機動戦姫ガンダムSG   作:鍋の中の白い奴シラタキ

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自負している!

 翼達により連行された響はリディアンの中央棟へとやって来ていた。

 

「ここって先生達の居る中央棟ですよね?」

 

だがその問の答えが返ってくることがない。

 

『察するに君は軍のMSを無断で使用した一般人と言ったところだ。』

(マジすか。)

 

内なるグラハムと会話する響が翼達と共にエレベーターに乗り込むと勢いよく出てきた手すりを掴まされる。

 

「危ないですから掴まっておいてください。」

「危ないってどういうぅぅぅうううう!?」

 

どういうわけかを聞こうとした瞬間エレベーターが下に向け凄まじい勢いで下降すると共に悲鳴が漏れた。

 

「あははは・・・。」

「愛想は不要よ。」

 

笑って誤魔化そうとする響を翼がバッサリ切り捨てる。

そんな翼から目を逸らした響はガラス張りになっているエレベーターの外の景色を見ると思わず声が漏れる。

 

「わぁ・・・。」

(宇宙へ上がるための軌道エレベーターみたいなのがリディアンにあったなんて。)

「これから向かう場所に笑顔なんて不要なのだから。」

 

どこかお気楽な雰囲気を放つ響に対し翼はそう言った。

 エレベーターから出た響が翼達に行くと扉が開いた瞬間クラッカーの音が響き渡る。

 

「ようこそ!特異災害対策機動部二課へ!」

「おぉ・・・。」

 

笑顔で出迎えられ赤シャツの男にそう言われた響の後ろで一緒に来た二人が苦笑いを浮かべる。

そんな中近づいてきた白衣の女性がスマホをインカメラにし響を抱き寄せる。

 

「お近づきの印に一緒に写真でも如何かしら?」

「駄目ですよ!手錠なんかしてる写真黒歴史に載っちゃいます!」

 

頭上に掲げれている『熱烈歓迎!立花響様!』と書かれているパネルを見ると響は言う。

 

「それにどうして初めて会う貴方たちが私の名前を知ってるんですか!?」

「我々の前身は大戦時に設立された特務機関でな。調査もお手の物というわけだ。」

 

そう答える赤シャツの男の横から白衣の女性が響のカバンを持って現われる。

 

「私のカバン!調査って中漁っただけじゃないですか!?」

 

手錠を嵌めた状態でカバンを取り返した響を見ながら翼がため息をつく。

 

「緒川さん。」

「はい。」

 

自身の名を呼ばれそれに込められた言外の意を察すると響に近づき手錠を外す。

 

「色々すいませんでした。」

「あぁ、いえどうも。」

 

被っていたシルクハットを取ると赤シャツの男が言う。

 

「では改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十朗。ここの責任者をやっているものだ。」

 

それに白衣の女性が続ける。

 

「そして私ができる女と噂のあの櫻井了子だと言うことは覚えて帰ってね。」

「ご丁寧にどうも。よろしくお願いします。」

 

自己紹介をした二人にそう言う響に弦十朗が言う。

 

「さて今日君を呼び出したのは他でもない。我々に協力して欲しい事があるからだ。」

「協力・・・。」

 

協力して欲しいと言われた響に彼女の内から刹那が告げる。

 

『お前の歌に応えたガンダムの事だ。』

「そうだガンダム。教えてくださいなんで私にガンダムが応えてくれたのか。」

 

弦十朗に問う響に了子は近づき抱き寄せる。

 

「貴女の言うガンダムがなんなのかはちょっと置いておいて。それがあの力についてのことなら条件を二つ程吞んで貰いましょうか。一つは今日のことは誰にも喋らず内緒にしておくこと。」

 

耳元で了子は囁くように言う。

 

「とりあえず脱いで貰いましょうか。」

「はぁ、なるほど。」

 

言われるがままに普通に脱ごうとした響を予想外だったのかよく鍛えられた腹筋が晒された段階で了子が制止をかける。

 

「ストップ!ストップ!今のは軽いジョークよ!」

「大丈夫です!ガンダムとして鍛えたこの身体何処に出しても恥ずかしくないと自負しています!!!」

「ごめんねお姉さん貴女の事わかんないわ。脱ぐならこっちのメディカルルームで身体に異常がないか確認するからこっちでお願い。」

 

捲っていた服を降ろされた響をメディカルルームに連れて行った了子を見送ると弦十朗を呟く。

 

「お前の後輩はどうやら相当の変人のようだぞ翼。」

「私はまだ彼女を防人として認めた訳ではありません。」

 

影が差した顔で翼はそう答えた。

 それからしばらくしてようやく帰宅を許された響がかなり遅い時間に寮へと着く。

 

「ただいまー。」

「響!こんなに遅い時間まで何処行ってたの?ついさっきもノイズが出たってテレビでやってたし。」

「それはもう大丈夫だよ未来。」

 

大丈夫と言いながら制服を脱ぎ浴室に向かう響に未来が言う。

 

「大丈夫って、私心配したんだよ?」

「心配かけてごめんね。でも大丈夫私ガンダムだから!」

「またそれ。」

 

そう言われてなお未来の瞳は案ずる気持ちで揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 翼の身をシャワーが濡らす。

頭を手で押さえ鋭い目つきで壁を睨み付けながら先ほど急に現われた暫定自身の後輩を思い出しながら壁を殴りつける。

 

「あのギアは奏の物だ。断じてあの子の物ではない!」

 

頭の中を奏と共に居られた頃の思い出が駆け巡る。

 

「ましてやガンダムなどと言う物であるものか!」

 

使う力の名さえ知らぬ後輩に対するぶつけるわけにもいかない怒りは蓄積していく。

 

 

 

 

 

 

 数日後、授業が終った教室にて教科書を片付けている響に彼女の友人が声をかける。

 

「ねぇビッキー、今日ふらわーに行かない?」

 

ふらわーとは彼女達行きつけのお好み焼き屋である。

 

「ごめん今日大事な用事が入ってるんだ。」

「なにフォースバトルでも入ったの?」

「そうでもないんだけどとにかく大事な用事なんだだから今日はごめんね。」

「なら仕方ないやまた今度一緒に行こうね。」

 

友人達と共に未来もふらわーに行きしばらくたった頃教室に翼が現われる。

 

「重要参考にとして同行して貰います。」

 

返事をする前にまた手錠が嵌められた。

 

「また!?」

 

響は無言の翼におとなしく着いていった。

 昨日と同じく地下へと降り二課に着くと弦十朗達が居る部屋へと連れてこられ手錠を外されると了子がモニターに機能を行われた検査結果を映しながら言う。

 

「さ~てお待ちかねのメディカルチェックの結果よ。初装着の負荷はあれどそれ以外は身体にほぼ異常は見られなかったわね。」

「ほぼですか。」

「そうね、貴女が聞きたいのはこんな事じゃないわよね。」

「教えてください。どうして私にガンダムが応えてくれたのか。」

 

胸元から翼がペンダントを取り出すとそれを掲げる。

 

「聖遺物と言うものを知っているか?」

「聖遺物?」

『お主が我流ながら修めた儂の流派・東方不敗のような物のことよ。』

 

まだなにもなせずに居た頃に出会った師より伝授された流派・東方不敗を思い出す響に了子が説明する。

 

「聖遺物とは現在の技術では製造不可能な異端技術の結晶のこと。多くは遺跡などから発掘されるのだけど完全な形を保っている物はあまりなくてね。」

「翼の持つこの天羽々斬もまたかつて存在した物の刃のほんの一欠片に過ぎん。」

(てことはあれがGNドライヴ。)

 

そう判断する響であったが力の源であるくらいしか共通点は無かった。

 

「その聖遺物に秘められたほんの少しの力を解き放つ唯一の鍵が特定振幅の波動なの。」

「特定振幅。」

「歌の事だ。」

 

了子の言葉を反芻する響にそれが歌の事であると弦十朗が告げる。

 

「だから私はあの時歌ったんだ・・・。」

「歌の力で活性化した聖遺物を鎧として纏ったものこそ翼ちゃんや響ちゃんが纏ったアンチノイズプロテクター。シンフォギアよ。」

 

てっきりいつものフォースバトルのノリで思わず歌ったとかそう言うことでは無かったらしい。

 

「だからとて誰の歌!どんな歌でも聖遺物が応える訳ではない!」

 

苦々しくそう吐き捨てる翼と弦十朗が立ち上がり響に近寄ると流れ始めた思い空気を変えるように言う。

 

「我々は君や翼のように聖遺物を起動させシンフォギアとして纏える者を適合者と呼んでいるのだ。」

「どお?分かったかしら?分からないことがあったらどしどし質問してね。」

「私が適合者(ガンダムマイスター)として選ばれたことは分かりました。だけど私は聖遺物(GNドライヴ)を持っていません。」

『否だ少女。君はあの日ガンダムを受け継いでいる。』

 

自分から疑問を発したにも関わらず何かに気づいた響がレントゲン写真を写し説明を始めようとした了子が喋ろうとした瞬間に声をあげる。

 

「いえ私はあの日のライブ会場で受け継いでましたガンダムを。」

「そうね貴女にも見覚えのあるこの傷そして心臓付近に複雑に食い込み手術でも摘出不可能なこの欠片こそがかつて奏ちゃんが纏っていたガングニールの欠片と言うことが調査で判明したわ。響ちゃんの言うガンダムとはこのガングニールの事ね。」

「ガングニール・・・。」

 

力の真の名を知り拳を握りしめる響であったがまさかの経路で受け継がれていた片翼の力に翼はふらつくと部屋から出て行った。

 

「この力は判断するに機密事項ですよね。」

「察しが良くて助かる。故に今一度君に日本政府特異災害対策機動部二課として協力を要請したい。ノイズは人の身で触れることはできずまたダメージを与えることもできない。それを可能とするのは君と翼二人のシンフォギア装者だけだ。」

「協力します。」

「即答だと。」

 

ゼロタイムで了承した響に変人だとは思っていたがここまでだとは思っていなかった弦十朗がそう言う。

 

「協力すると言ったんです。だってノイズを倒せばそれだけ多くの人の未来が守れるんですから!」

 

返答が返ってくる前に響は出て行った翼を追いかけ暗い表情の翼に声をかける。

 

「翼さん!私はまだ新米ですけど、今まで我流ですけど鍛えてきてはいました!だから私と一緒にこれから戦ってください!」

「何を言って・・・。」

 

握手を求めてくる響に翼が軽く硬直しているとノイズの出現を知らせる警報が鳴ったため翼は司令室に駆け出すと響もまたその後を追っていった。

 既に警戒態勢になっている司令室に入るなり翼が問う。

 

「状況を教えてください!」

「リディアンより距離二百!」

「迎え撃ちます!」

 

モニターに映し出された座標を確認すると翼は司令室を飛び出していくと響もその後を追おうとするが弦十朗に制止をかけられる。

 

「待つんだ!君はまだ!」

 

実戦には早すぎると続けようとしたところを響に遮られる。

 

ガングニール(ガンダム)は誰かを救うための力です!黙って燻ってなんて居られません!!」

 

先にノイズの発生地点へと向かった翼を追いかけ響もまた駆けだしていった。

 

「彼女変わっているけど良い子ですね。自身を省みずに誰かのために戦えるなんて。」

「果たしてそうだろうか。」

 

純粋に響に対して好感を抱いたオペレーターの一人である藤尭がそう言うのに弦十朗が神妙な顔つきでそう返す。

 

「俺の目には彼女は何かに追い立てられているように見える。それ故自身を省みず他者の為に行動できる彼女は歪に思える。」

「つまり、あの子もまた私たちと同じ側の人間って事ね。」

 

了子はしんみりとそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 天羽々斬を纏った翼が大型へと融合したノイズが放った自在に宙を舞い襲ってくるウーパールーパーのエラのような形状のファンネルを全て切り落とし両手で剣を構え大型化し斬撃を放とうとすると頭上をギアを纏い緑の粒子で尾を引く響が通過し大型ノイズの正中に蹴りを食らわせバランスを崩す。

 

「態勢は崩しました!今です!」

「っ!勝手をっ!」

 

悪態をつきながらも翼は地に向かう響と入れ替わりに宙に躍り出ると腹を見せる大型ノイズを斬撃を放ち一刀両断する。

 

「やりましたね翼さん!」

 

地に降り立ち無手となった翼に響が駆け寄り先ほどはできなかった握手を求めるように手を差し出す。

 

「私これからシンフォギア装者(ガンダムマイスター)として精一杯頑張ります!だから私と一緒に戦ってください!」

 

自身の隣にたって良いのは奏だけ以前そう定めている翼は刀を構えるとその切っ先を響に向ける。

 

「そうね、私と貴女・・・戦いましょうか。」

 

翼の背後では先ほど爆発したノイズの影響で上がる火の手がその身に秘められた激情を表していた。

 

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