん、何か悩み事ですか?」

「先生・・・そうなんです。こんな私でも悩みがあるんです。」

 

教師はその言葉をにこやかな笑顔で聞き届けると手に持っていた教科書をパタンと閉じる。

 

「秋ですものね。立花さんにも大きな悩みありますよね。例えば私の授業よりも大切な。」

「授業?・・・あ!?」

「授業中であることすらも忘れていたと。立花さん、貴女という子はいつもいつも。」

「待ってください。これには海よりも深くて宇宙よりも広い悩みがですね?」

「たぁちばなさぁん!!!」

「うひえぇ!!」

 

晴天に雷が落ちた。

 

「馬鹿・・・。」

 

いつもの事に未来は呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 私設武装組織フィーネが現時点での拠点としている廃病院を改造したもののシャワールームで調と切歌がシャワーを浴びていた。

 

「それでデスね!なんとキャプテンが相手していたザクレロからザバーっと出てきたんデスよ!」

 

キャプテンジオンが動画の中で相手どっていたザクレロについて熱く語っていた切歌であったが様子がおかしい調を見るとザクレロについて語るをやめる。

 

「アイツの事デスか?」

「っ!」

『私は私の道理を行く!』

「私は、何も背負っていないくせにあんな奴が世界を救った英雄だなんて認められない!」

 

思わず壁を殴った調であったがその手を切歌が包む。

 

「例え今あたし達がやってることが悪いことでも、それをやらなきゃいけないからあたし達はやってるデス。」

「切ちゃん。」

「そうね。私たちは自分達の掲げる正義とよろしくやっていくしかないのよ。例え、あの子達にどれだけの過去がどれほどの思いを受け継いでいようと。私たちは私たちの正義をなさなければならない。」

 

何かをこらえるようにそう言いシャワーを浴び始めたマリアを調と切歌は不思議そうに見る。

 

「マリアはアイツが何かを背負ってるって言うの?」

「例えそうでも私たちはやらなければならないわ。」

 

やはりあのライブ会場で何かがあったのだと思った調が何かを言おうとしたとき警報がけたたましくなった。

 隔壁を閉じる作業をしながら組織の司令塔でもあるナスターシャは聖遺物を喰らい成長する生きる完全聖遺物であるネフィリムをモニター越しに見つめる。

 

(天から落ちたる巨人ネフィリム。やはりこれは人の身に余る。)

「だなんて思わないでくださいよ。例え人の身に余っても英雄にはふさわしいのですから。」

「ドクター。」

 

考えを読みそう言いながら現われたウェルにナスターシャが振り向くとウェルの横にいたゲイリーがモニターに映るネフィリムを見る。

 

「こいつが例の奴か大将。」

「ええ、あれこそがネフィリム。先史の時代自律型機動兵器の生体CPUとされていた物です。」

「なるほどな、後はこいつの入れ物か。当てはあんのか?」

「えぇ、計画が順調であれば入れ物の方からやって来ますよ。」

 

ナスターシャが瞳をギラつかせるゲイリーから視線を逸らすとマリア達がやって来る。

 

「マム!」

「心配してくれたのですか。でも大丈夫です。お腹をすかせたネフィリムが暴れただけですから。食事を与えた今はもう大丈夫です。」

「そろそろ視察の時間ではないですか?」

 

時間を確認したウェルがそう言う。

 

「そうですね。そろそろフロンティアの座標を確認しなければなりません。護衛に調と切歌を残しましょう。」

「問題ありません。英雄たるもの武にも通じているものです。ゲイリー貴方も行って良いですよ。」

「良いのか?」

「えぇ、支障はありませんから。元々貴方の役目はナスターシャの護衛です。」

「では定刻には戻ります。」

 

残されたウェルは全員の姿が見えなくなるとネフィリムが映るモニターを撫でる。

 

「さて、獲物は餌に掛かるでしょうか。」

 

掛からなければ実験ができずに困るなとウェルはそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 三日後に秋桜祭を控えたリディアンを雪音クリスは走る。

 

(しつこい!何処までも追って来やがる!)

 

何者かに追われるクリスが角を曲がった時荷物を抱えて歩く翼にぶつかる。

 

「校内を走り回って前を見なさい。雪音?」

「先輩!悪い匿ってくれ!追われてるんだ!」

「なに?」

 

ぶつかってきたクリスに注意をしようとしたが追われていると言う尋常じゃない様子のクリスに辺りを警戒し始めるが聞こえてくるのはクリスを探す生徒の声であった。

 

「追われてるって大げさね。」

「本当に追われてるんだ。あいつらあたしには学祭なんてやってる暇なんてないんだ。」

「今の貴女にはそういう日常を楽しむ権利があるわ。でもクラスに馴染めないのならちょっと私を手伝って貰おうかしら。」

「は?」

 

断る暇もなく荷物を拾い集めた翼にクリスは近くの教室に連れ込まれ飾りを作る手伝いをさせ始められた。

 

「まだ、此処にはなれないか?」

「慣れないってよりも分からないんだよな。」

「だが存外楽しそうには見えるがな。」

「言ってろ。」

 

そうして二人で飾りを作っていると三人の生徒が翼をさがしてやって来ると二人に混ざり飾り作りを手伝い始める。

 

「なんだ上手くやってるじゃないか。あたしももうちょっとだけ頑張って見るよ。」

「良い心がけだな。」

 

本人達が思っているよりも周りには思われていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 浜崎病院それは私設武装組織フィーネのアジトであり今そこには二課の装者が勢揃いしていた。

 

『今夜中に決着をつけるぞ!』

『明日も学校があるというのに申し訳ありません。』

「いえ、これも防人たる私たちの務め。問題ありません。」

 

二課からの突入命令を受けた翼が通信を切ると響が暗く不気味な雰囲気を醸し出す入り口を見る。

 

「行こう!」

 

聖詠を歌い三人はギアを纏うと屋内へと入っていく。

 

「拍子抜けするほど何もないな。」

「油断するな雪音。」

「分かってるって。」

 

軽口を叩くクリスに翼が気を引き締めるように言うと響が足を止める。

 

「どうした立花。」

「いえ、何か空気が重くなったような。」

 

何かを感じた響に呼応するようにノイズが現われる。

 

「ノイズ!」

「有るって事だソロモンが!」

「前兆を察したのだろうな!」

 

現われたノイズを撃破していく響であったが他の二人の様子がおかしい事に気がつく。

 

(翼さんとクリスちゃんがノイズを倒しきってない?)

「はぁ!」

 

早くも息切れを始めた二人が倒しきれなかったノイズを響が一息に倒すと通路の奥から何かが飛び掛かってくる。

 

「立花!」

「ぉおおお!!!」

「ちょっせぇ!!」

 

翼からの警告で振り返り様に響が殴り飛ばしクリスがそこに銃撃をたたき込むがそれは炭とならずに平然と着地する。

 

「アームドギアでやったんだぞ!?」

「ネフィリムっ!」

「知ってんのか?」

「いや、えっとぉ。夢で見たと言いますかなんと言いますか。」

「はぁ?」

 

唸るネフィリムの後ろから拍手をしながらウェルが現われる。

 

「ご名答。ルナアタックの英雄は博識であらせられる。それに流石は融合症例アンチリンカーをものともしない。」

「ウェル博士。やっぱり貴方があの時ノイズを。」

「ははは、察しが良いですね。まぁソロモンの杖は英雄たる僕を選んだという事です。そう、デュランダルが君を選んだように。」

「英雄?」

「そう!!!世界を変える力を持つ個!誰からも讃えられる人間!それこそが英雄!それこそが僕!故にソロモンの杖は僕にこそふさわしい!!」

 

ウェルがそう言った直後に放たれた弾丸を躱しながらウェルはネフィリムがケージに戻ったのを確認する。

 

「おお怖い怖い。さすがは彼の肝いりだ。殺すことに躊躇いがない。」

「黙れ!さっさとソロモンの杖を返しやがれ!」

「そうですね。嫌だと、そう言ったら?」

「実力行使だ!」

「わかりやすい。子どもですね。」

 

痛みに呻きながらアームドギアを展開しウェルに攻撃を仕掛けるクリスであったがウェルはそれを涼しい顔で受け流す。

 

(融合症例、恐らく彼女にもアンチリンカーは正確に作用はしている。)

「ぜぁぁあ!!!」

「マリアと違って僕は貴女にさして興味はないのですが。」

「貴様の行いは英雄とはほど遠い!」

「何を言うかと思えば。歴史を作るのは勝者です。つまり貴方たちは僕に撃たれるべき魔物なんですよ!」

「世ではなく自らという個しか考えぬ貴様は決して英雄にはなれない!」

 

ソロモンの杖と刀が火花を散らし鍔迫り合いに陥ると天井を突き破り飛行型ノイズが翼とクリスに降り注ぐ。

 

「翼さん!クリスちゃん!」

(恐らくはアンチリンカーが彼女のガングニールの浸食を治癒している。だとすれば立花響に使うべきは。)

「ルナアタックの英雄を世界救済の英雄たる僕が打ち倒す!これほどの栄誉はない!」

「貴方は!それがどれほどの悲劇を生むか分かってるんですか!」

ソロモンの杖(こんな物)は僕の求める真の力ではないですが。今は必要ですからね。」

「流される!」

「馬鹿正直に当たるわけないでしょう。」

 

布を殴るような感覚に陥るウェルに苦戦する響が空を飛びネフィリムを持って行くノイズを見つける。

 

「翼さん!私とクリスちゃんでウェル博士を抑えます!だからネフィリムを!」

「いけるのか雪音?」

「誰に言ってやがんだ。先輩こそ行けんのか?」

「無論。立花が焦ると言うことは相応の理由があると言うことだ。」

 

負荷の少ないボウガンを構えたクリスがガンカタでもって響と連携をとりウェルを抑えると翼が脚部にスラスターを展開する。

 

(あの時、立花と同じようにGN粒子を私は放っていた。ならばいけぬこともない!)

 

スラスターからGN粒子の崩壊した光子を翼は放つとGN粒子を特性を利用し宙を舞う。

 

「自在には飛べないか!だが!」

 

せめてと斬撃を飛ばしノイズを撃破した直後海中から二課の潜水艦が浮上する。

 

『飛べ翼!足場はある!』

「了解!」

 

船首を踏み台にし飛び上がりネフィリムの入ったケージに翼が手を伸ばした瞬間虚空から飛来した槍に脚部のスラスターを破壊された翼が海中に水没する。

 

「翼さん!」

「来ましたね。」

 

ノイズを壁にし攻撃を防いだウェルが海上に浮かぶ槍にケージを持って立つマリアを見ながら言う。

 

「何故我々の組織が終わりの名を冠するフィーネを名乗るか分かりますか?」

「まさか。」

 

ウェルの言葉にあの日フィーネの言っていた言葉を思い出したクリスが声を漏らす。

 

「そう、リインカーネーション!彼女こそ再誕した新たなフィーネだからですよ!」

「マリアさんが了子さん?」

 

水の柱が立ち上ると海上を刀を構えた翼が滑りながらマリアへと斬りかかる。

 

「甘く見ないで貰おうか!」

「甘くなど見ていない!」

 

マントで斬撃を防がれた翼は潜水艦の上に着地するとケージを空に放りケージを虚空に消したマリアが翼に槍をその手に襲いかかる。

 

「故に全力を出す!」

 

言葉通りかマリアの攻撃は全て命中しているにもかかわらず翼の攻撃はその全てがマントで防がれるか躱される。

 

「マリア、ガングニールに選ばれるだけの強さはあるっ!」

「お褒めにあずかり光栄ね!」

「だがっ!」

 

マリアの攻撃が翼に初めて防がれる。

 

「なに?」

「私は負けられない!」

 

翼の頭の中で種が弾けると瞳から光が消え動きが変わる。

 

「なにが!?」

(読めるのにそれ以上の早さ!防げない!?)

「ソロでは寂しいだろう!私も共に歌わせて貰おうか!」

(この剣!可愛くない!)

 

アンチリンカーによる適合係数の低下に伴なる負荷によるバックファイアを防ぐため装甲をパージした翼がアームドギアのみを振るいマリアと斬り結ぶ。

 

「はぁぁぁあ!!!」

(ギアが重くなって!)

「くぅっ!」

「斬り捨て御免!!!」

「終われるものか!」

 

槍と剣が激突する。

マリアからプレッシャーが放たれる。

 

「これは、光?違う、マリアか!」

「ドクター!ネフィリムは回収した!時間だ!」

 

弾かれた翼が脚部スラスターを再展開し痛む足を無視しながらGN粒子を過剰放出し光の翼を展開するとマリアに大剣を構え突撃する。

 

「逃がすと思ってか!」

「思ってなど!」

 

マントで防ごうとするがGN粒子を纏った大剣によりマントが裂かれる。

 

「なんてデタラメ!だが!」

 

響とクリスから逃れたウェルが虚空に消えたのを確認するとマリアは槍を身代わりに飛び上がり虚空に姿を消した。

 

「逃がしたかっ!」

 

ゾーンを抜け元に戻った翼が膝をつく。

 

「翼さん!大丈夫ですか!?」

「問題はない。敵の戦力は未知数か・・・。」

 

朝日が照らす中装者は先への不安から逃れることができずにいた。

 




しゅわーん!(弾ける種子)

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